児童養護施設の暮らしは社会の可用性を担う共同体づくり①
どうもこんにちは。ゆきちかさん、という名前でnoteを書いています。
児童養護施設の心理職として働いています。
本noteの目的は、“児童養護施設”の検索結果をよりグラデーション豊かにする、というものです。
今日も地道に情報の海に全力投球いたします。
佐々木俊尚さんについて
今日も一冊の本を紹介したいと思います。佐々木俊尚著「そして、暮らしは共同体になる」(アノニマスタジオ)です。
佐々木俊尚さん @sasakitoshinao は、私の中では毎朝のキュレーション活動が日常の一部に位置していて、インプットとアウトプットの量、最近の私の捉え方だと価値の流通量がすごく多い人だと思っています。
また、佐々木さんの生い立ちが語られた記事も読んだのですが、幼少期から青年期にかけて、かなり過酷な環境を生きてこられたサバイバーでもあります。
それでいて、著書に記されたようなゆるやかに人との繋がりの中で幸福を感じながら生きている、というのは児童養護施設の仕事と深く結びつく存在だと感じています。新しい著書が出れば購入し、webで記事がアップされればクリックし、まあすっかりフォロワーです。
そして、暮らしは共同体になる
さて、この本は佐々木さんの生活の実践が書かれた本なのですが、より素晴らしいと思う点は、暮らしの全体像がわかる、ということです。
暮らし、と一言で言っても、かなりジャンルとしては区分けが可能で、料理なら料理、服なら服、収納なら収納、コミュニティならコミュニティ、テクノロジーなら…というそれぞれで本が組み立てられる傾向があります。
料理でも何でも「私はこのやり方が好き」「でもこの地域での生活と組み合わせるとしたら?」「このコミュニティの中で私の価値観を生活に表現するには?」と一つのものを好きと言って選んでも、現実に形作るにはたくさんのハードルを飛び越える必要があります。スタイルブックを選んで自分にインストールするには時間と体力がいる。熱意を持ってやりきる式でこなす人も多くいますが、全ての人ができるわけでもなく、特に分野を横断してバランスをとる思考スタイルは座学メインの学校ではあまり教わることができません。
この本では、料理の作り方、材料の買い方、暮らしを作る場の選び方、人との関わり方、テクノロジーの活用の仕方、ベースとなる思考スタイル、美学がそれぞれの結びつきがわかる形で書かれています。
複数の生活拠点を行き来しながらそれぞれの場でゆるやかにつながる
佐々木さんは東京・軽井沢・福井という3箇所に生活拠点を置き、それぞれの場所を移動しては一定期間滞在し、しばらく滞在したらまた移動、という生活スタイルを実践されています。(その生活を「つくる」プロセスや「たもつ」方法も書かれていて勉強になる)
私の仕事は児童養護施設の職員(心理職で、かつ子どもの生活場面にもお手伝いで入っている)なので、自宅の家庭生活と合わせて2つ、生活拠点がある感覚を持っています。そのため、施設生活の質も、家庭生活の質もより良くしたいし、今は拠点移動を日に1往復しているわけですが、何なら施設と家庭の中間ポイントになる一つの場をつくることにも興味があります。(個人的には、この本のスタイルでSOS子どもの村JAPANさんとかに本を作ってほしいと思っています。)
とりあえず施設でも家でも同じ服で過ごし、同じカバンで同じ荷物で両方いける、みたいな身辺整理は行いましたが、移動距離は多くないし、人間関係はゆるやかというよりガッチリという感じで体が重たい感覚があります。
私を通っていく価値の流通量を増やそう、と思ったら、移動距離とゆるやかにつながる対人関係技術を身につける必要があるのかな、と思います。
子どもも家庭事情によっては、施設と家庭の2拠点生活をする可能性がありますし、学校の寮も利用する、となったら、かなり拠点移動が多くなります。人間関係もそれぞれの場所で存在し、丁度いい加減を身につけていく必要があるし、もしかすると従来の“一般家庭”にはまらずにより時代にあった生活様式をつくることに適した人材に育つかもしれません。
ゆるやかにつながることの説明が不十分な感じがしますが、長くなってきたので明日に続きます。
明日は“ゆるやかにつながること”とそれが行われる“場”について考えます。
児童養護施設は、社会の可用性を担う場所として活きるか否か。
どうもありがとうございました。
ゆきちかさん