来たる2020年の東京五輪に向けて伝えたい「東京ベイエリア」の魅力
いよいよ来年は東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。
その東京オリンピックでは全43会場のうち、13会場が東京のベイエリアに集まっている上、オリンピック選手村も中央区の晴海に建設されています。
そんな「東京ベイエリア」(以下、湾岸エリア)という場所がどのくらい知られているのか。まだ知らない方にその場所の魅力を伝えるべくこの記事を書いています。
東京都心のすぐそばにゆったりした静かな時間が流れている場所があることがどのくらい知られているでしょう。東京だけど、東京を感じさせない場所。そこはまるで喧騒を知らないオアシスといっても過言ではありません。
そんな湾岸エリアに通い続けて、早10年。
過去に住んでいたわけでもなく、職場があったわけでもなく、かと言って誰かに頼まれたわけでもなく、"ただただこの場所が好き"という理由でこれまで長い間訪れては写真を撮ってきました。サードプレイスってやつです。
10年前はサラリーマン。今は駆け出しのフォトグラファー。過去も今も環境は変われど、東京湾岸を愛する気持ちでは誰にも負けません。
本当に、マジで、心の底から、この星でもっとも東京湾岸の景色に強烈で揺るぎないロイヤルティを感じているのはハスミです笑
この記事を書くことによって東京にこびり付いた雑多なイメージを少しでも和らげることと、東京にもこんな場所があったのね!という新たな気付きを多くの方にもたらすことができれば、と思っております。(おまえ東京のなんなんだ)
2020年、世界中から熱視線を浴びる場所!
改めていよいよ2020年に東京オリンピックが開催されます!開催が決定した時はまだ7年もありましたけど、あっという間にもう来年・・湾岸エリアの中でも特に江東区は競技会場数が最多を誇ります。
画像参照:東京都オリンピック・パラリンピック準備局
中央区の晴海には大会中に出場選手が滞在する選手村が、江東区有明の東京ビッグサイトには国際スポーツ大会開催時に設置される放送センター及びメインプレスセンターなどが配置されるので、時限的ではありますけど、間違いなく世界的に人も注目も集まる場所になります。
そもそも東京湾岸エリアってどこ?
まず、東京の中心部は大きく都心エリアと湾岸エリアに分けられます。
ざっくり地図上の円のところが「湾岸」と呼ばれるエリアで、東京ディズニーリゾートからそこそこ近い場所に位置しています。
文字のごとく「東京湾の岸」なだけに広く言ってしまうと千葉や神奈川まで入ってしまうのですが、主に都心部に近い、中央区 勝どき、晴海、月島、佃、江東区 豊洲、東雲、有明、港区 台場、芝浦など、沿岸地域を指すことが一般的になってます。
その昔、当時の青島都知事が世界都市博を中止にして話題になった場所、と言えば伝わる人には伝わるかもしれません。(古すぎ?)
また、フジテレビの移転や踊る大捜査線で一躍有名になったお台場、築地からの市場移転問題で世間を大いに騒がせた豊洲などはある程度、名が通っているでしょうか。毎回コミケでにぎわう東京ビッグサイトも湾岸エリアにあります。
たまたま通りかかって・・・気付けば10年
このエリアを好きになったきっかけは2008年、埼玉の田舎から東京に移ってまだ2年目の時。
当時勤めていた会社の健康診断を休日の朝一に有楽町のビルで受診して、終わったのが9時半くらい。だいぶ時間を持て余してしまったので、当時はまだ未開の地だったエリアをちょっと冒険してみようと有楽町から銀座、そして築地へと道なりをぶらぶら歩いていると、目の前に現れたのが隅田川とこち亀での話が印象的だった勝鬨橋でした。
画像参照:こち亀.com
そのこち亀の知識で勝鬨橋のことは知っていたのでさっそく渡ってみたら、初めて見る東京のきれいな景色にまぁ〜感動したんです。
「東京にこんなきれいなとこあったんだ・・!」と。
上の写真がその景色なんですけど、当時すごくきれいに映りました。
元々大学時代に建築をかじっていたこともあって、町並みなどはつい意識して見る癖があるのですが、あれこそまさに一目惚れでしたね。
もう一つは、埼玉という海なし県で生まれ育ったせいか、小さい頃から広大な範囲の水を見るとなぜか興奮する習性があるんです。今もなお。海なし県生まれあるあるかも?同じタイプの人なら大いに興奮できると思う。
時間さえあれば意図的にこのエリアに足を運ぶようなり、気付けば10年の歳月が。最初はコンデジでしたし、その頃は若かった・・
わかりやすい東京湾岸エリアの特徴
魅力を語る前に良い部分ばかりアピールするのもあれなので、事実に基づいた特徴も書いておきます。
・摩天楼のように林立するタワーマンション群
歩いてみると一目でわかるほど、そこら中にタワーマンションめっちゃ建ってます。
もともと工業地帯や更地が広がっていた湾岸エリアは、東京の中ではまだ完成されていない街、という比較的新しい場所なんですね。そんな場所が90年代後半になるとあれよあれよと開発されていき、タワーマンションが林立し始めました。何と言ってもバブルが崩壊して地価が下落した都心エリアに人が戻る「都心回帰現象」と、1997年の建築基準法の規制緩和によりタワーマンションの建設に拍車がかかった、というわけなんです。
今は慣れて何も感じなくなりましたけど、1棟1000戸規模のマンションが一体いくつ建っていることか・・。数年後、中央区の湾岸エリアではさらにタワーマンションが立ち並ぶので、ニューヨークのような様相を呈します。チューオークなだけに。
・日本の「人口減少社会」とは無縁の場所
もう何年も前から日本の人口は減少に転じていますが、このエリアは真逆なんですね。
2045年まで都心3区(千代田区、中央区、港区)の人口は増え続ける、という推計結果も出ているくらい、新たな人口の流入が止まりません。
マンションが増え続けると必然的に人口も増え続けるので、大規模なマンション建設が止まらない湾岸エリアでは、順調な時のシムシティのように人口が増え続けています。
中央区では、59年ぶりに人口が16万人を超えたというニュースも。人口が急増すると保育所、学校、病院、交通網など様々なインフラを整備しなければならないので、そういう面では多くの課題も抱えている場所でもあります。
・1日単位で景色が変化していく開発の早さ
景色の変化が早い場所、東京。
そんな東京の中でも変化が早い場所、湾岸。
オリンピックの開催が決定して、さらに拍車がかかりました。
例えるなら、たまに会う友人の子供の成長と同じかそれ以上の早さ。
やや古い例えですが、イケイケドンドンな状況で個人的には全国で最も景色の変化が早い場所だと思ってます。場所によっては10年前とは違う場所なんじゃないかと思うほどの変わりよう。
ミスチルの「東京」という曲の歌詞がよくマッチします。
・湾岸エリアに住む人の特徴
ある広告会社が湾岸エリアに住む人々の特徴を調査したレポートがあります。
上記の記事によると、変化が多様な湾岸エリアに住む人は既存の価値にとらわれず、魅力的で価値あるものを自分のライフテーマにあわせて編集して生活に取り入れる志向を持った人物が多い傾向とのこと。湾岸のマンションにお住まいの人って東京の他のエリアと比べるとややお若い人が多く、ハイセンスな印象も受けるのでこれはわかる気が。
湾岸の暮らしを好むのは、変化を楽しめる人々といったところでしょうか。あくまでも傾向のお話です。
東京湾岸エリア特有の魅力
前置きがだいぶ長くなりましたけど、ここからが本題です。
湾岸エリアが東京のオアシスだと思う理由も併せてつらつらと書いてみます。
1. 東京の中でも一歩先を進む場所
去年、NHKの特番でこの湾岸エリアに焦点をあてた番組が放送され、湾岸エリアは「壮大な社会実験ができる場所」と謳われていました。ここ湾岸では、一足先に水素で走る船やバスの実証実験が行われています。
また、オリンピック閉会後にマンションとして分譲される選手村にも水素が活用され、エリア内のマンションや商業施設に水素エネルギーが供給されます。本格的な水素インフラを利用したマンション共用部での水素エネルギーの活用は日本初です。ありとあらゆるモノが水素エネルギーを利用して稼働する「水素タウン」になる予定です。
2. 東京らしからぬ整然としたきれいな街並み
湾岸の景色、東京の他の場所と比べてもすごくきれいです。
少し専門的な話になってしまいますが、基本的に建物を計画する上で景観色彩ガイドラインという基準があり、それに基づいて建築計画を行う必要があるんですね。湾岸エリアは水辺景観形成特別地区というエリアに該当し、規定の基準に従わなければなりません。
要はまちづくりを行う上で、見える景観の統一を図っているということ。故に街並みがきれいなんです。
湾岸が好きな大きな理由の一つに見える景色の色があるんですけど、空と水面の「青」、草木の「緑」、建物と雲の「白」。田舎育ち故に自然が大好きなのですが、これらの色って山などで見れる色と同じなんですよね。
例え人工的につくられたものとはいえ、都会で自然界に近い色を見れるのは田舎出身者の自分的にはかなり大きなポイントです。
街の景観がきれい、というのは東京世田谷の二子玉川などにも言えることで、近年になって開発された場所のメリットです。
3. そこら中に広がる癒やしをもたらす水辺の空間
ひとことで 湾岸 = 水辺です。
とにかく水が多いので両生類なら大喜びなわけです。
その水との距離感がすごく近いんです。これは東京の中でも、人に安らぎを与える水面を貴重な空間資源として最大限に活かすための演出と水際線と人の距離を縮めるための工夫が進んで行われている場所、と自分は考えてます。
疲れている時なんか揺れる水面を見ると、そこはかとない癒しのようなものを感じますよね?
湾岸には刺激が少なく健康的(清潔)であり、尚且つ心おだやかにゆっくり落ち着けくつろげる場所がとても多いんです。水面との距離が近いとやっぱり心理的にも良い影響を与えてくれると常々感じます。
4. 東京にいることを忘れさせる時間の流れと静けさ
湾岸って東京のくせにすんごい静かです。昼も夜も。
静かすぎて聞こえてくる音といえば、ちゃぷちゃぷと聞こえる水の音、鳥のさえずり、夏の夜に聞こえる虫の涼しい音色。静けさは写真では伝えられないので、わかりやすく言うと、目をつむってヘッドホンで湾岸の音だけ聞いたら東京とは思えないくらいかと。
行き交う水上バスや屋形船を見ていると、きっとゆったりした時間を感じられるはず。そこら中にぼーっとできる用のベンチが設けられているので、座った際にはただただ一点だけ見つめちゃってください。ちょっとあったかくなってきた春先なんて最高です。
5. 決して当たり前ではない、活気に満ちたオープンスペースの多さ
湾岸では水辺の近くに公園やテラスなど多くのオープンスペースが設けられているのですが、それらの利用率の高さときたらもう!特に休日なんかは午前中から夕方までお子さんを連れた多くのファミリーやカップルでワイワイにぎわってます。
これ、江東区の豊洲なんかではごく普通の光景だったりするんですけど、世の中には使われていない寂れた公園なんて多々ある中で、これって公共スペースとしてはすごく幸福度の高い使われ方だと思うわけです。
湾岸には意図的に訪れたい、過ごしたいという気にさせる空間が多いうえに常ににぎわいがあるので地域のコミュニティにもすごく良い影響を与えている印象を受けます。誰もいない公園よりもにぎわっていた方がどこか心も弾みますよね。
6. 街がきれい、だから治安も良い!
きれいな街は治安もいい!
過去に湾岸で物件選びをした時に不動産営業の人も言っていましたけど、湾岸エリアは東京の他の場所と比較して治安が良いです。
湾岸エリアでテレビのニュースになるほどの物騒な事件というのはほとんど聞いたことがありません。
人間ってきれいな場所は汚さないじゃないですか?汚い場所はどんどん汚れていきますけど。恐らく、景観の清潔さが心理的にそういうところにも影響をもたらしているのではないかと思うわけです。
ニューヨークかぶれなので、なんでもNYで例えたがるんですけど、30~40年前のNYは有数の犯罪都市でした。その頃は地下鉄も街も落書きだらけの汚い場所だったのですが、市長が変わって全力で街をきれいにすることを掲げたところ、犯罪件数は劇的に改善していった、という事実もあります。
きれいな場所ではきれいな心が育つ、ということですね。
7. 走る人には最高の環境!そこら中が開放的なランニングコース
湾岸で多く目に入ってくるものといえば、水辺とマンションと走っている人です。水上バスよりもゆりかもめよりも多く見かけます。
なぜならば湾岸エリアはランニングコースの宝庫だからです。(走ってない自分がこんなことを書くのも気が引けるんですけどね)
「ここ、走っちゃってください!」と言わんばかりのまちづくりと言いましょうか、湾岸エリアの水際には走れる場所が数多く存在しています。
走るのが好きな人のための街、と言っても過言ではありません。
隅田川のテラスや豊洲ぐるり公園などなど、車と接しない安全なルートが多く設けられています。やっぱり水際を走るのって気分が良いし、爽快なんですよね。
特に夜は夜景が超絶きれいなので、それを見ながら走るのも最高です!
8. 東京都心から一番近い絶景スポット「晴海運河」がある
あの高級繁華街・世界の銀座から約2.5km南には晴海運河という広大な運河があります。この運河、様々な気象条件によって色んな表情を魅せてくれるんです。兎にも角にも空の広さよ!
この晴海運河から空を見ると都心のようにビルに遮られていないので、遠くまで見渡せることができます。空が広いだけで心地よさと爽快さと快適さを感じるのが人間じゃないですか。
都心からこんなに近い場所に都会らしからぬ光景を見せてくれるスポットがあることを知っていただけたら幸いです。
9. そこら中が夜景スポット!湾岸夜景の主役はタワーマンション
東京の夜景を形成しているのは、大きく都心エリアのビル群とここ、湾岸エリアのタワーマンション群です。きっと多くの方が見ているでありましょう、六本木ヒルズの展望台「東京シティビュー」から見るとちょうど東京タワーの背景のきらめきをつくっているのが湾岸エリアです。
ただ、都心の夜景と違って湾岸の夜景は残業によるものではなく、そこに暮らす人々の営みが光となって灯っています。湾岸にはマンションが非常が非常に多いので、もはやマンションそのものが夜になると巨大な照明のようにあたたかい光を放ちます。
どこを向いても本当に美しく感じますね。
湾岸の夜は静まり返っている上に夜景がきれいなので、散歩している犬の表情もどこかうっとりしてます。
湾岸エリアは既存の東京のイメージをくつがえす場所
地元の友人にもいますけど、東京 = 人が多すぎる、騒がしい、街や空気が汚い、道が狭い、人が冷たいとか・・東京に対してネガティブなイメージを抱いている人って相当数いらっしゃいますよね。
イメージが一人歩きしているだけで、実際はそれと異なることがこの世の中では往々にしてありますが、広い空、開放的な水辺、きれいな街並み、昼夜問わず静かな場所、ゆっくり流れる時間など、既存のイメージにはない東京が湾岸にはあります。
あの快適な心地良さはきっと癖になります!自分は田舎育ちのせいか、今ではごみごみした都心部よりも湾岸の開放感がすごくフィットします。
ツイッターで「東京は疲れる・・」とつぶやいている人の多いこと。自分もブラックな所にいた頃はおかしくなりそうな時期がありました。これからも上京して心身ともに消耗していく人って後を絶たないはずで、しんどい時に気分転換できる場所として知ってもらえたら幸いです。
この10年の湾岸を振り返ると見える景色は劇的に変化しました。
オリンピックに向けて、競技会場や選手村、または大規模なマンションの建設が止まりません。マンションに至ってはオリンピックが終わってもまだまだ建設されます。
開発が止まらない場所だけに今後10年後、20年後にはどうなっているかはわかりませんが、来年は間違いなく盛り上がる場所になります。選手村に滞在するアスリートの皆さんにも湾岸エリアの環境を気に入ってもらえたら心底嬉しいですね!笑
東京で疲れた際にはぜひ、都心から近くの湾岸エリアへ。