海外企業の役職別にアプローチできる?BtoBマーケティング x LinkedIn広告のしくみ
今回のnoteインタビューでは、弊社のPPC広告運営担当のチャンに「BtoBマーケティングにおけるLinkedInの活用」についてお話をうかがいます。ビジネス向けSNSとして全世界で会員数「7億人」を誇るLinkedinのデータ活用方法、広告の特徴から具体的なキャンペーンのたて方まで解説します.
1. 実はBtoBマーケティングに使える! 世界で7億人が使っているビジネス専用のSNS「LinkedIn」とは
世界へボカン株式会社代表 徳田:よろしくお願いします。チャンさんは英語、日本語、広東語の3ヶ国語喋れるんですよね。
世界へボカン株式会社 PPC広告担当 チャン:はい。北京語も少し話せます。本日はLInkedinの使い方、広告についてお話しできればと思います。
徳:Linkedin、日本ではあまり使われていないですが、海外では結構使われていますよね?
チ:そうですね。とくに英語圏では、多くの企業がLinkedInで自社ページを持っています。BtoBプラットフォームとしても、よく使われています。現在では、全世界で会員数が7億人を超えています。
徳:ビジネスパーソンSNSで7億人はすごいですね。
チ:Linkedinは、元々はプロフェッショナルのために生まれたプラットフォームです。今はコロナの影響で、よりユーザーが増えているそうです。
徳:なるほど。展示会、オフラインセミナー、技術研修会ができなくなってしまったので、顧客接点をもつ手段や、自社の情報を発信する手段としてLinkedInをはじめる企業が多いですね。
チ:そうですね。これからもっと増えていくと思います。LinkedinはBtoBマーケターにとって価値あるデータを沢山持っているので、明確なターゲティングができます。
チ:Linkedinは登録ユーザーのデータをかなり細かく収集していて、BtoBマーケティングを行う企業にとってかなり使いやすいプラットフォームです。業界から職種、会社名、会社規模、役職、場所、個人間のつながり、所属グループまでデータが見られます。
徳:なるほど。その情報をもとにターゲティングもできるんですね。
チ:はい。Facebookでも肩書きはありますが、LinkedInの方がビジネスに特化しているので、より詳しいデータを持っています。
ボカン編集部コメント
Linkedinと主要SNSの登録ユーザー数比べ(全世界、2020年データ)
・Facebook:27億人
・Instagram:10億8,200万人
・Twitter:3億2,600万人
・TikTok:8億人
・LinkedIn:7億600万人以上
2. LinkedInビジネスページの作成
徳:SNSを活用したBtoBマーケティングでは、リード獲得の8割がLinkedin経由というデータがありますが、そもそもどうやってLinkedinでページを作るのでしょうか?
チ:Linkedinでは、まずビジネスページを作る事が必要です。多くの企業は、ビジネスページを作り、ブランドを構築して「自社のファン」を増やしています。またLinkedin広告で「自社ターゲットに広告を出す」こともできます。
徳:まずは公式ページを作って、情報発信してファンを増やしていくこと、Facebookのように広告を配信して、会員登録をして自社情報をみてもらうこともできるんですね。
チ:そうですね。
徳:具体的にどんなふうにページを作成するんですか?
チ:LinkedInでは、下記の3つのコンテンツを発信することができます。
①会社のストーリーを発信する、コーポレートコンテンツ
②自社の理念を発信する、ソートリーダーシップ
③お客様の声
一つずつ見ていきましょう。
2-1.Linkedinのコンテンツ①会社のストーリーを発信
コーポレートコンテンツでは、「舞台裏の状況や商品開発ストーリーなど、裏話」を発信することできます。他にも、自社が達成できた目標やマイルストーンの発信(売り上げや決算報告)にも向いているコンテンツです。
会社が実際に何をやっているのかは、多くの担当者が知りたいコンテンツです。実際に、企業と取引する際に、仕事状況を知ると安心感を持ってもらえ、成約に繋がりやすくなります。
たとえば、フランスのアウトソーシング会社「Teleperformance」のCEOは、テレビに出演して会社の業績を紹介した動画を、自社ページで掲載しています。
徳:なるほど。日本では有名だけど、海外では知られていない日本の製造業やメーカーさんが、LinkedInページで「代表インタビュー」やテレビで取材された時の映像を掲載することで、会社の規模を知ってもらうきっかけになりますね。
チ:そうですね。信頼度が高まりますし、お客様の不安点も解決できるので、活用する価値があると思います。
2-2.Linkedinのコンテンツ②自社の理念を発信する
「ソート・リーダーシップ」は日本では馴染みのない言葉ですが、特定の課題やテーマに対して、企業がその解決策となりうる主張や理念などを定めて、「顧客または社会の共感を得るために行うマーケティング活動」のことです。(ソート=Thought、思想)
簡単にいうと、御社のビジョンが「どうやって顧客や社会課題の手助けになるか?」その課題の手助けになるソリューションやコンテンツを提示することです。それが、ファン育成にも繋がります。
Jacobs(ジェーコブ)というアメリカでエンジニアリングと建設サービスを提供している会社は、自社のLinkedInページで「ダイバーシティ」について見解を発信しています。このようなコンテンツは、実際に自社サービスに直接の関係はないですが、自社の考えを発信していくことが大事です。
徳:なるほど。企業のPRだけではなく、自社のフィロソフィー(理念)や哲学を発信する手段としても使っているんですね。
2-3.Linkedinのコンテンツ③お客様の声・事例
定番である「お客様の声」や事例、またはプレスリリース(新商品・新サービスの情報)などです。自社情報を一方的に発信するだけでは、信憑性がないので「お客さんインタビュー」など成功事例コンテンツが大事になります。
たとえば、Jabil(ジェイビル)というアメリカの電子機器の受託製造サービス会社は、自社LinkedInページで「ウォール・ストリート・ジャーナル」に掲載された、自社に関する記事を発信しています。第三者の評価を掲載することで、会社の信頼度を高めることができます。
徳:なるほど。タイムライン上で、会社の思想や取り組みを見れることで「こういう会社なんだな。」って理解できるのはいいですね。
3. LinkedIn広告の特徴
徳:Linkedinで活用できる広告ってどんなものがあるのでしょうか?
チ:広告を配信するためには、まずビジネスページを作る必要があります。自社ページを充実させた後に、広告を配信するとより効果的です。
徳:なるほど。ビジネスページと広告はどういう風に組み合わせて活用できるんでしょうか?
チ:LinkedInはプロフェッショナルのネットワークを作るために作成されたツールなので、精度の高いターゲティングができます。ターゲティングできるセグメントを紹介します。国や地域、性別、年齢、学歴、職務経歴、興味関心など、かなり細かく絞って配信できます。
たとえば、大学研究室者の化学原材料を売っている会社があった場合、日本の大学に勤めている研究員向けに広告を配信したりできます。
徳:すごく細かいターゲティングができますね。
チ:はい。LinkedInは唯一のビジネス向けSNSなので、うまく活用できれば効率よくリードの獲得や売上に繋げることができます。
アメリカのクレジットカード会社であるAmerican Express(アメリカン・エキスプレス)は、LinkedInを活用することで、中小企業のオーナーさんに向けて情報を発信し、リード獲得コストを23%も下げることに成功しました。
4. LinkedIn広告の種類
徳:LinkedIn広告の特徴はわかりましたが、具体的にどんな広告を配信できるのでしょうか?
チ:LinkedInの広告は大まかに分けて、
「ブランド認知(Brand Awareness)」
「検討(Consideration)」
「コンバージョン(Conversion)」
の3種類があります。配信する目的に応じて最適なものを選択しましょう。
① ブランド認知(Brand Awareness)
このキャンペーンの課金モデルは、CPMです。要するに、1,000インプレッションを獲得できた都度、広告費を請求されます。ブランド認知が目的の場合に有効的な広告です。
すでに顧客が一定数がいて、さらに認知を拡大したい場合に使うことができます。ブランドを立ち上げたばかりや、すぐに売上や成果を出したい場合には、次の②検討と③コンバージョンがより効果的です。
②検討 (Consideration)
お客様に自社の商品やサービスに関心を持たせたい、検討させたい場合に、この「検討」キャンペーンを使います。たとえば、自社サイトのアクセス数、エンゲージメント数、SNSシェア数、プロモーションビデオ視聴数、LinkedInフォロワー数などを増やしたい場合に有効です。1フォロワーあたり、いくら使うかなど細かく設定できます。
徳:なるほど。KPI(重要業績評価指標)を重視する場合は、こちらの「検討」キャンペーンを中心に使っていくのでしょうか?
チ:そうですね。フォロワー数を獲得のキャンペーンはよく見ます。
徳:なるほど。まずは、この
①ブランド認知(Brand Awareness )
②検討 (Consideration)
を使って、認知やフォロワーを増やせますね。
③コンバージョン (Conversion)
3つ目、最後のこのキャンペーンは、②検討 (Consideration)と似ていますが、お客様に自社商品に関心を持たせるだけではなく、成約まで繋ぎたい場合に有効なキャンペーンです。「問い合わせフォーム記入」や「商品購入」など、さらに具体的になアクションに最適化できます。
ただ、このキャンペーンの難易度はかなり高いです。最初は「②検討」のキャンペーンを配信し、関心を持ったお客さんのデータを集めてから、③のコンバージョンキャンペーンに移すことをオススメします。
徳:なるほど。目標に応じてキャンペーンを使い分けするんですね。最初から問い合わせを獲得するのはむずかしいですよね。。
チ:そうですね。まずはホワイトペーパーやニュースレター登録をゴールとして設けることもできます。ホワイトペーパーの広告を出して、反応してくれた人向けにさらに広告を出すやり方もあります。
5.Linkedinと自社サイトの組み合わせ
徳:Linkedinはお客さんにアプローチする手段として有効ですが、その受け皿になるWEBサイトも、LInkedInのキャンペーンなどに合わせてホワイトペーパーなどを用意しないと成果につながらないですよね。
チ:そうですね。Linkedin・ウェブサイト両方の最適化が必要です。
徳:日本企業が英語サイト作る際に、日本サイトをそのまま翻訳してる場合がよくあります。日本と海外では「顧客が知りたい情報」はそもそも違うので、一番メリットを感じてくれる事例、サイトの見せ方など海外向けに変える必要がありますね。
チ:そうですね。見せ方の話では最近ウェビナー(ウェブセミナー)が増えています。社員が自社サービスなどのアピールをする事例も多いです。LinkedInから興味関心のあるオーディエンスを探してきて、メルマガに登録してもらいセミナーに参加してもらう流れです。
徳:ウェビナーで自社技術や事例を紹介し、問い合わせに繋げるフローもあるんですね。
チ:はい。BtoBなどのニッチな商材を扱う業態では、Google広告ではそもそも検索ボリュームが少なく、目標達成するのに十分なアクセスが獲得できないケースが結構あります。そこでLinkedInを活用して、認知やリードを獲得するのはとても効果的です。
徳:こういったLinkedIn広告や海外のリードを獲得していきたい製造業やメーカーさんはぜひチャンさんにご相談ください。本日はご説明頂きありがとうございました。
チ:ありがとうございました。
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文・編集:兼村、加納