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夜の楽しみひとつ減る
中学時代は視力0.3。高校時代で視力低下が加速し0.1。そこから視力が下がらないのが奇跡なのだが、もちろんあがりもしない。ずっと0.1をキープしている。
遠くが見えづらい、いわゆる近視で、旅行で壮大な景色をみたいときは眼鏡必須だが、PCや新聞をみるときはピントがあうので裸眼でOK。
本を読むときも裸眼。小さい文庫本でも問題なく、さっくさっくと読めていた。冬は布団に入り、枕を両脇の下に置き、眠くなるまで本を読むのが至福のひととき。体はぬくぬく、頭は冷え冷えで、本の内容がす~っと入ってくる時間。そして、ほどよく疲れて寝落ち・・・と冬のお楽しみのひとつだった。
だった・・・それももう過去のお楽しみ。
今年の冬はすこぶる寒い。必然的に布団に入る時間が早くなり、本の山から読みたい本を引っ張り出し、枕の横にセット。いそいそと布団に入り、枕を定位置に置き、スタンバイOK。さ~て、読み始めるぞとページをめくる。しかし、なんだかぼやら~として見えにくい。今日は疲れているのか?と目をぎゅ~っと10秒間つむり、パッと開く。いつもは大体これをするとクリアに見えるのだが、今回はそんな手は通用しない。文字がさらにぼや~っとし、見えにくいったらありゃしない。
視力落ちたかなとかなんとか思いながら、腕を伸ばしてみた。ふと本に目を移すと、文字がくっきり見えるではないか!
は!このポーズ。よくお母さんがスマホの画面が見えづらいといって画面を遠くにするポーズ。お父さんが新聞を読むときに腕をぴ~んと伸ばして読むポーズ。
ろ、老眼ではなかろうか・・・・
とうとう、老眼がわが身にやってきた。
「そんなに遠くにしてよく見えるな」
わっはっは~と笑っていたが、もう笑えない。
こんなに腕をピーンと伸ばさないと読めないとあっては、腕が寒くて仕方ない。本立てを遠くに置くことも考えたが、いちいちめくるたびに腕をのばさなくちゃいけない。
こうして、年を重ねたことにより冬の楽しみをひとつ奪われたのである。これがまさに年をとるとできないことが増えていくというやつか。
老後の楽しみにとっておくなんていうが、老後に楽しみなんてとっておいたらできなくなっているかもしれない。と老眼になり危機感を募らせている冬の夜。
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