おとうやんの靴をはいてみた
玄関の方に向かった息子の声が聞こえてきた。
「あーあーあー」
見てみるとおとうやんのスニーカーを履いて、ズリズリと引きずりながら歩いている。
息子の足は12cm、夫の足は27cm。倍以上のサイズのスニーカーだ。
息子は足元を真剣に見ながら、その感触を確かめながら、ズリズリ歩き続けている。
言葉が伝わらなくても分かる、彼は楽しそうだ。
「人のものは人のもの、人のものは使わない」
「自分にあったサイズのものを使う」
というルールが体に染み付いたのはいつごろからだろうか。当たり前のように私は夫のスニーカーをはいてみようと思ったことはない。
自分のもの、自分にあったもの以外は自然と遠い存在になっている。いつの日か自分の周りに色濃く引かれた境界線が、新しい発見を遠ざけてるのかもしれない。
息子は私の凝り固まった「当たり前」をグリグリとほぐしてくれる。
なんだか自分とはかけ離れたアイテムを身につけたくなった。
あんなワクワクした顔を見ているとそう思えてくる。
そのスニーカー、おとうやんより君の方が似合ってるかもね。
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サポートいただいたら息子とのお出かけに使いたいと思います、そしたらまた絵を描きたいと思います✨