非効率な手紙は、人の懐に入る近道になる
結婚式の招待状文化は、本当にムダで非効率的だ。
招待状や返信用はがきをわざわざ印刷しないといけない。ある程度いい紙でないと格好がつかないので、自分でやっても1人100円程度はかかる。そしてハガキと封筒につける切手を購入し、1枚ずつ貼る必要がある。宛名も筆ペンで書かなければならず、手間がかかる。LINEやメールならすぐに終わるのに、本当に面倒だ。
考えが変わったのは、返信用はがきが返ってきてからだ。毎日のように、ポストに私宛の返信用はがきが入っている。親せきや友人達が手書きで、名前や住所をかき、「ご(御)」を二重線で消し、「慶んで出席させていただきます」と書いてくれている。大人としてのマナーで書いているだけで、気持ちはこもってないかもしれない。それでも、手書きのはがきを受け取ると相手の笑顔が浮かび、なんだか胸が熱くなった。
中にはメッセージやイラストまで書いてくれる人もいた。「結婚おめでとう」とか「晴れ姿楽しみにしてます♡」とか、かわいい猫や鳥のイラストとか、、、。1枚のはがきに手間暇をかけてくれたのが嬉しいのはもちろん、はがきから友人たちの人間味がひしひしと感じられるのが幸せな気分だった。メッセージを書いていてもいなくても、友人たちの個性であり、魅力でもある。あぁ、こんなにたくさんのステキな人達に囲まれてたんだ……と感動した。
手書きの手紙は、人の懐に入る近道になる。以前受講した編集セミナーで、著名人に手紙を送って取材を打診し、OKしてもらえたなんてエピソードがあった。非効率でムダで面倒な手紙だけど、自分の人間味を相手に伝えて距離を縮めるツールとしては、ある意味効率がいいのかもしれない。
世の中が便利になるにつれ、手紙に触れる機会は少なくなる。今では年賀状を出さないのも、当たり前になりつつある。ただ手書きだからこそ人との距離を縮めたり、大切な人をもっと大事に思えたり、自分の幸せを再認識できる。メールやLINEにはできない、結構すごい取り柄なんじゃないか。
手紙を出し合う相手がいないなら、未来の自分に贈るのもありだ。今後結婚記念日の恒例にしようとたくらんでいるのが「タイムカプセル郵便」だ。未来の自分に手紙を出して団体に届けると、指定した日付に届けてくれるらしい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?