見出し画像

避難したから出会えた人たちと会う Yちゃんとラーメンをすする

先日、以前住んでいた岡山にお味噌を作りに行った話を書いた。お味噌をつけるのがメインだが、友人知人に会うのも大きな楽しみ。

初日、早朝から米麹を仕込んで、お昼すぎに作業が終わる。そこでお昼は、“村人より、村人らしい”友人Yちゃんとラーメンを食べに行く。

Yちゃんは福島第一原発事故の前は東京で暮らしていたが、やはり子どもの体調に異変がでたため避難してきたママ。避難当時、私たちは牧師さんを中心に地元の人達が開設してくれたシェアハウスに身を寄せていた。あの頃、シェアハウスには常に5〜7組の母子が身を寄せていた。そして近くにアパートや間借りするところを探し、部屋が空くとまた別の避難母子が入れ代わり立ち代わり入ってきた。子どもの健康への不安や心配、家族の反対を押し切っての避難、そして見知らぬ土地での生活。そんな中、私たちは境遇が似ていたので、初対面でもすぐに仲良くなった。

そしてその町を離れた今でも、交流は続いている。

Yちゃんと娘と三人でラーメンをすすりながら、お互いの近況報告をする。

Yちゃん:〇〇ちゃん、大きくなったねえ。
娘:はい。この前、成人式でした。
Yちゃん:そうなの!おめでとう😊
娘:はい。(照れているのか、携帯を手にしても写真を見せられずモゴモゴしている)
私:成人式の写真見てくれる?
Yちゃん:見せて見せて♪
娘:はい。コレです。
Yちゃん:すごい綺麗!かわいい〜。あ!私はこの後ろを振り返っているのがいいな!
娘:ありがとうございます。(照れながら嬉しそう)
私:長男くんはセンター試験じゃないの?
Yちゃん:そうなのよ〜。頑張って欲しいけど、もう母は何もできないからね〜。応援するだけ。
私:そうだよね。でも、お天気が悪くないからよかったね。
Yちゃん:ほんと😊
私:次男くんは?
Yちゃん:陸上(部活)で走りに行ってるよ。あの人はね〜、結構ストイック。今、体を作るのに食べ物うるさくてね。今は油とか甘いものとかとらなくて。あたしもそれにつきあわされて大変なのよ〜。でね、みてみて。これがこの前の大会の動画でね❤️(避難当初は自転車の前カゴにチョコンと座っていた小さな男の子が、今ではトラックを疾走して他の走者を何人も追い越していく)。
私:すごいね〜!めっちゃ速いじゃん!
Yちゃん:そうなのよ〜❤️でね、これはね…(と、いろんな大会で頑張る姿の次男くんの動画を見せてくれた)。

お互いの子どもたちの成長を、喜びあったり、笑いあったり。ラーメン食べたり、動画を見たり、写真を見たり、お喋りしたり。いそがしくて、楽しいひと時だった。

311の影響で原発事故が起きて…。正確な情報が開示されない中で、子どもたちの健康がおかしくなってくる。不安しかなかった。

避難当時、気狂いの母親と見られていたが、私たちは子どもたちが、元気に成長してくれることを望んでいただけなのだが。


いいなと思ったら応援しよう!