【連作短編】はざまの街で #4 海を見下ろす公園で
サーッと絶え間なく繊細な音を立てながら、絹糸のような雨が降り続いている。
その音に混じって、屋根から落ちる水の玉が、外に置かれた水瓶に落ちて、チャポンチャポンとリズムを刻む。
「梅雨ねぇ」
カウンターの内側で頬杖をつきながら外を眺め、力の抜けた表情で郁美が呟く。
向かい側のカウンター席に座っている来栖は、それには応えずコーヒーのカップを口に運んだ。
ランチタイムが終わり、店内には静けさが戻っていた。
「ねぇ、来栖さん」
外を見たまま郁美が来栖に話しかける。来栖は無