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父。サイボーグになって戻ってきました。



父。サイボーグになって戻ってきたの巻。
、、なんちゃって。

2週間ほど入院していた父が、元気に戻ってきました。
術後は、見た目も声もさらに若返って。
もともと若く見える父なので、今は合計20歳くらい若く見えるのではないだろうか。
いいなぁ、うらやますぃ。ちょっとずるいとさえ感じる。
ちなみに姉は、先生や看護師さん全員に、父の「」と間違われたらしい。
姉にとっては、若く見える父がいいなうらやますぃを通り越して、っち、なんだバカヤロー。だな、きっと。ひひ。
あ、明日は我が身なので、憎たれぐちは慎もう。

若くなって戻ってきたと言っても、若返り注射とか整形では、もちろん違います。
父がここ数年、ずっと恋焦がれていたものがあって。それはペースメーカー
その念願が、とうとう叶った今回の入院だったのです。


不整脈と頻脈に悩まされていた、父。
数年前から始まったそれは、しんどく長い道。

父とはまた違う部類の不整脈を私は持っているので、つい自分のと勝手に比べてしまって、あらら、おおげさ太郎!?、オーバーに言っているな、、とか、言い訳に使っているな、、とか。
私ゃひどい娘だ、、。
でもねーー、嘘が趣味か!?な父ですから!
助けを求められても「まずは疑ってかかれ」、とアメリカ警察官のような精神が、知らないうちに育ってしまっているのです。(警察官ごめん。あ、父にもごめん。)

で、父はこの不整脈と頻脈。お医者さんにずっと診てもらっているのだけど、
「生活を変えずに。そして頑張らずに。でも!直ちに治したい願望」
が常にあるので(私もその血を少し引いているけど)、先生からの忠告やアドバイスが気に入らないと、納得がいかない。そして、
「先生ひどい。傷ついた、、」
とか言っちゃう。
でもって、自分の望むことを言ってもらいたくて(頑張らなくてすぐに治る方法)、翌日に電動自転車すっ飛ばして、隣町の病院やクリニックに行っちゃったり。

でも結局は、医師たちは父の望むことは言ってくれないのだ。
何か勘違いしているんだな、お医者さんはサンタさんでも魔法使いでもないのに、、。

父曰く、「ペースメーカー」なる存在がこの世あるのに、先生はなぜ勧めてくださらない?
なのである。
いやいや、なんどもなんども検査をしてくれたし、説明も暗唱できるくらいしてもらっているではないか。
そして、先生からの提案は、こちら。
食べ物や生活習慣で直していきましょう

父、がーーん。
納得できず、、。そんなこと言わず今すぐどうにか直せないものか、、?

でも、どこの病院へ行っても、先生の見解は同じなのだ。

そんなかんなの数年後、父はやっとこさ「生活習慣から」という医師たちからのアドバイスを聞いてみようと、そう思ったようである、、。  
気づくの、遅ーい。
でも、遅すぎると言うことも、ない!

ということで、気持ちを切り替えたら父は優等生になった。
禁煙のアドバイスが出たとたん、即刻行動に移し、スパッとタバコを辞めて。そして、ぴたりと不整脈が止まっちゃった。
父、感激。
そして嫌いになりかけていたいつもの先生を、また大好きになった。
良かった良かった。だってお医者さんとは相思相愛がやっぱり良いのだから。

で、それから数年経ち、また不整脈に悩み始める父。
新たな改善を試みる時が来た、、。のであります。
私は思った。次なるターゲットは、あの飲み物ではないかしら 、、?
そう。コーヒー。

何故そう思ったか。自分の経験で思い当たることがあったのだ。
大好きなあまり、お調子に乗って2杯以上飲んだりすると、脈拍がひどくなったり胸が押されるように苦しくなる。
そう。私の脈拍とコーヒーは、時々仲違いになるのです。 
これは私に限らずの「あるある」らしいので、もしかしたら、父もそうなのでは?
と話してみたが、もちろん娘の意見はまったく聞かず。(これは「親子あるある」ですな、、。)
そしてこんなことを言ってのけるのだ、
「コーヒーが原因のはずはないし、むしろ心臓に良いからたくさん飲んだほうがいいのだ!」
おいおい、、。どこからの情報だ、、? 
コーヒーは美味しいけれど、心臓のためにたくさんは飲めぬぞ、、?

それからしばらくして、帰省中に付き添った父の通院で、先生は私たち親子のやりとりを知ってか知らぬか、
「コーヒー。飲むんですね? じゃ、しばらくやめてみましょう!」

私は思わずガッツポーズ。父はフリーズ。
でも優等生になった父だから、すぐに気を取り戻し、
「はい」
おぉぉ、。良いお返事ではないか。

前回の経験(禁煙で不整脈さようなら)があるので、また速攻行動に移しました。
そして、あれと言う間に不整脈はほぼなくなり、ちらほらと顔を出していた頻脈も治る。
父、大感激。

よっしゃ。このままいけば、不整脈たちともおさらばじゃ!

だがしかし、、そうは問屋が卸さなかったのだー。
だって心臓は、感情の起伏やストレスとも大の仲良しだから。

父は70歳後半ぐらいから、確定申告とかその他もろもろ書類書きが苦手になり、人が集まる場や「親戚の法事」も苦手になり、、。
こう言う行事が迫ってくると脈拍が私たちでもわかるほど、乱れる乱れる。

でも書類を提出した途端に、集まりから解放された途端に、「あばよっ」と不整脈は去っていく。
父、単純太郎。

でも、と言うことは、、これはある程度は防げなくもない?
ストレスを起こさなければ良いのだ、ね。
例えば、姉や私が変わって書類書きしたり、父が先方に出向かなくても電話や手紙で済ませるようにもできるし。

なーんて偉そうに書いているけれど、それが逆にストレスを刺激してしまい、今までにないほどの恐ろしい不整脈に導いてしまったことも、1回や2回ではなく、、。ここに告白。、、しゅん。


で、それからまた数年経った去年の終わり頃。
ストレスがそんなにあるわけでもなさそうなのに、不整脈と頻脈が再びやってきた。
あれれ、あれれ。なななんと、とうとう脈拍が30台に。死人レベルか?頻脈中の頻脈。
そしてなんだかんだ色々あって途中バリ!っと端折りますが、入院。そして検査。
その結果、

念願のペースメーカーを植えましょう!

とうとう来たか、この日が!
父にとっては5年越しぐらいか、、?

コロナ禍で、面会なしのひとりぼっち入院。
なのに、なんかいつもよりも元気なメッセージが、スマホに届く。
そしてオペ当日は、元気な1行。
「今から手術に行ってきます!」

その数日後。
念願の、平べったい丸っこい機械を胸に入れてもらった父が、無事に退院。
先生と看護師さんからは、
少しづつ普通の生活に戻りましょう。
自転車は当分乗らないでくださいね。
と言われていたのに。 
退院して2日目には、電動自転車で町内を暴走していたらしい。
なんてことだ、、。
でも、父はきっとルンルンだったのだ、自分でもその爆走を止められないほどに。
どのくらいサイボーグになったか、試したかったのであろう。(とは娘の勝手な想像だけど。)

そんなことを平気の平太郎でやるくせして、ペースメーカーを入れた胸の小さな傷口は、未だに見ることができぬらしい、、。だって怖いから(父談)。
もしかしたら一生見ないつもりなのか? 見ないようにするのも大変な気がするけどなぁ。
そして、傷口を水につけるのも怖いと言って、お風呂にも例の如く入っていません。
入院前から入っていないので、かれこれ、、あぁ。恐ろしい日数だわ!
でもまぁ、元気だから。いいだろう。、、いいのか?

退院しても、独特な考え方というかなんちゅうか、それはしっかり健在で。
姉からまた腰を抜かすような話を聞いてしまい、あー、びっくりしちゃった、私。

父「なんかさー、不整脈がまったくなくなっちゃったからさ、、。ちょっとつまんないんだよなぁ〜〜。」
私ゃ、怒るよ? そんなこと言ったら口、曲がっちゃうよ?

でも、、、
人間ってそんなもんなのかも。
変化が不安になり。安定が不安になり。
毎日が同じということで不安になり、昨日と違うことで不安になり。

術後は、一切スキップせずにメトロノームのように正しく打っている、父の鼓動。
自分にしかわからない辛さを抱えて、あっちこっち寄り道してやっと得た、胸の小さな機械。
ちょっとだけサイボーグになったんだから、残りの人生をレッツ・エンジョイ。

なーんて。むずむず痒いへっぽこ文になっちゃった。

へっぽこだけど、でも本当にそう思うのだ。濃く濃く生きてくれ。

でも、自転車の爆走は、控えめにプリーズ。

終わり。


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