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ピエール=オーギュスト・ルノワール / メトロポリタン美術館
詩 セックス
わたしはひとりの相手とのセックスしか
しらないの
その相手との時間が
互いにとってしあわせな時間だったかどうかは
ずっとずっとわからない
わたしにとってセックスは
ちょっとキスをして抱き合うぐらいでいいの
この小さいいびつな胸とか
くびれのない腰とか
カタチの悪いお尻とか
いちいち触ってくれなくてもいい
それ以上なにがあるのか
わたしはその先のものがみえないし
イメージもできないし
したいとも思わない
「もっと」を望むなんて
まるでお金を稼いでも稼いでも満足できないような
そんなかわいそうな欲望が溢れ出てくるみたい
夜の静寂と きれいな月の光の中で
そんなドロドロとしたものを垂れ流していたら
せっかくの繊細なレースのような時間が
台無しになってしまうと思うの
抱き合うだけでね、
会話をすることで得られない何かが
そっとわかる気がするのよ
あなたの肌の質感と体温を教えてほしい
それだけなの