
バタークリームケーキの悲劇
昨日までのブータン旅行記はこちら。
モディ―首相と同じ歓迎を受け、意気揚々とティンプーに到着。普段よりもカラフルな道のりは本当に歓迎を受けているようだった。
すぐに友人宅に到着するのかと思いきや、ピックアップするものがあると民家の前で車を止める。
何やら手に白い箱のようなものを持参して後部座席にこそっとのせる。あの大きさ、あの形・・・ホールケーキとしか思えない。もしかして今度こそほんとにWELCOME MEじゃないのか? と思ったものの、見なかったふりをする。
だいぶ日が陰っていたのと、雨が降っていたため
「ここが家よ」
と言われた時、大きな家だなとは思ったものの、スーツケースを運ぶのに手間取ってよく見るひまもなく、家の中へ。1階に入ってすぐのところに大きなリビング風のスペースがあり、
「ここが部屋よ」
とドアを開けた先にキレイにベッドメイキングされたベッド。

ソファ、洋服をかけるクローゼットまでつき、さらにプライベートトイレとシャワー付。日本のビジネスホテルよりも広いし使い勝手がいい。
「気に入った?」
と聞かれ、激しく首を縦に振る。今すぐでもこのベッドにダイブして、足を延ばして寝たいと思ったが
「落ち着いたら2階のリビングにきてね」
そりゃそうだ。皆さんに挨拶せねば。
荷物を置き、トイレをすませ2階へ。

わお!
広いなんてもんじゃない。豪邸じゃないか。こんなでかいソファ2つおけるリビングは豪邸そのもの。
すると友達のお母さんが
「あらあら、長旅疲れたでしょ。お茶はいかが?」
なんていうもんだから、遠慮は無用と
「That would be great!」
と返事をした。この表現、オーストラリアの友だちが使ってて、Yes Pleaseよりかっこいいなと思い、それ以来多用。
という英語の表現はいいとして、最近、海外旅行をしてなかったもんだから、お茶というと緑茶かほうじ茶と思いこんじゃって、渋めの味のお茶を待っていたら、来たのはクリーム色のミルクティー。
まあ、疲れている時は優しい味のミルクティーもいいかもねと一口。
砂糖がどっさり入っているとてつもない甘さ。しかも、成分調整なんてめんどくさいことをしないドストレートの牛の乳から直送された濃厚ミルクだもんだから濃いのなんの。
ああ、そうか、インドが近いからミルクティーもインド方式か。ビッグなマグカップに並々と激甘なミルクティーを注がれ、全部飲んだら胸やけおこしそうと思いながらちびりちびりやっていると
「ウェルカム~ブータン」
と言いながら持ってきたのは、予想通りのホールケーキ。

この見た目、海外に来たな~としみじみ思う、見た目からして甘そうなケーキ。
とてもありがたいし、うれしいのだが食べる前から食べられる自信がない。すでに激甘なミルクティーを持て余しているのに、このホールケーキ。まさか全部食べろとは言わないだろうが・・・
少しでいいよといったものの、
「主役が何いってるのよ」
と1/4カット。高校生の息子には1/8カット。わたしのケーキを物欲しそうに眺めていた視線をキャッチして、素早く息子君のケーキと取り換えた。
こちらのケーキのネーミングは「バタークリームケーキ」
バタークリームとはバターで作られたクリーム、すなわち濃厚でもったりということ。そして間違いなく砂糖がふんだんに使われてるであろう見た目。
せっかく、わたしのために買ってきてくれたのに、食べないとは言えない。1/8カットになったし、なんとか頑張れるはずと一口。
予想をはるかに超える甘さ。もう甘いのかどうかわからないくらい甘い。辛くて口の中が麻痺する経験はあるが、甘くても麻痺するのか。ミルクティーで麻痺した甘さセンサーがさらにおかしくなっている。もはや味を感じない。胃が痛みだし、もう砂糖を摂取するのはやめてくれ~と叫んでいる。
これはフォークを置いた瞬間、ギブアップになる…ともはや流れ作業のように口に運びあっという間に完食。
あら、なんだかんだいって好きなんじゃない~
なんていって、追いケーキがきそうになったので皿をさっと膝の上にのせ、
「No Thank you enough」
と言って、ようやっと断われた。すでにバタークリームケーキとミルクティーがむくむくと上がってきて、ちょっと油断したら出て来てしまいそうな気持ち悪さなのに
「そうよね、これからディナーだから控えなくっちゃ」
ディナー?!もう食べられないし、もはやこの戻しそうになっているブツをどう下げようかってときに、どうやって断りを入れたらいいのだ。
着替える必要もないのに、
「部屋に戻って着替えてくる」
と席をはずし、トイレに駆け込んだブータン初日。
日本のスイーツのクオリティーの高さに改めて気づいたのだった。
写真を見ただけであの甘さを思い出し、今、ちょっとうっとなってしまっているおそるべし甘さ。しばらくスイーツはみたくもない、甘くないのが食べたいと待っていたディナーのお味は?
お次はディナーでトドメを刺されるの巻
いいなと思ったら応援しよう!
