0を1にすることの難しさ#32
わたしは音楽をつくることと、記事を執筆することを仕事にしている。
執筆してきた記事は、6年間で700本以上を担当してきた。
1年間でおよそ100本以上の記事を書いてきたことになる。
内容によってはスムーズに書き終えることもあったし、なんでこうも書けないんだろうと、PCの前で考え込むこともあった。
記事の内容によることもあったし、わたしのコンディションにも左右された。
だが記事を入稿することに関しては、締め切りを過ぎたことは一度もない。妊娠中も産後も、どんなに忙しくあろうとも計画立てて執筆をし入稿してきた。
継続して入稿できたのは、レビュー記事となる「商品」がそこにあったからなのだと思う。
例えば、わたしが「小説を書く」となれば、これほど多くの数を書けない。1つも書き終えることはできないだろう。
小説を書くことのできる才能は皆無であるし、文章を書くことと物語を綴るのとでは全く異なる能力を求められると思うからだ。
音楽をつくるときには、曲が完成するまで非常に苦悩する。
メロディが溢れ出てきて困る、というような天才肌では、もちろんない。
凡人なのでひたすら地道に作っていくのみ。
誰だったか、音楽をつくるのは過去の記憶や蓄積されたメロディを作り直してるのであって、完全な0からつくるということではない、というな話を聞いたことがある。
全くもってその通りで、その理論でいえば結局のところ0から、というわけではないのだが、創造の世界は容易なことではないと感じている。
アイディアを書き留めて、楽譜に書き込んで、録音して、コツコツと頭の中にある音楽を再現していくほかない。
0から何かを生み出すのは、苦しい。逃げ出したいときもある。
しかし、0が1になったときの生み出す喜びは、おそらくどんな活動をするよりも、わたしを幸せにしてくれる。
だから今も、音楽をつくり続けているのかもしれない。