英語で文体を学ぼう
原書で好きな小説が読めるのは大きな楽しみのひとつだが、本書はそのための橋渡しをしてくれる。stylistics とはいうまでもなく「文体論」のこと。しかしここでは言語学的な文体論のことではなく、英米の作家が実際に書いた英文を題材にそれぞれの文体を学べるテキストのこと。
構成は名詞句、動詞句、節、文章構成、そして語彙と5つのセクションに分かれ、学校文法を一通り終えた人なら復習を兼ねて学習できるようになっている。
扱っている英文は、ベケット、ソール・ベロー、コンラード、フィリップ・K・ディック、フォークナー、フィッツジェラルド、グラハム・グリーン、ヘンリー・ジェイムズ、モーム、ナボコフ、オーウェル、スイフト、H・G・ウェルズ、そしてきわめつけはジョイスの「ユリシーズ」と、20世紀第一級の作家のものばかり。それぞれの作家がいかに文章を磨き、文体を追求していったかを垣間見ることができる。
読み方と書き方を学びながら、文学鑑賞の趣もあるユニークな一冊だ。
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