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嬉しそうな照れたような昔懐かしい笑み
昨日までのブータン旅行記はこちら。
マナス川を上っていくと日本が資金援助したような橋ではなく、白い鉄骨の頑丈そうな橋にたどりついた。
これまたインド人たちが車の往来も気にせずに橋の真ん中で家族写真をとったりしている。チュキはのろのろ運転で橋を渡り、それに気づいたインド人たちは橋の両側に散らばっていく。
それにしてもインド人たちはなぜにこんなに橋に興味があるのか。ちなみにこの橋はShershong Check postと呼ばれるところで、インド人観光客はこの先には行けないらしい。なぜインド人がいけなくて、日本人のわたしが通過していいのかよくわからない。
「宗教上の問題?かなと思っているんだけど」とチュキ。
われらは今からSerzhong Buddhist Monasteryという仏教寺院にいく。とはいえ、ブータンには他にも仏教寺院が点在し、インド人たちも例にもれず参拝している。ともあれ、インド人たちの最終地点という記念で撮影しているのか?
インド人たちに別れをつげ、山を登っていくと見えてきたSerzhong Buddhist Monastery。
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と思ったらこちらは修行僧たちが寝泊まりする場所。修行僧といってもかわいいわらしべたちが共同生活している。
インド人たちが足止めを食っているからか、はたまたこの近くに家らしきものがないからか参拝者の姿がない。驚くほど静まり返っている。
外観を見学して終わりかな~と思っていると赤い袈裟をまとったちびっこ僧が駆け抜けていった。すると
「お~い」
とチュキが声をかける。かわいいちびっこ僧がテトテトと近寄ってきて、何でしょ?という顔をする。
チュキが何やらごにょごにょしゃべっていると、ちびっこ僧はちょっと待っててといったしぐさをして元来た道を戻っていった。
「中を見れるかと聞いたら、あけてくれるって」
それはありがたい。
かなり傾斜のある階段をはあはあ息を弾ませながら登っていくと、さきほどのちびっこ僧が入り口に立っていた。
同じ階段を登ってきたら気づいたはずだから裏から上ってきたのか?それにしても早い。おそるべしちびっこ無限パワー。
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屋根の上には仏教のシンボルの1つ「金色の鹿とダルマの車輪」。
チベットでもよく見たが、ブータンでも当たり前のようによく見る。
今までお伺いした寺院はほぼ、写真撮影NGだったからカメラをリュックにしまう。するとチュキがまた何やらごにょごにょちびっこ僧に告げる。ちびっこ僧は、またどこかへ駆けていく。そして戻ってきて、手でOKマークをする。
「写真とっていいって」
撮影の不可は何で決まるのだろうか。
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早速現れたのは、もうおなじみブータンに仏教をもたらしたグルリンポチェ。前にも書いたが、パドマサンババとかウゲン・リンポチェとかもいうが、ややこしいのでグルリンポチェだけ覚えた。
最初にみたときから感じる既視感・・・と誰もいないことをいいことにじっと見つめていてわかった。
チャーリー浜だ!
胸のつかえがとれたようですっきりとした笑みを浮かべるとチュキに何がそんなにうれしいのだといわれた。
「チャーリー浜に似てない?」
といったところで、チャーリー浜とは?から英語で説明しなければならないのがめんどくさいので、中に入れてうれしいと伝えた。
写真といえば、ブータン人はカメラを向けると必ずにっこりしてくれる。特に子供たちは写してくれとばかりに集まる。なんだったら、兄弟、家族、友達にも声をかけ大人数でとってくれという。
スマホで気軽に写真が撮れる時代。カメラなんて珍しくもなんともないだろうに、昔、旅先でよくみかけたような子ども達の反応がうれしくてついカメラを向けてしまう。
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扉をあけてくれた左側の男の子に写真を撮っていいか?と聞くと、友達と僧侶まで連れて来て記念撮影大会になった。
友人の子ども達にカメラを向けると、自分がいけてる、かわいいと思っているそれぞれのポーズでピースしたり、にっこりとほほ笑んだりする日本人のキッズと違い、この、うれしそうな照れたような、ちょっと緊張したような笑みはなんともいえないかわいらしさがある。
たったそれだけのことなのにカメラのレンズを通して彼らとの間に温かい何か不思議な関係が通い合ったようなそんな気持ちがしてならなかった。
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