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井上靖文学館 再訪
井上靖文学館 再訪
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先日、数年ぶりに、静岡県長泉町にある、井上靖文学館に行ってきました。
玄関下には、今の天皇皇后陛下が、皇太子、皇太子妃でいらした時に植樹された、あすなろの樹が紅葉し始めていました。
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思い起こせば、
私は中高生の頃、
井上靖先生の自伝的小説
夏草冬濤(なつぐさふゆなみ)
あすなろ物語
や
大陸小説
楼蘭(ろうらん)
敦煌(とんこう)
蒼き狼
などを読んでいました。
同じ作家さんのを読むって、高校生くらいの頃は
あんまりしていなかったけど、
何故か、井上靖先生のは、
文章が読みやすいのと、
ストーリーの展開が好きだったの
かもしれないです、
そうそして、
今回は記念館を2回目の訪問。
お庭ではツワブキの花がお出迎えしてくれました。
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文学館の中は、
先生の生い立ちからの年表、
幼い頃や青春時代の写真の数々。
時代ごとの、
作品の資料や生原稿、
テーマごとの作品展示がありました。
今回は、
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井上先生の作品で、
表紙やイラストを担当してくださった
平山郁夫先生、
上村松皇先生。
東山魁夷先生などの方々
日本を代表する画伯たちの作品と
井上靖先生との交流が展示されていました。
楽しい、スタンプコーナーもありました。
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また今回は、ここの職員で、井上靖先生の研究をされているような方が、お声をかけてくださり、展示には、ないような、お話を聞くことができました。
まず、
○井上靖先生は、代々医者の家の長男に生まれ、医者になることが必定であったこと。
○色々と事情があり、義理の祖母に育てられたこと。親戚関係では、微妙な立場にいたこと。
○幼少期は、義理の祖母に可愛がってもらい、野や山でたくさん遊んでいたこと。
○楽しい時代を過ごしすぎたのか、勉強があまり好きではなかったようで、
高校、大学の入試で大変苦労し、医学部には、入れなかった。だが、友人たちとの交流の中で文学に親しんでいったこと。
○大学生の頃から小説を書き始め、それが賞をとって継続的に依頼され、そこそこ収入があったこと。
○徴兵されるも病気になってすぐに除隊して、新聞記者になったけど、配属された文化教養部は戦時下のため、あまり活躍の場はなかったが、美術や歴史の勉強は大学が美学専攻だったこともあり、継続的にできたこと。
その時の勉強がその後の日本や東洋の歴史小説を書く基盤となったこと。
○戦後、人は何かに夢中になることが大切だと、だから、自分は小説を書いて表現することを夢中でやっていこうと思ったこと。
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ポストカードより
◎感想
この先生の生涯を知り、死と常に向かい合わせた数年間の戦争をくぐり抜けた人々の人生への覚悟のようなものが、感じられました。
この文学館の展示にも現れていますが、先生が持ち続けた、一つの小説を書くための資料収集や取材の熱量はすごいものがあると、感じました。
今、このまとめを書いている私は、命の重さ儚さを自覚して、日々目の前の出来事と向き合っていく、そんな生き方を考えさせられました。
◎今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。