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分数に関する整数問題

1問目

次の問題を解いてみたい.

2以上の任意の整数$${k}$$に対し,$${\displaystyle \frac{1}{k}=\frac{1}{n}-\frac{1}{m}}$$を満たす自然数$${n, m}$$が存在することを示せ.

自作

一瞬,なんじゃこりゃと思うだろうが,簡単に示すことができる.

その前にまずは,実験してみよう.

$$
\frac{1}{15}=\frac{1}{n}-\frac{1}{m}
$$

を満たす$${n, m}$$があるかといえば,例えば,$${n=6, m=10}$$がある.

今の例は完全に勘で見つけたのであるが,存在性を示す問題なので,極端な場合でも十分だ.

1問目の解答

そこで,隣接する整数を考えてみよう.
$${k}$$を2以上の整数とする.$${k-1}$$は自然数であるから,

$$
\frac{1}{k-1}-\frac{1}{k}=\frac{k-(k-1)}{(k-1)k}=\frac{1}{(k-1)k}
$$

となる.左辺の第2項と右辺とを入れ替えて,

$$
\frac{1}{k-1}-\frac{1}{(k-1)k}=\frac{1}{k}
$$

となる.故に,$${n=k-1, m=(k-1)k}$$とすればよい.

分かってみれば,なんてことない問題だった.

2問目

それでは,1問目を応用して,次の問題を見てみよう.

$${p}$$を素数とする.$${\displaystyle \frac{1}{p}=\frac{1}{n}+\frac{1}{m}}$$を満たす自然数$${n, m}$$の組をすべて求めよ.

自作

これもまた謎の問題感は拭えないが,とにかく解こう.

1問目を解いたことにより,次の例が思いつけば優秀である.

$$
\frac{1}{p}-\frac{1}{p+1}=\frac{1}{p(p+1)}, \frac{1}{p}-\frac{1}{p(p+1)}=\frac{1}{p+1}
$$

また,

$$
1=\frac{1}{2}+\frac{1}{2}
$$

の両辺を$${p}$$で割ることで,

$$
\frac{1}{p}=\frac{1}{2p}+\frac{1}{2p}
$$

を得られれば,なおのこと優秀である.あとは,それ以外は見つからないということを述べるだけである.

2問目の解答

では見ていくことにする.
一般性を失うことなしに,$${n\leqq m}$$とすることができる.すると,

$$
\frac{2}{m}\leqq \frac{1}{p}=\frac{1}{n}+\frac{1}{m}\leqq\frac{2}{n}
$$

より,$${n\leqq 2p\leqq m}$$を得る.また,

$$
\frac{1}{p}=\frac{1}{n}+\frac{1}{m} > \frac{1}{n}
$$

より,$${p< n}$$を得る.以上で,$${p < n\leqq 2p\leqq m}$$が示された.

そこで$${m}$$について解いてみると,

$$
m=\frac{np}{n-p}=\frac{(n-p)p+p^{2}}{n-p}=p+\frac{p^{2}}{n-p}
$$

となる.$${m-p}$$は$${p}$$以上の自然数であるから,$${\frac{p^{2}}{n-p}}$$も自然数とならなければならない.$${p^{2}}$$の約数は,$${1, p, p^{2}}$$となる.一方,$${n-p=1, 2, \ldots, p}$$を取りうるから,$${n-p=1, p}$$となるほかない.故に,$${(n, m)=(p+1, p(p+1)), (2p, 2p)}$$となる.

仮定を見直せば,$${(n, m)=(p(p+1), p+1)}$$も解としてある.

以上で,$${\displaystyle \frac{1}{p}=\frac{1}{n}+\frac{1}{m}}$$を満たす自然数$${n, m}$$の組は,$${(n, m)=(p+1, p(p+1)), (2p, 2p), (p(p+1), p+1)}$$である.

まとめ

今回は2問解いたが,発想は実に素朴なものだった.

1問目は,思いつくのが自然ではないところに不満が残る.他に分解方法があるのかもしれない.

2問目は,そこそこの難易度なので,入試問題にちょうどいいのではないかと思った.(もしかして既に同じような問題があったりして.)

ここまでお読みくださりありがとうございます.

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