【8分で読める】ジェイソンはなぜホッケーマスクを被っているのか
ジェイソン・ボーヒーズ
13日の金曜日に登場する殺人鬼です。ホラー映画好きでなくても知らない人はいないのではないでしょうか。しかし、ジェイソンの仮面・衣装の込められた裏側についてあなたはどこまで知っていますか?そう思って検索をしても日本のサイトでジェイソンの仮面がホッケーマスクである理由を解説した記事はありません。
なぜ、今回の記事を書くことになったのかと言いますと、映画監督として勉強の一環として衣装に関する記事を書いていたところ、フォロワー様から「ホラー映画の衣装も見て欲しい」というリクエストを受けました。そして、投票を行ったところジェイソンがダントツで一位だったためジェイソンの記事を書くこととなりました。
それでは、ホッケーマスクの裏にはどのような理由が隠されているのか。それは「なんじゃそら!」と言いたくなるようなツッコミどころ満載の理由でした。
ホッケーマスクの理由:担当者がホッケーファンだったから
まず、ジェイソンの初登場は13日の金曜日の1作目ですが、この時はまだジェイソンはマスクを被っておりません。 本作の脚本を担当したヴィクター・ミラー氏によるとジェイソンを殺人鬼として描きたくなかったと言われています。
しかし、彼の意向に反して、1981年の2作目でジェイソンは殺人鬼として登場し、布袋で顔を隠しています。2作目のメイク担当のカール氏は1日でジェイソンのデザインを完成させるようにと言われたそうです。相当な無茶ぶりですね…
これにより農家の服に布袋を被ったジェイソンが誕生します。しかし、この姿のジェイソンを知る人は少ないのではないでしょうか。
そして、問題の3作目。以前にもお話をしましたが、映画撮影には「衣装合わせ」という工程があります。この工程で登場人物がどれくらいの光でカメラにどのように映るのか、というのをテストします。13日の金曜日のように夜が主な撮影となる映画の場合はなおさら重要でしょう。
そして、衣装合わせになりますが、ジェイソンの場合、水頭症を患っているので頭の形を奇形にしなければなりません。そして、おそらく以下の画像のようにメイクアップを完了させたのでしょう。しかし、顔を覆う部分がなかったのです。(布袋を使わなかったのは、担当者が忘れたのか、それとも監督が気に入らなかったのかについては分かりませんでした)
その時、ホッケーファンであるスタッフのマーティン・ジェイ・サンドフが現れます。彼は自分のホッケーグッズをたまたま持って来ており、試しにつけてみたところ監督がひどく気に入ったそうです。しかし、そのままでは仮面が演者の顔にフィットしなかったため、特注品でマスクを作りました。そして、一般のホッケーマスクと差別化をするために赤の細い三角形や穴が開けられました。
これがまさか1982年から現代まで受け継がれる殺人鬼のトレードマークになるとは誰も思わなかったのではないでしょうか。そこからジェイソンの仮面は様々な変化をしていきます。
画像で分かるジェイソンの仮面の変化
13日の金曜日 PART3。記念すべき第一号。色彩を抑えた仮面に浮かび上がるように見える赤い三角が不気味ですね。
13日の金曜日 完結編
前作の戦いにより、マスクの三角形が薄れ、クリス・ヒギンスによってつけられた左上の斧の傷が継承されました。この傷の継承はシリーズを通して続きます。
新・13日の金曜日
*ネタバレ!!
本作では、本来赤いはずの三角線を青色にすることで本作の「ジェイソン」が偽物であることを暗に伝えておりました。これは偽ジェイソンなので流しましょう。
PART6:ジェイソンは生きていた!にて眉間の赤い三角形が強調されるようになります。
PART7:新しい恐怖ではマスクが破壊され、腐敗した口が露わになります。
PART8:ジェイソンN.Y.へでは船乗りのジム・ミラーがいたずら用に持っていたマスクを強奪したため新品に戻ります。ただ、左上の傷は残っているんですね…ちょっとご都合かな。
ジェイソンの命日では、水頭症の頭がより強調されマスクから肉がはみだしております。正直、ちょっと気持ち悪いですね。
ジェイソンXでは近未来のマスクを得ます。これも海外では番外編的な扱いなので流しましょう。
フレディVSジェイソンでは、過去のクリスから受けた左頭の傷は消え、赤がより強調されたデザインとなっております。高等部のぼさぼさの髪の毛も良い味を出していますね。
13日の金曜日(2009)では原点回帰を彷彿させつつもさびれた仮面になります。今作のジェイソンが僕の中では一番好きです。
他のホラー映画の殺人鬼との比較からジェイソンの衣装に込められた意図を考察する。
ここまでジェイソンの仮面について解説をしてきましたが、衣装はどうでしょう?残念ながらジェイソンの衣装に関する記事は見つかりませんでした。
しかし、私なりの考察をしてみようと思います。まずジェイソンの衣装デザインは3作目に着る「作業着」で一度、固まります。ジェイソンがシリーズに渡り、様々な武器や工具を利用して殺人を繰り返すことからも作業着が最も効率的な選択だと衣装担当者は考えたのではないでしょうか。さらに他の殺人鬼とも比較をしてジェイソンの衣装について考えをさらに掘り下げてみましょう。
エルム街の悪夢:フレディ・クルーガー
最も比較がしやすい殺人鬼として一戦を交えたフレディを例にとってみましょう。フレディの衣装はカラフルで帽子まで被っています。彼が日常生活でファッションに気を配っているのかは分かりませんが、このファッションで殺人を行うところを見るとフレディが殺人に対して快楽を持っている印象を受けます。
対してジェイソンの服装は色彩が抑えられており、実用的です。まるで殺すことが目的化したかのような戦闘服の印象を受けます。
ハロウィン:マイケル・マイヤーズ
13日の金曜日よりも先に公開されたマイケル・マイヤーズも作業着を着ております。二人の衣装が同じであることを考えると「効率よく殺人を犯す」「ファッションに興味がない(人間性の欠如)」という点は共通しております。
それでは、彼らが使う武器と仮面を例に考察の幅を広げてみましょう。マイケル・マイヤーズが使う武器はナイフ。ジェイソンはナタか近くにあるモノ(寝袋・弓矢・炎)などバリエーション豊富です。マイケルがナイフ一筋なことからナイフ以外の選択肢を排除。つまり、殺人をする上で余計な雑念を持たない、という純粋さが見て取れます。ドクター・ルーミスも劇中では彼のことを「純粋な悪」と表現しています。
対してジェイソンは多様な武器を使用できることから、マイケルと比較をして機知に富んでいることが分かります。考えてみれば、当然かもしれません。マイケルは6歳で殺人を犯し、精神病院に投獄されます。しかし、ジェイソンは13歳まで生きたこととキャンプ場に行くようなアウトドアな少年であったことから様々な知識を母親から教えてもらっていたのかもしれません。そして、その知恵を殺人に使っているのでしょう。
それでは、仮面からは何が分かるでしょう。二人とも仮面を被っていることから「素顔を見せたくない」という個人的な事情は読み取れます。しかし、その意図に違いがあるのではないかと私は考えます。ジェイソンは水頭症を患っており、自分の外見が原因でいじめを受け、命を落としてしまいます。そのトラウマがあるからこそ再び被害者にならないために仮面で顔を隠しているのではないでしょうか。つまりは防衛本能です。
対してマイケルマイヤーズ。彼は無表情な「顔」を被っています。ジェイソンと違い、シリーズを通してマイケルの素顔が観客から隠されていること(リメイクを除く)からも無表情の顔/感情のない顔=純粋な悪がマイケルの素顔であることを意味しているのではないでしょうか。というのが私ができるジェイソンの考察でした。
みなさんのお気に入りの殺人鬼は誰でしょう?また彼らの服装から彼らの何が見えてきますか?他にも映画の衣装についての記事を書いておりますのでよろしければどうぞ!
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