上野で買うお土産の定番だった「芋ようかん」が現代風に進化
お母さんが東京から秋田に帰るときはいつも舟和の芋ようかんだった。
わたしが生まれて秋田に帰省するときもいつも買って帰るもんだから、盆暮れ正月になると秋田で「芋ようかん」を食べていた。
子どもにとってはものすごいうまい!というほどのインパクトはなく、同じさつまいもなら焼き芋のほうがいいなと思っていた。
上野から新幹線に乗る機会もなく、東京駅にはあれやこれやと新しいお土産が出て、消えていくもんだから、舟和の芋ようかんをわざわざ探してまで買うことがない。味は若干違えども似たような味のさつまいもを使った和菓子、スイートポテトのようなものもあり、それで事足りていた。
しかし、先日、舟和の芋ようかんがやっぱりおいしいことに気づかされた。仕事で浅草にいったとき、たまたま舟和本店の前を通る。
最初、何の店だろうと思ってのぞいたら「舟和」の文字。
ああ、あの上野駅の定番芋ようかんか。とやっと気づいた。
上に喫茶室があるとのことで、これはちょうどいいタイミングとお茶することにした。
さつまいもを使った和菓子やだけあり、人気のモンブラン風パフェなんてのもあったが、ここはやはり芋ようかんを食べねば。
本店限定の作り立ての生感たっぷりの芋ようかんがあるのかなと思ったが、そもそも生なので、そんなもんはなく普通のお土産で買える芋ようかん。なんだけれども、切り方なのかこの大正レトロモダンな雰囲気のせいなのか、ものすごい久しぶりに食べたからなのか、やさしい甘さにじんわりとくる。
そして、熱い緑茶。最高だ。100年以上愛されている味というのは裏切らない。
今風に、バターで焼いたものも食べたが、さつまいもとバターがあわないわけがなく、ほんのり温かくてやっぱりおいしい。
こうなるとだんだん調子にのってきて、メニューに書いてあった「みつ豆の元祖」に惹かれてオーダー。
元祖って、パワーワードすぎ。
豆はほどよい硬さで食感が楽しめる。寒天もさわやか、アンズのドライフルーツもいい甘さをだし、極めつけが黒蜜。1903年から提供し続けているそうだ。
最近、ボリューミーなクリーム系が食べられなくなってきたかわりに、おばあちゃんが好んで食べる甘味が好きになってきた。
しかも、外国人観光客が大量にうじゃうじゃいる浅草で830円という安値かつボリュームたっぷりで提供してくれる。
浅草だけで舟和が7店舗ほどあるそうだ。次はどの舟和に行こうか。
カラフルなあんこ玉、焼き芋ようかんセット(あんこ入り最中と焼き芋ようかん)なんかもいいかも。浅草にくる楽しみができた。