「おしゃれになりたい」って言いたい
「この春始めてみたいことはありますか」と美容師さんが訪ねてきた。本当は、ある。だけど「えーなんでしょうねー、、」なんて曖昧なことを言ってしまった。
わたしはこの春、おしゃれがしたい。大人っぽい服を買って、かわいいアクセサリーも買って、スカーフなんて巻いてみて、そんな風に春の街をゆるゆると歩く日々にしたい。
美容院の鏡に映る私は、おしゃれなピンクのスカートをはく割りに使い古したスニーカーを履いている。あれ、足の毛大丈夫だったっけ…?なんて不安になっている。「おしゃれになろうと思うんです」なんていえば、おしゃれな美容師のお兄さんから笑われてしまうかもしれない。もしくは、どうにかいいところを探して「……でも、そのニットいいと思いますよ!」なんて無理やり褒めてくるかも。。どっちにしろ、彼を困らせてしまうに違いない。そんなネガティブな思考から、私の春の試みを明かすことはなかった。
春のおしゃれを楽しみにしてれた1冊の本
ガサツな私をおしゃれに目を向けさせたのは、1冊の本がきっかけだ。先週、ブックオフで『毎朝、服に迷わない』という本を見つけた。ただでさえ時間がないのに服に迷っている私は即座に購入し、帰りの電車でさっそく読むことにした。すると、想像以上にためになる内容ばかりだった。
センスのいいコーディネートにとっていちばん必要なのは、 本当は「センス」ではなく、まずアイテムです 。
アイテム選びで大事なポイントは、シンプルでプレーンなものを選ぶということ。つまり「普通の服」です。考えてみれば当たり前ですが、「普通の服」同士だとコーディネートで喧嘩することもありません。どれを持ってきても合わせやすいのです。
必要 なアイテムさえ揃えられればおしゃれになれるという言葉は、センスがないことで悩んでいた私にとっては、とんでもなくありがたい。
本の中ではそろえるべきアイテムが具体的に書かれている。白シャツや青いストライプのシャツ、麻のカーキーのシャツ、白&グレーの半袖Tシャツ、とろみ素材の服、ベージュのVネックニットなど……しかもシンプルなアイテムなのでユニクロやGUなどで安価で手に入るものばかりだ。
実際にユニクロで白&ストライプのシャツとベージュのVネックニットを購入した(ストライプシャツは洗濯中)。前までは大学生のような服装だったものが、一気にOLまで駆け上がった(気がする)。このシンプルな普通な服を着こなせるようになりたい。
『毎朝、服に迷わない』を片手に迷う楽しい朝
実は、この本を購入してからというもの、ますます服選びにかかる時間が増えてしまった。本に記載されたコーディネートを参考に、手元の服をどう組み合わせればいいのか迷ってしまうのだ。本のタイトルに惹かれたのに、見事に裏切られてしまったのだ。
でも、今までよりも迷っているのに不思議と朝が楽しくなった。かつては「こんな組み合わせはおかしいだろうか…」と不安によって悩んでいたが、今は「このシャツには、このニットが合うかも!暖色系を取り入れよう!」なんておしゃれになる組み合わせを考えている。電車に向かって走る必要があっても、おしゃれを考えるだけでここまで楽しくなるなんて思わなかった。
「服屋に行くための服がほしい」という感情と同様に、わたしも「おしゃれになりたい」と言えるだけのおしゃれさがほしい。いつか本がなくても服を選べて、選ぶ時間もかからなくなったら、次こそ美容院で「おしゃれになりたいんです」ということにしよう。
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