アンクルボブと珈琲豆
いらっしゃいボウヤ
そこにお掛け
こんにちは
ボブおじさん
突然来てゴメンね
ボウヤは
この家にいつでも
自由に来て
良いんだよ
丁度コスタリカ産の
良い豆があるんだ
コーヒーを飲むかい?
おじさん
そのケス何とかの
コーヒーに
ミルクを入れても
良い?
ボウヤ
コスタリカだよ
もちろんミルクを
入れても良いんだよ
いいコーヒーに
砂糖やミルクを
入れてはいけない
なんてのは
ただの迷信なんだから
ありがとう
ボブおじさん
じゃあ頂きます
そのケスタリカの
コーヒーを
ボウヤ
コスタリカだ
さあお座り
美味しいクッキーも
あるよ
ところでボウヤ
学校で何か
嫌な事でも
あったんじゃ
ないのかい?
そうなんだ
とても嫌な事が
あったんだよ
ボブおじさんは
どうして
それが分かったの?
おじさんも子供の頃
学校で嫌な事があれば
よく親戚のおじさんに
話しに行ったもんさ
そして
そのおじさんは話を
聞いてくれたんだよ
ミルク入りの
コーヒーを入れてね
さあボウヤ
話してごらん
今日休み時間に
みんなでサッカーを
しようとしてたんだ
その時僕達は
グラウンドの端に
いたんだけど
僕はもう少し
真ん中に行こうって
言ったんだよ
どうして
端っこじゃ
ダメなんだい?
グラウンドの端には
花壇があるんだ
今ちょうど
一年生が植えた
パンジーが
綺麗に咲いているんだよ
もし間違えて
踏んづけて
しまっては
いけないから
そうかボウヤは
本当に
優しい子なんだね
そして
その悲しい事が
起こっちゃったんだね
そうなんだよ!
あれほど真ん中で
やろうって
言ったのに
聞かないで
サッカーを始めた
僕の友達が
パンジーを
踏んづけちゃったんだよ!
怒ったかい?
もちろん怒ったよ!
僕は何度も何度も
言ったんだ!
何度も言っていた時も
怒っていたのかい?
何回も言ってたからね
ずっと怒りながら
言ってたよ
怒るのは
辛くないかい?
辛いよ
胸は苦しいし
頭も痛くなってくるよ
そう
怒りというのは
相手だけじゃなく
自分も傷つける
刃なんだよ
相手の子は
どうだった?
その子は
笑ってたよ
そうかい
正しい事を
言ってる方が
辛くて
間違った方が
笑ってたんじゃ
割りに合わないね
そうなんだよ
こんな時
ボブおじさんなら
どうするかなと
思ったんだ
そうだねぇ
おじさんなら
どうするかな
まあ
クッキーと
コーヒーをお上がり
ありがとう
頂きます
そうだなあ
おじさんは
自分が正しいと
思った事は
出来るだけ静かに
ゆっくりと
相手に伝えるように
しているよ
もし
伝わらなかったら?
もし
その通りに
して貰えなかったら?
伝えた後の
結果どうなるかは
眺めているんだよ
まるで
汽車の窓から
景色を眺めるようにね
怒らないの?
汽車から外を
眺めていて
怒り出す人は
いるかい?
それじゃ
いつまでたっても
正しくならないんじゃ
ないの?
その時は
もう一度伝えるんだよ
静かに
ゆっくりとね
まるで
車掌さんが
汽車の行き先を
告げるようにね
何回も?
そう何回も何回も
ボウヤが
もし正しい事を
言っているなら
その内に
必ず解ってもらえる
人が現れるんだよ
ありがとう
ボブおじさん
何か
ちょっと解った
気がするよ
それと
美味しいね
このクッキーと
ケスタリカのコーヒー
フフ
ボウヤ
コスタリカだよ
ゴメン
また間違えちゃった!
フフ
ハハハ
ハハハハハ
やっと笑ったね
ボウヤ
おじさんは
ボウヤのその笑顔が
大好きなんだ
ありがとう
ボブおじさん
おじさん
泣いてるの?
いいや
ボウヤ
目に少し
ゴミが入った
だけだよ
ボブおじさん
じゃあ
もう僕帰るね
話を聞いてくれて
ありがとう
気をつけて
お帰り
ありがとう
そして
ごちそうさまでした
クッキーと
ケスタリカのコーヒー!
コスタリカや
言うとるやろ!
何回言わすんじゃ!
このボケ!!
ケケケ