2023年の4冊目『戦後日本史』

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福井紳一『戦後日本史』講談社α文庫(2015年)★★★

 著者は駿台予備校の日本史講師として30年以上にわたり講義を続けてこられた。私が大学受験で浪人となり、お茶の水の駿台に通ったのは35年以上前のこと。その当時、授業を受けたのは安藤先生と新谷先生。新谷先生の講義はいまでも思い出すことが多い。
 日本の近現代史は、当時も頻出分野であったにもかかわらず、高校の授業では明治維新直後で終わってしまい、実質きちんとした授業を受けたのは予備校が初めてだった。その後も苦手意識があり、大学の授業や選ぶ本は意識的に近現代史を選択してきた。
 受験生時代に本書を読んでどこまで理解できたかはわからないが、この歳になり本書を通読した意味は大きいと感じた。わかっていたつもりのことも多く、時折挟まれるエピソードも面白く、読み通すことができた。また、戦後というまさに自分が生きている同時代を歴史として捉え語ることはかなり難しいと思うが、著者の筆力には頭が下がった。