休憩は、『取れません』ではなく、『取らねばなりません』。
『職場で休憩が取りたくても取れない』の話
を書いたので、ついでと言っては何だが…
もう一つ、休憩についての話を書こうと思う。
これは、ちょいむかし。
保育関係の事務局の管理職をしていた頃。
各所で、各々が運営をしていた形から
市からの委託で、同条件にて一括管理をする、という形に変わったものの、まだ発足して2年目は何処も自分達のやってきたようにやっていた時代だった。市内で15箇所程あるため、職員の労務管理だけでも150名程居る為に、かなりの課題が山積みであった。
一番まずかったのが、
「休憩取れませんでした。」と、
1時間の休憩を残業扱いとして、どの責任者も申告してきていた現状と、残業時間が多過ぎた事だった。
年間で、人件費の超過勤務分は1500万円にも上っていた。
勿論、運営面でも大いに困るものなのだが
職員の体調管理が不行き届きという点が、私にとって一番嫌だなと感じていた。
このような大雑把な管理では、市が委託をして、一括管理している意味が全くないに等しい。
今でこそようやく、労務費、人件費について
何処の企業や事業所も、きちんと管理をせねば、明日はないのだ。と、話せる世の中になったが、
それでも、『井の中の蛙大海を知らず』の職員が大半であった為に
【労務管理される事が窮屈だ】という感情を抱いたに違いない。
残業の事前申請を義務付ける事。
時間をきちんとこちらで管理する事。
普通の企業や事業所では、ごく当たり前の事。
勿論、これも大切なのだが、時間がかかるので
同時進行でいつから着手するかの計画等を立てるとして
とりあえずは、すぐにできる【休憩を取る事】
から着手した。
…しかし、これがなかなかの手強さであった。
「子どもが居ると休憩できない。私を追いかけてきます。休憩なんて、できる環境にありません。」
必ず、どの責任者も口にした言葉である。
『では、このまま放置をして、もし労基から是正勧告を受けた場合は、国、府、市から補助金をきちんと貰えなくなり、貴女達は職場を失ってもいいのですね?
休憩を取れない事業所の主である私も勿論責任を問われるが、この理由であれば貴女達も責任を問われる可能性があります。(職員本人も改善努力を怠っている、という事)
それでもいいのですね?』
私は、ブチ切れていたが、淡々と責任者会議で繰り返し説明した。
この投げかけは、かなりセンセーショナルだったようで、当時の責任者同士の話題では毎日のようにこの話題が上っていたらしい。
結局、各所環境の確認をして回り、指導を繰り返す。研修で、休憩は取らねばならない。と繰り返し指導する。
何とか、休憩を回してもらう事にこぎつけた。
習慣付けるまで、約一年かかった。
追いかけてくる子ども達には、勤務中の先生で対応をする事、何度も説明をして習慣付けを、先生も子ども達も徹底する事。
習うより慣れろ、だ。
そういうものなのだ、そういう決まりなのだ。と
先生方本人が得心できていなければ、当然子ども達に諭す事など、できっこない。
運営体制が良いように変化する事は、世間から見るといい事なのだろうが、彼女達にとっては、改悪とでも思っていたかも知れない。
逆に言えば、それくらい各々が自由にやっていたという事。市が統一して欲しいと思うのも無理はない。補助金の使い方がクリアに見えないからだ。
残業の事前申請、実施については、更に困難を極めた。
また、次の話に。