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【映画】碁盤斬り

(1065文字)

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元は落語の人情噺、その元が歌舞伎だったかな。

浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。
しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。
ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意する。
お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。
父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!

公式サイトhttps://gobangiri-movie.com

話の大筋は落語で知っているので、ドキドキすることもなく、じっくりと落語との違いを楽しみながら観られた。
シンプルな落語の噺を、よくここまで膨らませて楽しませるなぁという印象。
落語には出てこない重要なキャラクターが何人もいる。
それは話を膨らませるのに必要なんだけど、ちょっと残念だったのは、弥吉を出すことで、柳田格之進に50両の嫌疑をかけるところがイマイチぼやっとした感じ。
あれは番頭が言うから嫌疑をかける気持ちが分かるんだよなぁ。
弥吉のキャラクター自体がふわっと定まっていない感じだった。

それにしても、草彅剛は面白い役者さんだよなぁ。
あれだけ特徴のある顔で、髷姿も少々似合わないなぁと思いながら観始めたんだけど、やっぱり柳田格之進なんだよなぁ。
そのうち、違和感がなくなってくる。
静かな水面のような佇まいの前半と、鬼の形相を見せる後半。このコントラストが見事。
全く本人が透けることもなく、役を入れる器という感じだった。
これって、役者にとって大事な要素だよね。

敵役が斎藤工。
この人はこういう悪役をやらせると嵌まりますね。
どこか狡くて、大物悪役ではないこの感じ。
先日見た「悪役女王」でも、悪役ではないけど、ちょっと狡くて弱いものには強いような感じの役が嵌っていた。
どこか、何を考えているかわからない感じがするから、正義の主人公よりこういう役の方が合うのかな。

清原伽耶も良かった。
自然と芯の強さを感じさせてくれる女優さんだよね。
演技が仰々しくなくて良い。

國村隼はもう、大店の旦那がハマりすぎてて、何も言うことなし。
強いて言えば、もうこれ以上はないから、意外性はない。
それで良いんだけど。

それにしても、どうして日本人ってこういう清廉潔白な武士が好きなんでしょうね。
そのおかげで立場を脅かされたり、恨まれたりしても。
図らずもとはいえ、周りを犠牲にもしてしまうのに。
その葛藤がまた共感できてしまう。
これは「正しい」が持つ魔力でもあるんだろうな。

落語はこちら。
やっぱり志ん朝がオススメ。

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