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Stories of Survival / 生き抜いた記録たち

Pearson English Graded Readers の Level 3 Stories of Survival。

過酷な状況の中で生きた抜いた 8つの実話が紹介されていました。
彼らの闘いを読んでいるととても胸が苦しくなりますが、同時に、彼らの燃え盛る炎のような熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。どのお話も彼らは無事に生き抜くことができたとあらかじめ分かっていても、いったいどのような方法で、どのように助かったのか、なぜ助けられたのかを早く知りたいと早る想いで読み進めました。

  1. 通信手段など何も無い16世紀、船が難破し、植物も川もなく砂だけの砂漠の無人島で、数年間もの間を生き抜き救出された船乗りの話。

  2. ネイティブアメリカンが活躍していた時代、ミシシッピ川近くでグリズリーベアの母熊に襲われて深い傷を負った上に仲間にまで見捨てられながらも、盗まれた武器を取り返すためにそのからだで320kmもの旅路を歩き、川を下り、ついに目的を達成した猟師の話。

  3. インドネシアのクラカタウの火山、これまでに何度も噴火を起こしているようですが、1883年に起こった世界を巻き込んだ大規模噴火時に生き抜いた人々の話。

  4. 1915年のイギリスの南極探検隊、シャクルトンが率いる船が南極の海で難破し、極寒の地に仲間たちを残して、数名のみで小さなボートで1500kmを航海し南アメリカの小さな島に辿り着き、その後、仲間を救助するために戻り無事に救出することができた話。

  5. 第二次世界大戦中に乗っていた船が破壊された。小さな筏と乏しい食糧のみで広大な南大西洋で133日間、限られた道具のみであらゆる工夫をしながら1200kmを漂うことでブラジルで救出された船乗りの話。

  6. 1971年の飛行機事故でペルーの熱帯雨林の中に落ちた唯一の生存者。怪我は片目に不都合があった他は奇跡的に歩くことができた程度で済み、11日間のサバイバルの後で無事に救出された女性の話。

  7. 1990年代半ば。ルワンダ虐殺の中で生き抜いた女性の話。1平方メートルほどの小さな空間の中で、複数の女性たちが91日間生き抜いた話。今まさに世界のあちらこちらで起こっている戦いの中で、今まさにこのように苦しんでいる人々がいることを想うと苦しく感じながら読み進めました。

  8. 1994年、モロッコのサハラ砂漠でのサバイバルレースでの行動中に砂嵐に遭い、ルートが完全に消えてしまい、どこにいるかもどこを目指せばいいかもまったく分からなくなり、水は運営者から提供されていたのでそのときは残りがほとんどない状態で、救助隊にもなかなか見つけてもらえず、しかし自力で生き抜き、200km離れた場所で発見されたランナーの話。

4話目だけ、エンデュアランス号漂流記として日本語で綴られた本で以前読んだことがあったので、内容はあらかじめ知っていました。他のお話も、書籍化されたり映画化されたりしているものもあるようです。

最後の 8話目は、他の話がやむを得ず被ることになった事件や事故がきっかとりましたが、この話だけ、自ら求めて飛び込んだ環境の中において被ることになってしまったサバイバルでした。

水も食糧もほとんど無い状態で、彼らがいったいどのようにその数日間、数年間も生き抜くことができたのかが具体的に記されていますが、その内容、その理由を読んだのが英語で助かった .. と感じたことが新たな発見でした。それらの描写を明確に、瞬時に、頭の中で容易に想像することができる日本語で読むよりも、英語のほうが頭の中での映像化は鮮明にはならないから。

彼らが生き抜くことができた理由。
それはもちろん彼らに運があったり、すでに彼らが持っていた知識や能力を活かすことができたりということも大きかったのですが、何よりも、決して諦めないという強い心を持っていたからでした。

ところで人々はどのような理由でサバイバルストーリーを読むのでしょうか?

わたしは自分が今後生きていく中で出会うかもしれない試練や困難。そのようなときに強い気持ちで乗り越えることができるように、先人たちの闘いを心に刻みつけておきたい気持ちがあります。いざというときにきっと彼らの話を思い出すはずです。そのため図書館でこの本を見た時に、迷わず手に取りました。

地震や豪雨で被災しない限りは、食べものを得て食べることができ、雨風をしのぐことができる場所で眠り目覚めることができることが当たり前のような恵まれた日本で生きていること。とはいえ、病気を患ったときに命の有り難さを身に沁みて感じた経験は、やはり体験する前とは心が変化し、それらの当たり前のことができる日々にはあらためて感謝の想いが溢れましたが、人は、喉元を過ぎればそれを忘れていきがちなので、このような甘えた生活を送っている自分に喝を入れたいために時々このような話を読みたいと感じます。


ところでエンデュアランス号について調べている中で、沈没から107年経過後の2022年に当時の船がとても良い状態で海の底に眠っている様子が発見されたという、National Geographic の記事に出会いました。


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