はきそうになるお口直し
昨日までのブータン旅行記はこちら。
ブータンは、たばこの販売が禁止されている。禁止されると人はやりたくなるもので、絶対にインドかどこかでこそっと入手してたばこ吸っている人いるだろと思っていたのだが、さすが敬虔なチベット仏教徒。ほんとに誰も吸っていない。
まあ堂々と吸っている人はいないわけで、もしかしたらどこかでこっそりはあるのかもしれない。(←若干疑っている)
たばこのような嗜好品はあるのかというとある。
たばこを吸っている友達をみると、たばこを吸うときは
・食後
・疲れたときのリラックス
・眠気覚まし
・休憩のおとも
・落ち着きたいとき
まあ、ささやかな癒しといったところか。
ブータン人にとってのこのささやかな癒しグッズのひとつが「ドマ」
なにかというと、キンマ(コショウ科の常緑つる性半低木)の葉っぱに、あやしいピンク色のクリームをぬりぬりし、ビンロウの実とココナッツの実をいれてくるくる巻く。食べやすい一口サイズにしてから口の中にいれてくちゃくちゃと噛む。
そういえば、インドで同じようなスタイルみたことがある。みんな口の中を真っ赤にしてくちゃくちゃしてたっけ。
まじまじと見つめていると
「おひとつどうぞ」とすすめられた。
フェイスクリーム入れのようなものからたっぷりとピンクのクリームを塗りたくる友人のお母さん。あやしすぎて食べる気が起こらない。
「こ、これはなんざんしょ?」と聞いてみたら
「甘いミントクリーム」
という。どうみてもミントに見えないし、ミントっていつから甘くなったんだろ?あやしすぎる。
とはいえ、なんでも試してみないと気が済まない性分なので、ひとついただく。ちょうど口の中が唐辛子でファイヤー状態だったからちょうどいい。
口の中に入れた瞬間、葉っぱの香りがふんわり。さわやか~という感じではなくただの草を食べているかのよう。ビンロウの実をかじると、ちょっとしびれた感じになり、ココナッツの実にあたると甘い感じがする。が、あやしいピンクのクリームがぬめっとしていてすべての味をぬめぬめしていく。
嗜好品って常習性があるというが、ない。かなり怪訝な顔をしていたのか、友人が笑いながら
「まずかったら出していいよ」
というのでお言葉に甘えてすべて吐き出させていただいた。
インド人たちは口を真っ赤にしていたが、ブータン人たちはさほど赤くない。吸血鬼が血を吸ったあとのような見た目にならないように品種改良されたのだろうか。
とにもかくにもまずい。噛めば噛むほどうえっとなる。たばこがあわないとかそういうもんなんだろか。
友人は毎食後、ドマをかみかみし、長距離ドライブ中は疲れたらしょっちゅうドマをかみかみ。完全なるドマ中毒者。
バーにいったときも友人同士で
「ドマ持ってる?じゃあ、ちょうだい」
なんてまさにたばこ持っている?状態。
ただたばこは高いがドマは安い。ちょっとした売店、長距離ドライブ中の道沿いにあるレストランなどなどいたるところでドマが売られている。
5ドマで50ニュルタム。日本円にするとおひとつ20円弱といったところ。
売店でもレストランでも暇になるとスタッフさんたちはみんなドマづくりにいそしむ。
道端でドマを売る少女も見かけた。自分でドマを作って生活の足しにしているのだろうか。目をウルウルさせながら
「ドマ?」
といわれ、自分は好まないが、買っておけば友人がドマを欲しそうなときにさっと出せるなと思い購入。
このときはなんと5ドマで20ニュルタム。お嬢ちゃん、安すぎるでしょと50ニュルタムを払わせていただく。
食後やちょっとした休憩のときにみんな、ドマドマしていて仲間外れをくらった気分になり、しょぼんとしていたら、友人のお母さんが
「ココナッツだけ食べてみたら?」
とすすめてくれた。なるほど、ココナッツの実ね。
とパクリ。カリカリ梅が甘くなったような味でこれは食べられる。が、リフレッシュにはならずこのとき1回食べただけで終了。
食後のお口直し的にもいいと言っていたが、お口直しどころかウエッとはきそうになったドマ。禁煙したいといっていた友人に買っていこうかと思ったが、ピンクのクリームがどろどろになってスーツケースを汚すんじゃないかと危惧してやめておいた。
お次は噛めば噛むほど獣臭