あなたの夢は何ですか?の攻撃力Lv.1,000,000,000,000
「目標」じゃないですよ。
「夢」です。
答えられますか?
いや、いやいや、答えられるかーーーーい!!!
人生で一回だけ、はっきりと、真剣に、聞かれたんですよ。4年前に。
その日は、とあるVCの方との面談でした。
※VC…ベンチャーキャピタル。未上場のベンチャー企業に出資をしてキャピタルゲインを得る会社や人のこと。
勤めていた会社で事業の責任者をしていたので、話を聞きたいと場が設けられまして。
コロナ禍だったこともあり、VCの方はオンラインで。わたしは小さな会議室から入りました。スキンヘッドの温厚そうな方?(矛盾を感じなくもないですが笑)で、ちょっと雑談して、ささっと本題へ。本当にありがたいことに、こちらも緊張することなく面談は始まりました。
会議室のモニターから飛んでくる質問。まあ、卒なく、淡々と、ありのままに、答えました。
「どういうことが事業のリスク(マイナスの)になり得るんですか?」
ー(そうですよね。気になりますよね。わたしも毎日その恐怖と闘っています。)と、心でつぶやきながら、主要売上の傾向からリスクをきちんと伝えつつ、どう言う対策が必要かを回答。
「同じような事業を行う会社もあると思いますけど、他社とは何が違うんですか?」
ー(これも想定済み。まあ極論、どんなサービスも真似できちゃうからな。)という気持ちはビジネスパーソンなら誰しも感じることがあると思いますが、求められているハナシはそういうことじゃないので、わかりやすいキャッチになるようなものを回答。
「今後の事業の展開は?」
ー(ですよね。今のままじゃ限界あるってことは理解してます! 目の前のことで精一杯ですけど……)という、悔しい気持ちを押し込んで、短期・中期で考えを述べました。
他にも質問はあったけど、大体こんなように話は進んでいたと思います。
「事業のことについてはよくわかりました。ありがとうございます」
VCの方はニコニコしながらそう質問を締めくくってくれました。
ふう。
何とか乗り切っただろうか。
事業のことについて ”は” というのが気にならなくもないけど。
「最後に教えて欲しいのですが、あなた自身の夢は何ですか? 会社とか、事業とかじゃなくて」
ずっっっっどーーーーーーん。
バッサーーーーーー。
血がどばどばーーーーーー。
Lv.1,000,000,000,000くらいのモンスターに斬られた気分でした。
いや、ミュウツーでも降臨したんか?????
もはや気分じゃなくて、斬られて、心臓を掴まれて、引き摺り出されて、魔王に生きるか死ぬか選べと問いかけられたような。
モンスターなのか、ミュウツーなのか、魔王なのか、というのは置いておいてください。全部違います。VCの方(人間)です。すみません。
ああ、これだ。この人は、この質問がしたかったんだ。と、一瞬で理解しました。
控えめにいって地獄。
大袈裟にいって即死。
答えられない。嘘をつけない。画面越しに微笑むスキンヘッドに心臓を射抜かれて声が出ない。
まあ、実際1秒くらい固まったと思います。
もちろん、そんなことでへこたれるようなメンタルじゃないので、ニコニコしながらすぐに回答。
史上最強につまらない当たり障りのないことを。
4年前の自分をぶん殴りたいですね。
夢とかない。というか、夢とかいって事業の足元を掬われるようなことがあってはならない。夢とかいってる時点で才能に恵まれてない。わたしは好きで今のポジションじゃない。そんなわたしにケジメをつけるために働いているのだ。この事業をやり切ったと思えるゴールテープを切るために働いているのだ。
もう、誰かマジで殴ってくれ〜。
マジでマジでマジで。
そういう本音も全部隠して、当たり障りのないことを答えました。わたし自身の夢はないから、この事業をもっと大きくして今働いている250-300人が幸せになればいいと。これも本音です。嘘じゃない。心からそう思っていました。でも、自分としては、回答はしどろもどろで、多分ヘラヘラして見えたと思っています。
「そうですか。色々教えてくれてありがとう」と、優しく微笑まれて、本当にこの面談は終わりました。
この質問が、聞きたいことだった、というのはわかったのですが、何と答えるのが正解かはわかりませんでした。というか、正解不正解があるのかもわかりませんでした。
それで、なぜこの質問をしたのか、その背景もわからなかった。
でも、この時から、確実に、
「ああ、この質問に答えられる人生を歩みたい」
と、思い始めたのは間違いないです。
そうそう。それで、なんで急に4年前のハナシ?と言うことですよね。
時は流れて、4年後の昨夜。
大好きな魚豊先生の新刊が出ていることに気がつきました。
相変わらずの夜型人間ですので、気がついた時はめちゃくちゃ嬉しかった。
『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ 』という漫画なのですが、ついに最終巻。
まさかの、VCから
「あなたの夢は何?」
と、まっっっっっったく同じ質問をされるヒロイン。
4年前と同じように固まるわたし。
どう言う理由で、その質問をされたか理解できなかった4年前。
ページをめくると、魚豊先生の答えが書いてありました。
※ネタバレと言うほどじゃないかもですが、一応ここでは控えます。
あー。なるほど。あの時、わたしはこういうことを試されていたのかもなーと4年越しに腑に落ちました。
それで、不意に答え合わせができたような、大事なことを思い出したような気持ちになって、noteをカタカタと打っています。
もはや、その時「あなたの夢は何ですか?」と聞かれた理由があっているかどうかは正直どうでもいいのです。
4年前、それを聞かれた。
表面的な人間だったわたしを、打ちひしがした。
本気の大人が語る夢は、恐ろしいほど攻撃力が高い。いや、戦闘力が高い?って言えばいいのかな〜。
そういう人間になりたい、雪乃日でした⛄️
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