苦しみと本音
何故
私達がこんなに苦しい思いをしなければならないのか?
何故
娘はこんなに辛い思いをしなければならないのか?
何故
この娘がこんなに寂しい思いをしなければいけないのか?
何故
この世の中は、傷付けた人間よりも傷付けられた人間の方が苦しむのか?
傷付けた本人である旦那は今まで通りの日常を送り、入院している娘は毎日毎日、目がパンパンに腫れるほど寂しくて泣いている。
私は毎日毎日、冒頭のような気持ちを抱えて娘を想う。
今日、突然『公衆電話』から電話があった。いつもなら絶対に出ない電話だが、ふと、娘かも?と思い、出てみると、
「お母さ~ん😭」
娘が寂しさのあまり、病院から電話してきたのだ。公衆電話なんて使った事もないのにかけてきた。
「寂しくておかしくなりそう……帰りたいよ~(泣)」
一週間ぶりに娘の声を聞いて、泣くのを我慢していた糸がプツリと切れたように私もボロボロ泣き出してしまった。
「ごめんね、ごめんね、辛い思いをさせて」
10円なので、たった3分
あっという間だった。訊きたいこと沢山あったのに、いっぱい話しなきゃと焦れば焦るほど、話にならない。
娘は
「帰りたい!泣いていたら看護師さんに怒られる。帰りたいよ~どうしたらいい?」
と泣きじゃくる。
それだけで切れてしまった。
娘は何も悪いことしていないのに………
幻聴という病気にまでしてしまった旦那が悪いのに……
こんな風に娘を苦しめて……
私は味方になってあげたいのに、申し訳ない気持ちで胸いっぱいになっていると再び携帯が鳴る。
泣いているから看護師さんに怒られて、
「もう一回お母さんに電話かけておいで」
そう言われたらしい。
またしても短い3分間。
3分ってこんなに短いのかと改めて思う。
次はないであろうと思い、眠れないという娘に私は最後に一生懸命伝えた。
「少しでも寝てほしい。元気になれるように、早く退院できるように……」
(もっと何か違う事が言いたかったのに、母親ぶってしまった……)
プツリと切れてしまった。
遠くから「バイバイ」と娘の声がした。
*
唯一の救い
今日、久しぶりに、娘の幻聴の『怒鳴り声』が一度も聞こえなかったらしい。だから電話したんだと娘が教えてくれた事。
「入院して良かったと思ってもらえるよう私達は娘さんに関わって行きます」
そう仰って下さった看護師さんの言葉。
私の願いは、
幻聴がこのまま消えて、入院して良かった。と娘に思ってもらいたい。
否、私の本当の願いは、
娘をこのようにした旦那が娘以上の苦しみを味わってほしいということ。
旦那は、早く良くなるようにと最近毎日神社にお参りしているらしく、
そうやってわざわざ自分から言う所が、娘の事を思っているんだというパフォーマンスにしか私には見えず、困った時だけ神頼み、自分のせいとの認識が甘い旦那に、今の私には憎しみしかない。
でも、それを露にしても意味がない事はわかっている。それを露にしたら、下の子供たちまで傷付けるかもしれない。
私の苦しみはそこにもある。
私も、娘と同じくらいいっぱい苦しまなければならない。
こんな風に、入院になるほどにまでに、
彼女を守れなかった罪は、大きい………
追記:公衆電話は、携帯電話にかけると10円で3分ではなく、もっと短い時間しか持たないらしい……