ギリシャ神話 アポロンと交感神経
アポロン
ゼウスとレートーの子。牧畜と予言の神。 また音楽、芸術の神、疫病神から転じて医術の神。 光明神の性格をもち、太陽神ヘーリオスと同一視される月と狩猟の女神アルテミスとは双生児。
アルテミスとオリオンの恋を妨害したり、 ピュアキントスとの同性愛、 カッサンドラの悲劇。 ダプネー(月桂樹)への求愛など色々な神話をもつが、 アポロンが象徴しているのは自律神経のうちの
交感神経
交感神経は、昼の活動に関わり、心臓や呼吸のリズムを調整している。
ピュアキントスとヒアシンスの伝説
アポロンは西風ゼピュロスと美少年ピュアキントスを争い、ピュアキントスがアポロンを選んで、ゼピュロスが嫉妬。円盤の飛ぶ方向を風で狂わせたため、アポロンが投げた円盤がピュアキントスの頭に当たり、死んでしまう。ピュアキントスはヒアシンスの花となる。
このエピソードは、心臓と肺の血液循環の話。 西風は気管支で、肺(ピュアキントス)に空気を送る。 気管支が狭窄するとヒューヒューいいます。心臓はまず静脈血を肺に送って、肺は血液中の酸素と二酸化炭素のガス交換を行う。酸素を多く含む動脈血は心臓に送られて、心臓は全身に血液を送る。
アポロンが竪琴を持ち音楽の神である理由は、 心臓の拍動ー洞調律を示す。 アポロンがピュアキントスと投げ合う円盤は、 赤血球。円盤みたいな形をしてます
さて、円盤がピュアキントス(肺)を傷つける意味。 不整脈により心臓内に血栓が生じた場合、 その血栓は血流に乗り、脳や肺を詰まらせる 脳梗塞や肺塞栓症などの原因となる
ピュアキントスがヒアシンスに変わるのは、 ヒアシンスの花の形が肺に良く似ているから。
ダプネーへの求愛エピソード
ダプネーはテッサリアの河神ペーネイオスの娘である。大蛇ピュートーンを矢で射殺したアポローンが、帰途偶然出会ったエロースと彼の持つ小さな弓を馬鹿にしたことから、エロースはアポローンへの仕返しに、黄金の矢(愛情を芽生えさせる矢)でアポローンを撃ち、鉛の矢(愛情を拒絶させる矢)でダプネーを射た。このため、アポローンはダプネーに愛情を抱いたが、ダプネーはアポローンの愛を拒絶した。
エロースの悪戯によってアポローンは彼女を追いかけ続け、ダプネーも必死に逃げ続けた。しかし、ダプネーの体力が限界に近づき、ついにはダプネーは月桂樹に身を変じた。
この話は、月桂樹のもつ唾液や胃液の分泌を促して食欲を増進させる作用と関わる。
交感神経は、活動を司る反面、唾液、胃腸の分泌や胃腸の運動に関しては抑制に働く矛盾した作用をもつ。
エロースが関与しているのは、鉄の欠乏(エロースの弓が貧相)により交感神経が刺激され血中や尿中にアドレナリンやノルアドレナリンが増加するから。
交感神経の胃腸への働きを象徴した話となっている。
この他にもアポロンに関する物語はあり、息子アスクレーピオス、カッサンドラの悲劇がある。 これらの話は、交感神経としての役割とは別の側面ー記憶に関する重要な話となっており、それについてはまた改めて考察したい。