私は創作物を暴力装置にしてはならないと考えます
私は
「分野を問わず人々にトラウマを与える事で鑑賞者が作品に揺さぶられたと勘違いさせる意図を持つ作品」
を嫌います。
それは創作者がやってはいけない事だと考えます。
「作品の素晴らしさに精神が揺さぶられる」
のと、
「その作品に実際には必要の無い人の精神を傷つけるタイプの、直接的なエロ、グロ、暴力、死、個人の精神の歪み…などを作品を介して突きつけられた際に精神が揺さぶられる」
のは、
内容は全く違うにも関わらず、精神の反応だけ観れば似ています。
ようするに創作への感動から起こる反応と、恐怖や強い不快感による反応は近い場所にあるので人は時に混同してしまうのです。そこを姑息な自称芸術家は悪用します。
作品の成立上、必然的に際どい性質を持ってしまったものや、昔の箴言や宗教の経典の逸話を元に作品制作した際に、結果としてかなり残酷な描写になってしまったものなどなら問題ありません。
が、そういうベースの無いもの、あるいは実際にはそのような伝統とつながっていないのに、そういう事にして制作されたものは、似て非なるものなのです。
そのような作品を制作する作者は意図的にそうしているのにも関わらず「真の芸術作品は時に真であるゆえに人を傷つける事がある」などと言い訳をします…実に尊大かつ姑息な態度だと思います。
確かに芸術作品は時に人を傷つける事はありますが、それは美や真に対面した事によって過去の自分が破壊される時にそういう反応が起こる事があるという意味であって、作者の暴力的で姑息な活動によるものではありません。
それは他者の精神への暴力です。
それは本当に下劣だと考えます。