「全員採用は経営の手段でしかない。」(スクラム採用 Advent Calendar 2019)
ごめんなさい、「スクラム採用」について書くのを、やめました。
「スクラム採用」は今後、スタートアップ/ベンチャーの1つの採用手法として主流になっていくでしょう。非常に理にかなっているからです。
けれど、決して忘れてはいけません。採用は目的ではなく手段であるということを。
そう、全員採用はあくまで事業経営の1つの手段でしかないのです。
<こんな人に読んでほしい>
(※ここでいうスクラム採用という言葉の定義は、名付け親のHERPさんに概ね従っております。開発のスクラムとは異なることをご了承ください。)
<自己紹介>
重藤(@yukishigedo)と申します。僕は、Ubie(ユビー)という医療AIスタートアップにて、人事を10%くらい担当してます。
「世界一の会社、事業、組織を。」という想いから、前職のリクルートキャリアを飛び出して、1年半前にジョインしました。Ubieはエンジニアを中心に60名の組織で、採用はBizDevも強化しはじめました。
12/1より開始したスクラム採用 Advent Calendar 2019の12/2の回です。
実は、ちょうど1年前に、今でいう「スクラム採用」について書きました。
ベンチャー採用 Advent Calendar 2018です。
<2018年「採用は人事にはできない。」まとめより引用>
あれから1年たった令和元年末、スクラム採用の様々なメリット、具体的な事例、素晴らしいノウハウやナレッジ等については、明日以降の皆様が沢山書いてくださると思います。書いてくださる前提で、私は皆様に甘えさせていただき、スタートアップのBizDev兼人事の立場で、「何のために」スクラム採用をしているのかという話をします。(※なぜ今、手段として「スクラム採用」なの?という話ではございません。)
1. 全員採用の「経営」メリットとは
不確実性・複雑性の高い現代において、特にスタートアップ/ベンチャーでは時間軸分の変化量が大きく、企業の置かれる状況により、事業経営は目まぐるしく変化します。それにともない、事業・サービス・プロダクト開発のみならず、組織・採用もアジャイルに変化・進化させる必要があります。
スクラム採用のように現場自体が採用に役割を持つと、トップダウン的のみならずボトムアップ的に現場の当事者としてのリアルかつリアルタイムなニーズやその変化を捉えることができ、それを採用に直接接続することができます。全員採用は、事業経営の変化によって現場に生じている機微を、採用に接続するときの「精度」と「スピード」を格段に進化させることができます。
結果として、トップダウンや中央集権的人事主導の採用よりも、より入社後定着活躍するハイパフォーマーを採用することができ、採用の質向上に繋がり、事業がより推進されます。
2. 全員採用が「目的」になるとダメな理由
流行り始めた全員採用。理にかなっているわけだし、この全員採用を推進していこう!と考えている事業経営者や人事の皆様、ちょっと待ってください。たしかに現場の機微は瞬時に精度高く吸い上げられ、直接現場が採用の主体者となるので、現場的に「いい人」を採用する可能性は高まります。ただそれだけでは、現場と経営のズレが起きて、部分最適に陥るリスクがあります。事業経営の結果として生じた現場の機微は捉えられても、事業経営の機微を現場が捉えられなくなると本末転倒です!このズレの大きやリードタイムが命取りとなります。
事業経営の変化もいかに精度高くスピーディーに現場が捉えて、採用のみならず、メインミッションの日々の思考や行動に活かすかが重要なポイントとなります。
3.事業と組織と採用をつなげる
経営者や人事の皆様には、釈迦に説法ではございますが、事業戦略を推進する組織戦略であり、組織戦略を推進する採用であるかと思います。
昨日12/1の別のアドベントカレンダーでもbosyuの石倉さんが人事のコアは事業や会社の成長に資することであると述べられています。
これらの、事業と組織と採用が有機的につながり続けている状態をいかにつくるかが問題です。そのポイントになることを挙げてみます。
事業・組織・採用について全員が関わり続け解像度が高いと、全メンバー1人1人が、事業経営・組織づくり・採用の当事者自身となります。全社目線と現場感覚を持ち合わせた上で、採用の主体者となれることや、日々のメインミッションの思考や行動にも活かすことができることのみならず、全社のベクトルの一致や相互コラボレーションを生み出すことができます。
4. Ubieの事業と組織と全員採用事例
Ubieではオープンで率直なコミュニケーションをとれることが採用要件かつバリュー(stay healthy)かつカルチャーとなり、全情報がアクセス可能となります。例えば資金などのお金まわりや、事業計画、OKRやそれぞれの事業進捗、組織やカルチャー、自身の担当以外の人事や採用、社内での全チャットの会話、社外とのメール等をみることや、それに率直に意見することができます。
例えばあるチームのフロントエンジニアが、別のチームのカスタマーサクセスの採用の内容をみて意見することもできますし、ある事業チームのマーケターが、別の事業チームのセールス戦略戦術に意見することもできます。役職など上下の概念もなく、フラットに役割をもった組織となります。また、そのプロフェッショナルである担当者が最も優れた判断と行動をとれるという思想のもと、その担当者が自律的に決めて行動することを推奨しています。この経営思想が全員採用と非常に相性がいいです。
事業と組織と採用をつなげることに一役買っているのがOKRの仕組みです。全社のOKR、チームのOKR、個人のOKRが全て共有されており、全ての中から自分のOKRを自ら100%つくっています。つまり事業経営の戦略や優先順位などの全体像を把握した上で、自分の役割を考えて決めることができるのです。結果として、全社のベクトルの一致や相互コラボレーションが生まれます。
こと「採用」においては、事業戦略を理解した上での、現場主導の自律的な採用はもちろんのこと、各々の強みを活かしたコラボレーションも生まれています。
Ubieに専任人事は元々1人もいませんが、人事を兼務しているメンバー以外が、自信の強みを活かして、採用にも主体的に絡み、ミッション(OKR)を定め、実現しています。
結果として、創業当初より実践しているため、フルタイムメンバー33名全員が全員採用となっています。(また、スクラム採用と相性がいい採用リードを集める手段であるリファラル採用の比率は70%を越えています。)
また、採用後のオンボーディングにおいては、「スクラムオンボーディング」を実施しています。各役割の人々が、新しい入社者に対して自身の役割やチームの概要インストールを行います。例えば、ビジョン・ミッション・バリュー、OKR、採用、業界知識、プロダクト、海外事業、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、データサイエンスに、デザイン等を新しい入社者とその担当がコミュニケーションをとりながら全員でオンボーディングに携わります。
結果として、入社後すぐに事業・組織・採用の全体像の把握ができた上で、共有されている全社・全員のOKRをもとに、自身のミッションを定めたり、採用にコミットすることができます。
5. 全員採用は「全員経営」の手段へ
採用人事の役割は、採用の主体者から採用のファシリテーターに変わり、採用や組織や事業経営の主体者は全メンバーに変わったときに初めて、全員採用は経営の手段としてその真価を発揮すると思います。事業を推進する強い組織と全員採用は鶏と卵で、やはりマーケットの理に叶っていますね。
スクラム採用に満足してはいけません。
スクラム採用が目的になってはいけません。
全員採用の真価を発揮する「全員経営」できていますか?
Ubie株式会社 重藤 祐貴(@yukishigedo)
Ubieは全員人事に携わっているため専任人事は0名です。
人事ではなく、BizDev(ビジネスサイド)の採用募集をしております!
スタートアップの採用・組織づくりについてのお話も是非!
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