しをんのしおり(人生劇場)/三浦しをん#75
エッセイというものを、それまでほとんど読んだことがなかった。
他の人はわからないが、私の場合はよっぽどその作家さんを好きにならない限りエッセイを読むということはない。
読みたくないというよりかは、後回しになっているような感じ。
まず作品を読みたい気持ちの方が勝る。
三浦しをんのエッセイは、たまたま購入した雑誌「BAILA」を読んでいた時に知った。
「のっけから失礼します」というエッセイを連載しており、その1ページだけでお腹が痛くなるくらい笑った。
確かその号は、ピカチュウのバッグを買った話。
どこにでもあるような話なのに、痛快に描かれていた。
「舟を編む」は読んだことがあり、初めてエッセイを何冊か買って読んだ。
一番好きなのは「のっけから失礼します」だと断言しておく。それはまた後日記事にしたい。
本書は三浦しをんが早稲田大学在学中に連載していたエッセイであり、「のっけから失礼します」で興味を持って読んでみることにした。
面白い内容ではあるが、正直「のっけから失礼します」ほどのキレはない。
いや、「のっけから失礼します」のキレがありすぎるのかもしれない。
「しをんのしおり」は在学中であったからか友人ネタが多いように思う。
青春を感じられる内容で、三浦しをんの出発点を感じられてファンなら必読の一冊だ。
今や売れっ子作家であるが、アルバイトをしていたり、お金がないといったネタも出てくるのも新鮮な気持ちで読める。
この記事のタイトルを(人生劇場)としたのは、元々エッセイのタイトルを「人生劇場」にするつもりだったと巻末に書かれていたからである。
なぜタイトルに付け加えたのかは、ぜひ本書を読んでいただきたい。
あとがきでは「話ていて楽しく、ちょっとした希望がある。なんだかおかしくてクスッと笑ってしまう、そんなエッセイを書きたい」と綴られている。
スッと頭に入る軽快な文章と、何気ない日常を面白おかしく描く三浦しをんのエッセイは、人生って良いなって思わせる魅力が詰まっている。