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「うまくいかない」のはデフォルト

ぼくは「うまくいかないのはデフォルト」だと思って生きてます。

……というと、なんかちょっとネガティブに聞こえるんですけど、でも実は超ポジティブなんじゃないかなとも思っています。

今の時代、もし秒でうまくいくんだったら、過去と同じことやってるか、過去の焼き直しをしてるだけの可能性が高いです。

うまくいかないってことは、たぶん新しいことをやってるはずで。それがデフォルトというのは、むしろポジティブなんじゃないかと。うまくいかないをデフォにしておくと、たくさん挑戦できるんです。

「うまくいかない」と何がいいのか?

「うまくいかないのはあたりまえだよね」というスタンスでいると、いいことがいろいろあります。

ぼくらはとにかくプロダクトを作りまくり、出しまくるというスタンスでやってきました。

このスタンスには、2つの側面があると思っています。

ひとつは、精神的に楽になるということ。「うまくいったら儲けもので、うまくいかなかくてもあたりまえ」。そう思っておくと、メンタルがすごく楽です。「とにかく出して、それで当たればラッキー」くらいの感じです。

もちろん「成功させよう」と思うのは、すごく大事なことです。ぼくも毎回「成功させよう」とは思っています。それで成功したら「よかったね」となりますが、たいていのことって、9割方うまくいかなかったりするんですよね。

失敗したときに「そんなもんだよね」と思えるかどうかが、すごく大事なんじゃないかなと思います。「失敗したときにどう思うか」という気の持ちようが大事なんですよね。

「完成品」よりも「改善され続ける」価値

もうひとつが今の時代的な話です。

デジタル化がいろんなものを取り込んでしまったあとの「本質」ってなんなんでしょうか? ぼくは「すごい完成品」よりも「中長期でずっと改善し続けられること」のほうが、すごく重要になってきているように思います。

たとえばこれまで、消費者と企業は「映画のDVDを買う」という「点」の付き合いをしていました。でも今は、とりあえずNetflix にお金を払っておけば、中長期でずっと新しいコンテンツが入ってきます。

これまでは「CDを買う」だったのも、Spotifyに契約しておけばいい。こうやっていろんなものが「サービス化」していく。これは『アフターデジタル』という本にも書かれている重要なことでした。

日本の会社って、メーカーが多いですよね。「なにか製品を作る」というのが従来のメーカーの機能です。

でもこれからは、製品を作るだけでなくそれを「サービス」として提供していかなければならない。お客さんと「点」ではなく中長期の「線」でつながって関係値を築いていく必要があるんです。

今までは「なにかやって終わり」という1点の関係性だったのが、ずっと付き合って、だんだん改善されていくというほうが、世の中の価値として重要になってきている。

これはサービスに限らず、あらゆるものに共通する流れです。「絶対うまくいく完成品」を作ることよりも、「運用して改善させていく」ことのほうが、価値が高くなっていってるんです。

「点」ではなく「線」で考える

「うまくいく/いかない」という考え方って「点」の発想だと思うんですね。点で「うまくいったか・いってないか」と考えるのではなく、そのずっと先を見て考えたほうがいいと思います。

「うまくいかなかったこと」というのは、中長期で見たら「こういうふうにするとうまくいかないということを学べた」と捉えられます。

こう考えたほうが、「点」ではなく「線」で積み上げることができる。デジタル以降の世の中の流れに、すごくマッチするなと思っています。

デジタルって、たぶんそういうことだと思うんです。

点ではなく、線で考える。

完成品がどうというよりは、運用改善を継続していくことで、これまではできなかった積み上げ方ができます。ユーザーの声など、いろいろなフィードバックをもらいながら改善し続けることのほうに価値がシフトしていっている。

そう考えると「点」の勝負で一喜一憂するよりも、もっと先を見て動いたほうがいいんだろうなと思います。世の中的に絶対そうなるからです。

これが「うまくいかないをデフォルトにする」の2つめの側面です。

運用改善し続けられることの価値

これまでは購入後に「アフターサポート」を受けるのが普通でした。これからはそうじゃなくて、継続した「カスタマーサクセス」になっていく。

アフターサポートはトラブルシューティングが主な仕事になります。クレーム対応のような仕事をする「非生産部門・コスト部門」が生まれてしまう。

でもカスタマーサクセスは、継続的に成功させ続けることを目的とした「プロフィットセンターです。同じようなことをしていても、従来は「コストセンター」だったところが「プロフィットセンター」になる。

それがSaaSのビジネスモデルのすごいところです。

これは会社のあり方でも同じことが言えると思います。先日、コーポレートの役員と話していたことがあります。

この不確実な世の中で会社のあり方もたぶん変わっていく。先の読めない、どうなるかわからない中で、昔あった「理想の会社像」「あるべき会社の姿」なんて、通用しなくなるかもしれない。

だから、たとえば人事制度を作ろうとしたときに「これが今までいいとされてきた人事制度です。以上」みたいにしてしまうと、逆に失敗する可能性が高いのではないか。

そうではなく中長期で考えて、世の中がいろいろ変化するかもしれないから「それにちゃんと耐えうるような人事制度を運用させていこう」というほうがいいよね、という話をしました。

完成させるんじゃなくて、運用させていく。そうやって視点が変わることで、作り方や見せ方も変わってきますよね。

あらゆるものがインターネットに取り込まれていくことによって、中長期のサービス改善が必要になる。その視点で、たとえば「理想のオフィスのかたちってなんだろう?」「理想の採用のかたちってなんだろう?」と考えていくと、いろいろ変わっていくと思うんです。

変化できるものだけが生き残る

「改善主義」ではなくて「完成品主義」になってしまうと、現状にフィットしなくなります。「こうなんです」と言い切った瞬間に、もう終わってしまう。「うちはこれできません」みたいになってしまう。

そう言い切ってしまった瞬間、なにが起こるかというと、改善の声が届かなくなっていくんです。「こんなのどう?」という要望の声が聞こえなくなってくる。すると、もうそこで成長が完全に止まります。お客さんの声をはじいた瞬間に、もう二度と届かなくなります。改善しない人のところには、情報も入ってこなくなります。

それでも「こうしたらどうだろう?」「なんでこうなってないんだろう?」と思っているユーザーは、たくさん存在します。そんななか、その意見を聞いてくれる人が現れたら、みんなそっち側に流れていくでしょう。「この人に頼んでももう無駄だから、あの人に頼もう」と、柔軟な人のほうに流れて行きます。

だから遅かれ早かれ「完成品主義」は弱っていく。そして「変化し続けていくモノやコト」が生き残る。この二極化が、これからどんどん起こっていくんだろうなと思います。

失敗をぜんぶつぶせば、成功だけが残る

「うまくいかないをデフォルトにする」というのは、前職「社長.tv」のときに身に着けた考え方です。

社長.tvのときには「アポが取れない」とか「成約が取れない」とか、いきなり車中泊で知らない場所に送り込まれたりと、とにかくいっぱい試していました。

ただ「うまくいったかどうか」を考える余裕があるということは、まだ行動量が足りていないんだろうなと思っていました。「うまくいってるかどうかすら考えられないくらい動き続けてたら、勝手にうまくいくよ」というのを昔教わって、たしかにそうだなと思いました。

よく「不確実性の高い世の中」と言われます。

先が見えないし、いきなりゲームが変わる可能性もある。そういう正解がない世の中に、もうなってきています。

だから、いまのやり方が「完成」なのではなくて、長期で考えて改善させていくこと、あとはPDCAを回し続ける、「積み上げ続ける」のが大切だと思うんです。

そして積み上げ続けるためには、失敗をひとつひとつ残していくのが大事です。不確実な要素が100個あるのなら、100個の中でまず1個失敗すると、残る要素はあと99個になります。

ちゃんと「ここで失敗したんだな」というのを残しておけば、成功する確率は「99分の1」になる。もう1回失敗したら「98分の1」になる。ということは、100回失敗したら確実に成功できるんです。不確実なものが100個だと決まっていることは、実際にはないのですが。

100回やって正解がわかったら、101回目からはずっと成功し続けます。AIのしくみと同じですね。

そういえば、ペッパーがけん玉を覚える動画があります。機械学習の例えでよく使われるものなんですが、、、この動画です。

最初は、全然できないんです。でもやり続けていると、だんだん当たるようになってきて、できるようになる。そして、できるようになってからは、ずっと無限にでき続けるんです。

ちょっとペッパーくんの目が怖いんですけど笑

でも、いま求められている成長のしかたはこれだと思います。不確実なものをつぶしていって、学習して、1回できるようになってからは、もう自分の糧になっている。これが「積み上がってる」状態だと思うんです。

「点」で捉えて「うまくいってる/いってない」で考えると、こうはならない。だから、うまくいかない前提で考えたほうがいいんです。

ただ、うまくいかない前提でも「どうやったらうまくいくか」というのはちゃんと考えながらやりつづけるのが大事。そうすれば、いつか絶対に当たるということです。

ペッパーの動画でいうと「最初の5秒」もしくは「最後の5秒」という「点」で見れば単純に「うまくいかない/いく」になります。でも、線で見たら「うまくいくためのプロセス」になりますよね。

変化し続けるためにも「変化しないもの」を学べ

不確実性の高い時代に「何を学ぶべきか」もお話ししておきます。

変わっていくものに時間を使うのももちろん大事です。ただそれよりも「変わらないであろうもの」を勉強することに時間をかけることをオススメします。そうでないと「変わっていくもの」がいきなりなくなった瞬間に、その人はもう何者でもなくなってしまうからです。

こんな世の中でも「変化しないもの」ってありますよね。原理原則とか。たとえば、会社である以上は「会計」が必要、というのは絶対変わりません。

うちのCTOはこんなことをよく言っています。プログラミングの世界でも「ルビー」というひとつの言語だけ詳しいのではなく、ちゃんと「コンピューターサイエンスの基礎の仕組み」を理解してる人と一緒に働きたい、と。

「ルビー」を使わなくなった瞬間に、その人はいらなくなってしまうので、そういう「基礎力」みたいなものが、いますごく求められているのだと思います。

「変化し続けるもの」をつくろう

「リチカ」にも完成形はありません。世の中が変わり続ける限り、完成形はなくて、改善し続けていく必要があります。

だから「リチカ」は完成形としての「商品」ではなく、「プロダクト開発プロジェクト」なのかもしれません。

さらには、今うまくいっているものも一寸先はわからない。うまくいっていても、変化し続けないと業績は伸びていかないということも起きます。

そして個人で言えば、ものすごく差の付く時代でもあります。「日々改善し続けて、変わり続ける人」と「もう変わらない人」とだと、めちゃめちゃ差がついてしまうからです。

大変だけど、ものすごくおもしろい時代だなと思います。

弊社「リチカ」では、絶賛仲間を募集中です。

すでに第一線で活躍してきたエンジニア、クリエイティブディレクター、モーショングラフィッカー、デザイナー、ビジネスプロデューサーのみなさんに続々と参画していただいております。

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