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ハヤシの一知半解。出汁の考えは日本もフランスも同じか?由来の謎、日本での変身。
20250226 由来が一知半解、ハヤシライスの「ハヤシ」と「フォン・ド・ボー」「デミ・グラ」
ハヤシの一知半解。出汁の考えは日本もフランスも同じか?由来の謎、日本での変身。
明治時代に林さんと言う方が考案されたソースを「ハヤシ」とした、との説が有力な様です。 その林さんが、料理人であった、と言う説と、医者であった、と言う説があります。 医者であった林さんは 病院食と言う事を意識してこの料理に行き着いた、との事。 その他に、英米では牛肉の薄切りを煮込んだ「Hashed beef」があった、これを真似たのかも知れない、との説もあり。
では、ハヤシは、フランス料理が原点であった場合はどうか。「仔牛の出汁」であるフォン・ド・ヴォー(fond de veau)がフランス料理の基礎だとよく言われます。フランス語fondは、基礎(ベース)であり、veauは仔牛。中世には肉や骨を煮込んだスープを日常的に食べていたそうです。 因みに、家禽類のフォンと、魚介類のフォンがあり、それぞれ、フォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille)とフォン・ド・ポワソン(fond de poisson)と言います。
17世紀から19世紀にかけて、このフォンの作り方に磨きがかかった様です。骨・肉・香味野菜などを加え技術が磨かれ、19世紀、オーギュスト・エスコフィエが、フランス料理の体系を確立した、と言います。これが、所謂デミグラとなって行く。正確にはdemi-glace (ドゥミ・グラス)は、半分固まった状態、と解釈すれば、日本人のイメージする「煮凝り」に近いのではないでしょうか。
日本でハヤシ料理を創り上げた人に、日本料理の「出汁」や「煮凝り」のイメージがなかった筈はない、と思います。フランス人のフォン・ド・ボーへのこだわりは理解出来ていた、と思います。フランス料理のフォン・ド・ボーに対するこだわりについては、漫画「美味しんぼう」にも詳しく描かれていましたね。
今のハヤシ料理全てに「フォン・ド・ボー」が用いられているかどうかは分かりません。しかし、今でも評判の良い料理には、日本には日本なりの、フランスにはフランスの「出汁」が基礎にあるのだと思います。
フランスでも料理の言葉には歴史的な変化があり、外来語として日本に取り入れられた場合も、技としての捉え方に解釈がありヴァラエティーがあったと思います。一部の関心のある人を除いて、料理界におけるフランス語・外来語としての存在意味が、言葉として、 コミニュケーション円滑化の手段として、AIに上手に取り入れられる事を期待します。