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手紙を送りたい人がたくさんいる私は幸せ者だ
ニュージーランドで働いていた時。
シェアハウスのルームメイトが怪訝な顔をしながら近寄ってきた。
「よくわからないものが届いたんだけど、これ何?」
手渡されたのは、細長い袋に生味噌が個包装されているインスタント味噌汁。
私こそなんじゃこりゃだ。
裏返すと、私の住所と名前、そして
そろそろ味噌汁が恋しくなるころじゃない?
とたった一行書かれたメモが貼られていた。
差出人の記載はないものの、筆跡から中学時代の友人からの贈り物だということがわかった。
今はメールやラインを使えばオンラインでやり取りができ、ネットで注文をし、宛先を指定すれば海外にいたとしても渡したいものをすぐに渡せる時代になった。
手軽にやり取りできる分、宛先や差出人、メッセージなどはすべて決まったフォントで送られてしまう。メッセージにいたっては、ご丁寧に定型文まで用意されている。
ものをもらってうれしい気持ちや人にものを送る喜びに違いはないが、プリントされたメッセージをみるたびに、即席味噌汁についていたたった一行のメッセージを思い出す。
もう20年も前のメッセージで、現物も残っていないのに今でも一字一句覚えているのはやはり手書きの威力だと思う。
手書きの唯一の機会は年賀状ではないだろうか。
最近ではライン年賀などが台頭し、最後の年賀状、終活年賀状などと年賀状離れも言われ、実際、私も年々減らしていっている。
だが、年賀状だけの付き合いだとしても続いている人には丁寧に年賀状を書きたい。年賀状を”送る”のではなく、”書きたい”のだ。
本当は宛名も手書きしたいところだが、年末はなにかと忙しくさすがに全部手書きは無理でも、メッセージは200文字ほど書くようにしている。
200文字を書く時間は相手を思い、思い出を振り返り、その人との共通の話題などを考えながら丁寧に書くように心がけている。
200文字といえど、いろいろ考えを巡らせるので30分以上はかかる。
でも、その時間だけは送り主のことだけを考えている。その思いが伝わればいいなと思いながら、年賀状を書き続けている。
最近では、年賀状が唯一の手書きメッセージを送る手段だったが、1年前から新たなアイテムが加わった。
それがやまつ辻田の七味唐辛子。
急になんの話?答えは七味唐辛子のパッケージにある。
ニュージーランドに送られてきた即席みそ汁は白い紙を張り付けて宛名を書かなければいけなかったが、やまつ辻田のパッケージはメッセージを書き込める仕様になっている。
なんだよ、誰かに送って宣伝せよってことかよとぶーたれるのはまだ早い。
送ってやれじゃなく、送りたくなる味なのだ。
希少な国産唐辛子、香り高い実生柚子、上品な刺激がある山椒、極上の青のり、国産の金ごま、黒ごまなど一度食べたら忘れられない刺激的なスパイスで、この美味の極みといっても過言ではない七味を友人、知人に食べさせい、知ってもらいたいと思わせる味わいなのだ。
それを感じ取ってか知らずかわからないが、店主辻田さんのにくい演出により、82円切手を貼れば、手軽にプレゼントできるようになっている。
あの人は刺激的な味や辛いものに目がないから七味唐辛子の大辛。
あの人は料理上手だからちょっと添える程度に使える七味唐辛子。
あの人はとにかく柑橘の香りマニアだから柚子七味。
など送りたい相手の好みを思い浮かべていると、ついつい買いすぎてしまう。自分の分というより、プレゼントしたくて購入してしまうのだ。
そして、家に帰り、筆をとる。
コロナ禍で会えない時間が長くなったからこそ、友人や知人、家族を思う気持ちが濃くなり、伝えたいことがあふれ出てくる。
この小さいスペースにありったけの想いと食べ方、使い方をびっしり書いて投函した。
プレゼントを選ぶ時間、手紙を書く時間、返事を待っている時間、やりとりに時間がかかればかかるほどその人を思う時間が増える。
プレゼントしたい、手紙を送りたい、思い出したい人がたくさんいる私は幸せ者だと感じさせてくれる時間だ。
やまつ辻田のスパイス紹介記事はこちら↓
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