100以上事業をかんがえて決断した。ボクが教育からモノづくりへと、業界を変えたわけ
はじめまして!OWNERSという会社の代表をやっています。山本と申します。2019年9月に会社を設立して、詳細の事業内容を書いてこなかったので、こちらが正式な創業エントリとなるかなとおもっています。
今回のエントリでは、OWNERSという事業に行き着くまでの背景と、そこにある想いを文章で書いています。少し長いですが、がんばって書いていますので、どうか最後までお付き合いくださいませ。よろしくおねがいします。
悩んだ末に、何にたどり着いたのか
タイトルの通り、創業してから100以上の事業を考えて潰してきました。たとえば教育系事業から、ブロックチェーン、動画メディア、冷凍スムージーの事業まで、色んな事業を検討しました。
事業化をしなかった理由は色々ありますが、大きくは下記の3つです。
① ビジョンにまっすぐ向かっていない
② 事業化できても、社会を変えるほど大きくならない
③ 今このタイミングで、参入すべきかどうかを見極める
事業を考えるたびに「この事業じゃそこそこ大きくなっても、大きく何かを変えられる力や、ビジョンに社会を近づけることは難しい」という検証と事実に、何度も向き合ってきました。
考えに考えすぎて、数十個ほど作ったビジネス案をつぶした時には『もうボクは自分が納得できる、事業案を見つけることはないんじゃないか?』と2日ほど寝込むほど、思い詰めていました。でも自分が達成したい未来に向けて、逃げたくなる弱い自分を必死に抑えて、事業を考えていました。
その悩みの中でもあっても、曲げたくなかった『心に火をつけて、絶やさない社会をつくる』という、18歳から掲げているビジョンに、きちんと向かって行きたい。その一心で考え続けていました。
やりたいことは『教育』という業界ではない
直接お会いしたり、Twitterで発信を見たりしたことがある方は、「あいつは教育の事業がしたいんじゃないか?」と思われた方もいらっしゃると思います。
ボク自身もそう思っていました。
なぜならば『心に火をつけて、絶やさない社会をつくる』という個人のビジョンに対して、教育が持っている課題は大きいからです。
ですが何度も事業を考え続ける中で、ビジョン達成のためには、教育を変えるだけでは、不十分なんじゃないかと思い始めました。
子どもから大人まで、「あれをやってみたい!」と思う、情熱の種ができることはあります。そしてそれを趣味程度にやることは多いでしょう。しかしそれを続けていく、より心の火を大きくしていくのは、とても難しいです。
実際にプログラミング教室や、家庭教師などを経験してきましたが、どれだけやりたいことがあっても、他人からなんの証拠もない「そんな事やっても上手く行かない」という言葉に、多くの情熱がつぶされてきたと感じています。
じゃあどうすれば良いのか?この問いに対して、事業を考えながら何度も考える日々が続きました。
【きちんと稼ぐ、継続的なファンがいる】が、ビジョン達成には必要
そして一つの仮説を思い浮かびました。それは、「心の火が消えるのは、支援者がいなくなり、健全に稼げなくなるからでは」と。
例えばどれだけ情熱を持っていても、周りの人から「そんなんじゃ、生きていけないよ」「それだけで稼げるわけ無いじゃん」と言われつづけて、諦めてしまう。
例えば、どれだけ情熱を持っていても、誰からも応援や支援を受けないと、その情熱を持ち続けることは難しい。
つまり「健全に稼ぐこと」「応援者の存在」の2つは、情熱を続けるための必要条件だと思ったのです。
そして情熱を持っていても、上記の2つがないことで、心の火を絶やしてしまうことが多々あります。なのでこの2つを、情熱を持った人につけてあげられるような事業にしたい!と思いました。
いま一番、情熱が失われそうなところはどこか?
上記の結論に至ったあとで、様々な業界を考えました。その中で偶然お会いした起業家の方に、「ワインとか面白いんじゃないかな?見てくれば?」とアドバイスされたのです。
素直なボクは「ワインはよくわからないけど、成功している起業家の人がいうんだから、一度行ってみよう」と思い、翌日には山梨や長野のワイナリーに足を運びました。
↑実際にワイナリーさんで、仕事のお手伝いをさせていただいた写真
そこから100近くのワイナリーに足を運んで、ワイン生産者の人に話を聞くと、いろいろなことが分かってきました。
「本当は価値を上げながらワインを販売したいけど、ワインの価値を語りながら販売してくれる人が少ない」
「数百円の工業的に作られたワインと、自分たちの手間隙かけて作ったワインが横並びになると、お客さんに価値が伝わらない。」
「ワインを作るよりも、ぶどうやシャインマスカットを作ったほうが儲かるよ」
「海外には展開できていないから、人口減少とともに多くのワイナリーが潰れていくと思う」
「365日畑や醸造に関わっているから、販売に力を割けないんだよね」
「家族経営でやってるけど、年収でいうと150万円くらいしか無い」
「人を雇うほどの収入はないんだよね、だから後継者を育てるのが難しい」
「丁寧に作っていて、作れる量に限りがあるから、価格が一定だと売上がなかなか上がらない」
「一緒にブランドを盛り上げてくれる、愛飲してくれる人を作りづらい」
などなど、さまざまな課題を聞くことが出来ました。
これらをまとめると、造り手にとっての課題が3つ見えてきました。
① ブランド価値を高めてくれる人、組織に販売できていない
② つくることに集中しているため、ブランディング・販売に力を割けず、情熱を続けられるほどの適切な利益を出せていない
③ ブランドを愛飲してくれる人と、強い結びつきを持てていない
一方でいい部分もたくさん見えてきました。例えばワイン造りに携わっている人は、狂気的としか言いようがないほどの、熱量をもってワインに向き合っていました。
ワイン造りが難しいと言われている日本で、世界に通用するワインを作ろうとしています。
そして実際にある著名ワイン評論家が、2019年のTOP10のワインに、日本ワインを選んだ実績も出てきました。(このTOP10の中には、300万円ほどするシャトーラフィットも入っており、そのレベルの高さが伺えます。)
これ以外にも、日本に訪れた海外のワインの専門家の方が、惚れるようなワインも多数できています。つまり質の部分では、他国の素晴らしいワインに負けないほどの実力をつけつつあるのです。
そして出会った「モノづくり」という原石
このワインの業界をもう少し俯瞰して見てみたら、「モノづくり」というジャンルに興味を持ちました。実は「モノづくり」はまだまだ変えることができる、ダイヤの原石のような業界ではないかと思ったのです。
日本を始めとして、情熱を傾けてモノづくりをしている人はたくさんいます。
ただ365日つくることに集中して、世界に誇る品質のモノを作っているため、販売やブランディングまで力を割いている人は少ないです。
ですがつくるだけでは、ブランドは出来ません。きちんとした販売や、流通計画、マーケティングを、チームで行わないと、どんなに品質がいい商品であったとしても、価値を高めることは出来ないのです。
ここでいうと日本は、「モノとしては素晴らしいし、哲学を持って作られている」商品は多いが、「ブランディングがうまくなく、価値を伝える努力がまだまだ足りない」と思っています。
日本のモノづくりの課題は、一言で安すぎること
ホリエモンさんの下記のような投稿がありました。
これはワイナリーを回る中や、日本のモノづくり全体を見る中で、感じていたことでした。
日本では「安くて良いものを提供するのが正義」といった、暗黙のルールがある気がしています。実際にユニクロや無印良品などを始めとする、「良いものを手が届きやすい価格で」といったブランドは、日本が誇る企業にまで育っています。
しかし一方で、ラグジュアリーと言われるブランドは、ほとんどない状態になっています。例えば、プラダやルイ・ヴィトン、アルマーニといった高級ブランドの一部が、実は日本の工場で生産されています。しかし日本で、こういったブランドに並ぶほどの、世界的なラグジュアリーブランドはほぼありません。つまりどれだけ品質が良いものを作っていても、世界に誇れる"ブランド"は作れていないのです。
これで何が起きているかというと、ただ単に利益が出ないという話だけではありません。憧れから起きる文化全体の醸成が、できなくなってしまうのです。
例えば時計は数億円のものもあります。もちろん買える人は少ないのですが、その時計に憧れた人は、自分の手が届く、数千円〜数万円の時計を買います。そして、「いつかはもっといい時計を買うぞ!」という想いを強くしながら、ゆとりが出たら実際にいい時計を買うはずです。
つまり高い商品があるからこそ、中価格帯の商品も買う理由ができるのです。これが文化につながっていきます。
逆に言うと、安いものしか無いと、文化は醸成されづらいのです。例えば日本酒は長年、安い一升瓶のブランドがほとんどでした。それで起きたことは「安くて酔えるお酒」といった印象だけで、大衆酒としての役割は持ったものの、「憧れの日本酒」はなかなかありませんでした。
そうするとアルコールの規制が高まる中で、需要が下がっていき、「安くて酔える」市場が小さくなり、日本酒はどんどん飲まれなくなりました。
しかし最近、価格や価値を高めて販売した、獺祭や、十四代などの日本酒が登場したことで、「憧れの日本酒」がでてきて、日本酒に興味を持ち始めた人が多くなっていきました。そしてその影響もあり、海外への輸出も増加しています。
つまりこのことから、日本のモノを世界に届けるためには、「価格や価値を高めて販売する」必要があると私は確信しています。
テクノロジーとブランドの関係性の変化
またテクノロジーの発展とともに、ブランド構築の形も変わっていきました。
例えばMr. CHEESECAKEという、チーズケーキブランドがあります。これは、ミシェラン星付きのシェフだった、田村さんが、『チーズケーキで世界を変える。 時間を作る 共有する 相手を思う『おいしい』でより豊かな人生に。』といった志のもとスタートしたブランドです。
これは本当に美味しいんですが、味と同じくらいにブランドのコミュニケーションが秀逸です。
例えばTwitterやnoteで、Mr. CHEESECAKEの思いについて発信をしたり、販売がスタートすると数分で売り切れるため、お祭りのように「やっと買えた!」「ああ、買えなかった……。」と言った投稿をお客さんがします。
つまり、商品の素晴らしさはもちろんのこと、マーケティングやブランディング、SNS発信などにも注力することで、ブランドを作り上げているのです。
このようなブランドの作り方をD2Cと言ったりします。良いものをきちんとした販売戦略、マーケティング戦略、コミュニティ戦略をSNSなどを利用しながら、お客さんに直接サービスや世界観を提供する戦略のことです。
逆に言うと、今から新しいブランドをつくろうと思うと、こういった『作ること以外』にも注力しなければ、ブランドは作れなくなってきています。
『ただの職人は生き残れない』という事実にあらがう
ではすべての人が、発信やマーケティングまで、注力できるかというと、それは難しいと思っています。
実際にボクがあったワイナリーさんは「365日、朝から晩までぶどうやワインの事に注力していて、そこまで考えられない」という方も多いです。ボク自身もTwitterのフォロワーを1万人にする中で思いましたが、SNS発信やマーケティングというのは、勉強すれば誰でも出来ますが、一方でかなり時間を使わないとうまくいきません。
さらにマーケティングというのは、ある程度のセンスや経験、戦略、試行錯誤があってこそ、上手くいくものだと思っています。
一方で作ることに多くの時間を使っている職人さんが、マーケティングに力を大きく割いていくというのは、商品の品質を下げる可能性もあり、簡単にできるとは言えません。
しかし『作ることだけに集中して、マーケティングまで考えない職人』が市場で生き残れないというのは、あまりにも残酷すぎると感じています。
そこで「世界に通用するほど良いものを作っているが、販売やマーケティングに力を割けない」と言った方々に、僕らがサポートを行い、一緒にブランドを育てていくパートナーになりたいと思っています。
結局やりたいことはなにか?
じゃあ具体的にどんなことやるの?というと、いろいろやれることはあると思っています。
今考えているビジネスモデルを、実際に回ったワイナリーさんにお伝えしたところ、ぜひお願いしたいと言われており、課題解決への直結もできていると感じています。
ステルスで事業を進めているため、この記事で詳細のビジネスモデルは書けません。なので、ご興味がある方は、お会いさせていただいて、お話させてくださいませ。
まだまだ事業として走り始めたばかりで、やっていく中で変わっていくと思っていますが、僕らがパートナーになることで、『造り手が、造ることに集中して、素晴らしいプロダクトができる』世界観を作れるんじゃないかなと思っています。
最終的には『信念のある造り手の方が、情熱を絶やさずに、適切な利益をとって、応援者が絶えないようにする』という理想に向けて、様々な事業を通じて実現していきます。
(上記までの記事を見て、こんなことができるんじゃない?とアイデアがある方は、ぜひ一度、お茶しましょう!ボクが考えている事業の詳細についてもお伝えさせてください。)
「OWNERS」のご利用について
近い将来、たくさんの方々にOWNERSをご利用いただけるよう、現在は「招待制、審査制での商品やサービスの提供」と制限を設けてスタートする予定です。
僕たちは売上をあげるために、お客さまをむやみに増やすことで、サービス品質を下げることを良しとしません。ご利用いただいているお客さまへ良いサービスを継続的に提供出来るようにすべきだと考えています。
またワイナリーさんの価値を高めるとなると、数量が少ない希少なワインを、戦略を持って販売していかなければいけません。
そのため最初はステルスでの販売、提供となりますが、もし初期のタイミングから、使いたい方は山本宛にご連絡ください。
一般公開につきましては大変申し訳ありませんが、しばしお待ちください。準備が整い次第、順次ご案内させていただききます。
さいごに
OWNERSでは事業を一緒に成長させる創業期のメンバーを探しています。募集ポジションについては近日中に別エントリを出しますが、OWNERSの思想に共感してくれた方がいたら、僕のSNSアカウント宛にご連絡ください。どこでもお伺いしますので、お茶させてください。
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この先のビジネスのお話や実現したいことについては順を追ってリリース経由で伝えさせてもらったり、今回みたいなnoteやTwitterを公開したり、OWNERS内にてご報告しようと思います。これからも見守っていただけたら嬉しいです。
創業メンバー募集に関しての詳細は、後日またnoteにまとめる予定です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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