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またしても、父に一本取られたかもしれない話。

とうとう前回の記事から2ヶ月も、平気のへっちゃらで書かなくなってしまった。
だってさぁ、、。もう、、色々忙しいのよぉ💢
って、、これは、自分自身へ逆ギレだな、、。ふぅ〜。
このままいくと2020年を超えてしまいそうなので、せめてもう一回、書こうかしら、書きたい、書こう、書こうじゃないのー。  

父。
とても元気です!
あれから、どんなことがあったっけな。
あ、こんなことがありました。
父が姉に電話。

父「お前たち(姉と私)に、言わなくちゃいけないことがあるんだけど。」
姉「えー、なに?」
ちち「でもね、今は言えないの。」
姉「えー、なになに。気になっちゃうよ。」
父「すごく大切なこと。だから、また今度ね。」

なんだなんだ、、。

姉から、よくわからない告白が父からあったと聞き、私は翌日、父との電話で早速聞いてみた。

私「ねぇ、昨日姉に言ったこと、なんだったの? 姉、気にしていたよ。」

本当は、姉よりも私の方が気になっていたのだけど、人のせいにして聞いてみたのだ。

父「なんのこと? なんか私、言った?」
私「そうらしいよ。それも、”すごく大切なことを2人に伝えなくちゃいけないんだけど、今は言えない。” って。」
父「えーー!? 私が??そう言ったの? 本当!!? びっくりだなぁ、、。」

父は最近、言いたいことをよく忘れてしまう。
そして、「何を言いたかったのか、忘れてしまった!」と言うことだけが頭にうっすら残ってしまい、そのままモヤモヤが続行するらしい。私はそのモヤモヤ続行スイッチを、オンにしてしまったようだ。ヤバ、、。

案の定、それから2週間ぐらい、自分がどんな大切なことを娘たちに言おうとしていたのか、それが気になって気になって仕方のない日々を父に過ごさせてしまった。
やっとこさ、そんなモヤモヤもすっかり消えたある日。今度は、父が私に電話口でこう言った。

「あのね。あなたたちに大切な話があるんだけど、、」

ぎょぎょっ!!
これは、たぶん、前回と同じことか?!

この会話を掘り下げてしまうと、また父の混乱につながってしまう。
これはいかん。どうにか話を変えねば、、。

「あっ!そう言えばもうすぐお散歩の時間じゃない? 今日はいいお天気のようだねぇ。そろそろ行ってみたら、どう? お散歩に!」

あまりもの急展開技だったけど、父はすぐ窓の外を見て、晴れ具合を確認!
すんなりと方向転換して、気分はお散歩へ。そして大切な話は、脳の隅に戻っていったようでした。
っほ。
何を言いたかったのかは気になるけれど、、、知らなくて良いことは、、まぁ知らなくて良いのだ。
それから、どんなことがあったかなぁ。
そうそう。これも電話でのこと。

父「この間、変な電話があってさー!」
私「えー!?どうしたの?」
父「30代ぐらいの男性から電話がかかってきてさ。その人がこう言うのよ。」
私「なになに?!?!」
父「この間、何々さんとそちらにお邪魔した〇〇です、って。」
私「最近、家に誰か来たっけ?」
父「五木さんと四郎さんしか来てないよ。それ以外は、誰も来てない。」

父が言うには、
「先日、何々さんと一緒にお宅にお邪魔させて頂いた〇〇ですが、その節はありがとうございました!優しい言葉をかけてくださり、とても嬉しかったです。今日はそのお礼を言いたくて電話しました。またお会いしたいです!」
なんつーことを、その人は言ったらしい。
怪しい香りがプンプンするぞ、、。第一、内容がなんか不自然だ。

私「それで、その人になんて答えたの?」
父「ごめんなさい、私は認知なので全く覚えていないのです。って言ってやったよ。」
私「えー!認知って告白したのか?!」
父「そう!」

なぜに偉そうに答える?父、、。

私「それって、多分オレオレ詐欺な電話だと思うけど、、?」
父「そうそう、オレオレ詐欺だな!」

自分は引っ掛からなかった!と言わんばかりな、父。

私「じゃ、話している途中で怪しい電話だと分かったのね!」
父「分かった分かった。だから、私はこう言ってやりました。
”私は認知症なので、申し訳ないですが、あなたのことを覚えていません。
そして1人住まいなので、来られてもあまりお持て成しが出来ません。
で、大体このぐらいの時間は家にいる云々。来客の時は娘を同伴したいので、来られる前にご連絡ください云々”」

なぬーーーー!?!?!

私はびっくりこいて、こう父に返した。

あなたはオレオレ詐欺に、自分の情報を差し出しまくったということですよ!?

父は驚いて、こう尋ねた。
「なによ、どういうこと!?」

独り住まい。
認知症。
私は何時から何時までは必ず家にいる。
私には別居している娘が近くにいる。
エトセトラ、エトセトラ。
と言うことで、オレオレ詐欺が知りたいことを、聞かれもしないのに自分から贈呈しちゃいましたね?
父にダダーっと畳みかけるように言った後、
私ったら、、一気に言いすぎちゃったかも。傷ついちゃったかな、、。

、、と思ったのも束の間。
父は、ものすごくポジティブに私にこう言いました。

「なるほど!そう言われればそうだ。お前から良いことを聞いたよ。感謝感謝。次からはもっと上手く対応しよう。」

私の悪い癖は、こう言う時にいつも窮地に追いやるような言い方をしちゃうんだけど、
そんな私だのにだのに、父は感謝するのである、「良いことを聞いた!助かった!」と。
なんと素直な人なのだろう。それに比べて私は、、。

あ!? 父よ。私から良いことを聞いたかもしれないけど、別に助かってはいないでしょ? だって、そいつはすでに情報をゲットしちゃっているのだ。家にやって来たら、どーするのだ

でも、オレオレ詐欺らしき電話のやりとりも覚えているくらい、父の認知はかなり軽い方と言えるのだ。
ちょっと心配すると同時に、ちょっと安心もする。

他には、どんなことがあったっけなぁ。
仲良しの同級生や仕事仲間が、だんだんと減っていくお年頃。
アイツも、そしてコイツも死んじゃった、、。と、姉にそう話しながらガッツリと落ち込んでいたらしい父。
そんな父を慰めるように、
「そうやって悲しむ代わりに、いなくなった友達の分まで自分が生きよう!って思ってみたら、どう?」
と姉が言ったそう。
そうしたら、
「お前、良いこと言うねぇ!そうだ、そうしよう。」
と、チャチャっと落ち込んだ心が切り替わり、とても明るく応えたそう。

父はすごく捻くれ者で頑固でちょっと変態だけど、時々こう言う風に、娘たちの言葉を素直に耳を傾けてくれることがある。だいたい月に一回くらい。
そう言う時は、なんかすごく嬉しくなるし、よく分からないけど、感謝な気持ちにもなる。父よ、素直に聞いてくれてありがとう。

それから、
スマホでのメッセージも、なかなか面白い。
この間は、こんなことを書いてきたな。

父「おまえが持ってきてくれたウクレレ、どこにあるかな。あれはボケ防止にいいらしい。」

私が三日坊主で置物と化してしまったウクレレを、父が代わりに使ってくれるかなと思い数年前に持っていったのであった。
でも結局父も、私の真似するかのように三日坊主になってしまい、興味があると言う姉に上げていたではないか。
そうメッセージで伝えると、すぐにこんな返事が。

アラ、、!!

少し間があり、また着信の音。

あの頃から始まってたのか、、、。
 
あーた。その頃よりも随分と前から始まってましたよ、物忘れ。と私は心の中で呟きつつ、
「そんなこたぁ、気にしない、気にしない。」
と返事を打つ。
こんなメッセージもあった。
久しぶりに、父との電話でちょっと言い合いになった時のこと。
私はいつも自分の正義(父にとってはなんの正義ではないのに)を振りかざし、先ほども書いたけど、畳みかけるようにダダダーっと言ってしまう癖がある。その時も、そうであった。
電話を切る頃には、やっとお互いに心のトゲトゲが程よく丸くなり、穏やかな感じで終わったんだけど。
その数分後。父から短いメッセージが届く。

パパ は1人で反省会

ぷぷっと笑ってしまった。
娘から、なんのこっちゃわからない正義やら生意気なことを言われたら、
「こんにゃろめが。おととい出てきやがれー!」
なんて、ちゃぶ台ひっくり返すような昭和な言葉で返してきても良さそうなのに、
1人で反省会だなんて、、。
なんか分からないが、すごいぞ、父よ。
そして私は、父の1人反省会を想像して、可笑しさ半分、ごめんなさい半分、の気持ちになる。
そして、ちょっと父に言いすぎちゃったかな。

あー、なんてことだ!こんな気持ち、初めてだ。
こんな気持ち」って、父に対して「言いすぎちゃったかな」と思う気持ちのこと。
ついこの間までは、声を荒げたこともない父だったし。だから私も父に歯向かう理由なども、ほぼなかったし。
だから、私が父に「言い過ぎる」なんて言う出来事も、今までほぼほぼなかったのである。

今までにはなかった、感情をぶつけあう関係。
なんか私、どこか楽しんでいるんだな、、これを。
喧嘩する親子って、こんな風に言い合うんだな。母とは時々やったが、父とは、ほぼ皆無だったもの。
毎日じゃなかったら、悪くないかもしれないよ? 
吐き出して、そして、スーッとして。
感情の窓を開けて、新しい風を通して。
又の名を、親子喧嘩。
私たち親子は、新しいフェーズに突入したのか。知らんけど。

「私はね、ココ(と指で頭を刺しながら)の病気ですから。優しくしてくださいよ。
同じ話を繰り返しても、”この間、聞いたよ”、なんて言わないようにね。傷付きますから。」

よく父にこう言われる。そして私も姉も、「もちろん〜!」なんて言うんだけど。
でも、この間。
父のいつもの同じ話し、もう100回ぐらいは聞いている話しが始まった、、。
それも本題に入る前のプロローグ的なことからスタートするし、、あぁ長くなるな、、、。私ゃ、これから外出しなちゃならんのに、、。

父のおしゃべりが10分ぐらい経ったくらいで、私は思い切って、すっごく言ってはいけないことを言ってしまった。

あ、それ!この間も聞いた!もう100回ぐらい。

そうしたら、父は嬉々として例の武器な言葉を私に言ったのだ。
「認知の人には、それは一番良くない言い方です。まぁ、聞いてくださいよ。」
と、話を続けるではないか!
心がまったく広くない私は、即座にこう言ってしまった。

あのさ!その何回も聞いた話しを、最初から終わりまで聞かなくちゃ、ダメ~?

父、、黙る。
あーー。やってしもた。私はなんて意地悪なんだろう。
でも父は、もちろんその上を行くのだ。

「あのね、この本、知ってるでしょ? 認知の本(と言って画面越しに見せる)。
ここにね、認知症の人だけじゃなくて、ご家族への注意事項も書いてあるんだよ。
えーっとね、、」
と、あらかじめ付箋を貼っておいたらしいページを探し、

「こう書いてあります!
たとえ同じ話を聞いたとしても、けっして ”何回も聞いた” などと応えないようにしましょう!
ね、いけないんだよ、そんなふうに私に言ったら。」

と、得意げな顔。半分ほくそ笑んでもいる。勝利の顔だな。
何も答えられない私、、。ごもっともですから、、。

認知を武器に使い、そして、意外にいろんなことをしっかり覚えていたりするんだ。

あれ。 もしかしたら父は、、、 認知のふりして、私と姉を弄んでいるのかも、、?
、、なんていうヤツだ!
父よ。2021年も、どうぞよろしく。

おしまい。


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