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楽しくなると自分の話が止まらないだめ子
ライターの三種の神器は人によって違うがわたしの場合は
1.スマホ(カメラ兼ボイスレコーダー)
2.ノートとペン
3.名刺
と書いたものの、最悪、ノートとペンだけあればなんとかなる。取材は事前リサーチしたものの確認と、あとはその情報以外の”ネタ”をどれだけ引き出せるかの力量と思っているので、最後は自分の記憶で乗り切る。
念のために録音もするが、聞き直す時間がもったいないのと結局、ノートに走り書きしたものが一番ズドンと自分の中で腹落ちしたことなので、走り書きを見直せばなんかかんか書ける。
聞きたくない理由その2が自分の声がとにかく気持ち悪い。耳の奥底までねっとりまったりしている感じがどうにもこうにもいやで、聞き直すたびに、よくこんなねっとりしたインタビューで、皆さんいやにならずに、最後まで答えてくれるなと感心するほどだ。
もう一つ、「え~と、それと、あ、やっぱ」のつなぎ言葉が多すぎる。聞き直すたび、気を付けようと思っているのに、本番になるとどうしても出てしまう。
「やっぱ」は若者風だし、丁寧語ではないので、正直恥ずかしい。直したいのになおせない・・・癖というのはおそろしいものである。
最近、めっきり多くなったオンライン取材ではさらに恐ろしいことに録画をされてしまうので、聞き直す=自分がどんな顔で取材をしているか見る羽目になる。
しみが気になる、しわが多いとかそんなものは正直、もうこの際どうでもよくて、貧祖にさえ見えなければそれでよし。生まれたときから田舎でのびのびと育ち、カエルをつかまえたり、トンボを合体させて育った人間に「品」なんてものはつくわけもなく、それでも上品まではいかなくても、汚らしくさえなければそれでいいのだ。
そこで、少しでもよろしく見せるため、オンラインのときに欠かさないのが、紅をさすこと。
これを忘れると、貧祖というより、え?具合悪い?と思われるほど、唇が紫なので、水原希子並みの赤い口紅をつけることにしている。
ほんのりチークも忘れない。ついつい調子にのってぐるぐる塗りすぎて、鏡をみると、おてもやんにしかみえないのだが、録画されている自分をみると血色がよくみえるのでおてもやんにあえてなっている。おてもやんについてはこちらをどうぞ
昨日も紅をさし、オンライン取材に臨む。今回の取材はとある著名人のインタビューで、事前に著書を数冊読ませていただいたのだが、その中の1冊がものすごく自分にグサリグサリと刺さる内容で、インタビューの本筋とは離れてしまうのだが、この本について聞きたいことが山ほど出てきた。
しかし、そこは今回のインタビュー内容とは関係がないので質問したいのをぐっとこらえて、淡々とインタビューをこなした。
1質問すれば10答えてくれる、ライターが小躍りしてしまうくらいのインタビュイーで予定より30分も早く終了した。
クライアント側は早く終わったことをいいことに、それでは早く終わりましたがこちらで終了とさせていただきます。
と早々と終わらせようとしたため、ちょっと待った!をかけた。
「あのう、残り30分、ご迷惑でなければ●●の本について少しお話させてください」
といわれて、喜ばない著者はいないであろう。
「ええ、ええ、僕もこういう縁は大事にしたいと思っているので、ぜひ!時間はとってあるので」
ということで、「忙しいなら皆さん、どうぞご退出ください」といったのに、わたしが何をしゃべるのか不安しかないのか、クライアント皆さん残ることに。
しゃべりづらいなと思いつつも、自分の興味あることになったらスイッチの入り方が全く違う。
「早速なのですが、P123のここ、ほんとに刺さりました。まさに今、思い悩んでいることで、ほんとになんというか、かくかくしかじかで・・・」
とあとで見直してみたら10分も一人でしゃべり倒していた。
しかも、インタビュイーもやはり自分の本のことを事細かにいわれることはうれしいのかいろいろ、そうそう、それはですね~としゃべろうとしているのに、それを遮って、自分が自分がの悪い癖がでて、ずっとしゃべり続けている。穴があったら地底までもぐってもう出てきたくないくらい恥ずかしい。
「聞く力」0である。
結局、聞きたいことというより、どれだけ自分がささったかを雄弁に語り、30分が終了。
「まだ僕は大丈夫ですよ」
と言ってくれたものの、クライアントから
「すみません、終了してもらえませんか」
とメッセがきたので、終了せざるを得なくなった。
正直、インタビュー内容を忘れるくらい、後半のほうが楽しくて、楽しくて仕方がなかったのだが、は!結局、どんな会話をしたのだろうと録画を見返したときである。
一人でしゃべりまくっているだけじゃなく、笑顔がだだもれ。
とにかく楽しくて仕方ありませんというのが画面いっぱいに映っている。笑いすぎて笑いじわが数えられないくらい生まれていた。
クライアントからも
「インタビュイーの方が楽しそうに話をしてくださったのは、ゆきんこさんの引き出し力ですね。でもまあ、あんなハイテンションなライターさん初めてでした」
とちょっと引き気味のコメントをいただいたくらいの満面の笑みというか、頬がゆるみっぱなしだった。
貧祖とか品とかそんなものすっとばして、くちゃおじさん並みの笑顔の自分はとてつもなくおばちゃんだった。インタビューをしているときはある程度、緊張しているのと、聞き出さねばならぬと、おとなしくしているのだが、楽しくなると本性が出てしまう。
とはいえ、いくら楽しいからといって自分の話ばかりするのはだめ子の典型。相手が話そうとしているのを察知して「あ、どうぞ」というくらいの余裕をもって会話に臨まねば・・・
といいつつも、友人と会うと楽しすぎて、笑いじわをたっぷり作り、自分の話ばかりしてしまうのである。
いつもすまぬと友達にいったら
「は?今更?あんたのマシンガントークなくなったら、病気かと思って心配しちゃうよ。どうせ、ほぼ覚えてないから気にしないで」だそうな。いいのか悪いのか・・・まあ迷惑だったらもう会ってくれないはずなので、よしとしよう。
今日も読んでくれてメルシー(フランス語)
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