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エクレア、一知半解な外来語の同化。

20250213 一知半解なる同化しつつある外来語、エクレアを例として。
エクレア(éclair) 本来の意味は「雷」です。「雷」の様に印象的に感じる、或いは、「雷」が見えて消えるのはほんの一瞬であり、一瞬の間に食べてしまう、が主な説です。多分、美味しいので直ぐに食べてしまう、と言う意味が含まれるのか、とすれば、美味しくなければ、一瞬の内に食べるのを止める、と言った隠された意味があるのかどうかは、何とも言えません。

語源は、ラテン語のex- (外へ)とclarare (明るくする)を組み合わせた動詞であり、exclarare (光り輝く、明らかにする)であり、現代フランス語の名詞形の基本的な意味は「稲妻、閃光、電光」となると思います。

浅草の「雷おこし」は、浅草の雷門に由来するそうですが、「雷おこし」の名前が一人歩きしても、由来は浅草発と説明を聞けば、多くの人はなるほどと思うでしょう。 我々にとって親近感のある心理的に距離感が(少)ないお菓子であれば、文化的に語源を遡及するのはそんなに困難感はありませんし、あまり違和感もないわけです。

では、異国情緒溢れる外来語の語源についてはどうでしょうか? エクレアの言葉が一人歩きし、お菓子を売る店の中で、物と言葉が頻繁に交差しても、その意味について、普通の日本人はあまり気にかけていないと思います。 所が、お菓子をよく知る人に取ってみれば、フランスにおけるエクレアと日本におけるエクレアでは、若干ニュアンスが異なると言う事に気が付くかも知れません。 例えば、日本でエクレアと言うと、フランスに較べて生地がソフトな感じがする、と言った具合にです。 フランスに行けば、伝統的な味にこだわっているお店も多々あると言う事です。 また、「L'Éclair de Génie」 と言う店では、 伝統的な味も現代的な味が楽しめ、フランスだけではなく海外(日本も含む)でも人気があるそうです。

私は、外来語が良くないと言っているわけではありません。ただ、同じ名前であれば内容が同じだ、と思うと言う言葉のイメージがあると思います。元のイメージに立ち返ってそれを楽しむのも良いし、イメージが変わってしまっても、それなりの楽しみがあればそれはそれで良いと思います。 ただ、AIが 数多くの画像認識は出来るにしても、言葉としてどこまでをフランスや日本で「エクレア」と呼び、どこからが「日本的創作エクレア」なのか、どうやって仕切るのか疑問に思っています。 フランスでも同様に言葉の意味が変わって行きます。もちろん他の国においても同様の事と思います。文化的な背景や個人の好みによって、エクレアの解釈は異なるため、AIが完全に一般的な意味の範囲を識別する事は難しいのではないでしょうか?


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