湯浴み
蛍火が湯舟に一粒
白いカーブにほんのり灯る
夕さりに言葉はいらない
この灯りを
そう
見つめていよう
きっと何かが
浮かび上がる
足先からすっと
湯の中に滑り込み
夜伽のように
星座の名前をつぶやく
形のないものでいい
はっきりとした輪郭がなくても
ただぼんやりと温められる
気持ちがあるなら
体温調節の利きやすい
浴衣を羽織って
淡い夢への展望を
いくつも重ねて
君は言葉を選ぶけれども
燃えるような夕日の向こうに
静かに待ち受ける湿原を
私は知っている
小夜啼鳥は確かに
月不見月に鳴いていた
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