ミュージカル「Jailbird」観劇感想

 こんにちは、雪乃です。今日はMonoMusicaのミュージカル「Jailbird」を観てきました。というわけで感想です。若干のネタバレを含んでいます。

 いやもう本っっっっ当〜〜〜〜〜〜〜〜にヤバかったです。あまりにも好みど真ん中すぎる〜〜〜〜〜!!!!!!
 男役4人、刑務所を主な舞台とする「Jailbird」。登場人物が4人ですが、その4人の人間関係があまりにも濃くて……。今年観た舞台の中で一番濃厚だったかも。客席降り、というか客席までを舞台とする演出のおかげでとにかくキャストが近く、終始ドキドキしながら観劇していました。ワニズホールの天井が作品の世界観とマッチしていて、会場そのものがもはやセット。没入感がすごかったです。

 生きるレイヤーが異なる人間たちと、生と死と愛が一体となった世界。互いが溶け合うようでそんなこともない、愚かしさがある種の崇高さに転じる過程はいっそ美しい、そしてどうしようもない。4人のクズたちに翻弄され魅了されるノンストップ90分間、最高でした。

 キャラクター別感想を、さらっとですが書いていきます。

 煙草を持つ手が震える一瞬だけ人間らしさを垣間見せるものの、常に妖しく美しい「天使」だったシエル。傾国どころか万物の物理法則が乱れるレベルの圧倒的美青年でした。
 色情狂の教誨師・ロレンソ。すべての行動が「人を救うため」という目的のもとに一貫しており、それが動作の無駄のなさに繋がっていて、彫像のような美を感じました。
 少年を殺して荒野に捨てた塗装工・カル。シエルに魅せられた刹那もランスとの関係性が変化していく過程のどちらにも説得力があり、なにより濃い……!!!!個人的には幻覚に襲われるランスを抱きしめて子守唄を歌うシーンがめちゃくちゃ良かったです。私の脳内がプロの手によってそのまま出力されることってあるんだ。
 アルコール中毒の弁護士・ランス。全シーンで「ワーーーーーッッッ」ってなりました。好きです。特に最後の、うつろな目をしてカルの枕を抱きしめているランスの姿が忘れられません。
 「辺獄に花立つ」を含めMonoMusicaの他の作品を観たときにも思いましたが、現代では「生きづらさ」という言葉で枠線が作られ、「そういうもの」として世界に存在させられてしまう、そのもっと奥にある人生を描いてくれたところがすごく好きだなぁと思います。

 今年は「Jailbird」で観劇納め!のはずだったのですが、急遽「東京ローズ」を観にいくことにしたので、新国立劇場で今年を締め括ろうと思います。

 本日もお付き合いいただきありがとうございました。