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書くというバロメーター

忙しい日常の中で、忘れていないだろうか。
あなたの好きなもの。嫌いなもの。
今、感じていること。

子育て中のお母さんに、好きなアイスクリームのフレーバーを尋ねたら、返事がなかなか返ってこなかったという話を見かけた。子どもたちの好みを優先するうちに、自分の好きなものを忘れてしまったというお話。

子育てに限らず、仕事でも家事でも学校でも、ほかの人の求めに応じることが大切だとされがちだ。やるべきこと、求められていることを満たすべく奔走する間、自分の好き嫌いも感じていることも、邪魔だとばかりにはねのけてしまう。

そして気づいたら、自分のことが自分でわからなくなっている。無気力なのもイライラする理由も、自分以外の誰かのせいにしたくなる。自分の人生の手綱が行方不明で、不満ばかりがお腹の中で膨らむ。不安や苛立ちや憂鬱が、目の前の世界を染め上げる。


自分の内面を捨て置いて、まわりのニーズに合わせて奔走することは、人間がひとりで生きていけない動物である以上、避けられないことなのだと思う。でも、内面をおざなりにしすぎないよう、自分の心の状態を知るバロメーターがあった方がいい。

わたしにとってそれは、文章を書けるかどうか。noteの毎日更新を試みるうちに気づいたが、わたしには1000字前後の文章を2つ、3つ書ける日もあれば、全く書けない日もある。

自分の心の状態――夢中になっていることやモヤモヤひっかかっていることを自覚できているときは、滑りよく言葉がでてくる。一方でそれらを無意識のうちに抑圧しているときは、なんにも出てこなくなる。無理やり頭でひねりだして書き始めることもあるものの、こういうときは300字もいかないうちに嫌になってしまう。でも、見て見ぬふりをしていたものに意識を向けられたなら、とたんに詰まりが取れて言葉がやってくる。

心のバロメーターとして文章を書くことをつづけたならば、自分の内面をこれまで以上に大切にできるだろう。それはそのまま、わたしのまわりの人の内面を大切にすることにもつながるはず。

大切にしたい人を大切にするため、できる努力はつづけていきたい。



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深水 ゆきの
最後まで読んでくださってありがとうございます! 自分を、子どもを、関わってくださる方を、大切にする在り方とそのための試行錯誤をひとつひとつ言葉にしていきます。