見出し画像

泣き腫らした目には蒸気でホットアイマスクを

深夜1時。
スマホの画面をオンにしたら、あと6時間で起きて出発の準備をしなければいけないことに気が付く。
明日も早い、早く寝なければ。
そう思いながらも、涙がひたすらに止まらない夜がある。

何度もしゃくりあげて、息ができないくらい鼻が詰まって、繰り返し目元に押し当てたタオルはかなり濡れている。
そうし始めてどれくらいの時間が経っただろうか。
いつまで経っても気持ちが落ち着かない。
絶望的なことが頭に浮かんでは、消えずにまた浮かびあがる。
瞼なんてもう、重たいを通り越して腫れて開かなかった。

明日、私が今日泣いていたことなんてバレてはいけない。
そんなこと、誰かに触れられてはいけない。
気付かれてはいけない。
そう思って、なんとか目を開け検索画面を呼び出す。
キーワードが並んだ先に出てきたのは、瞼を冷やすか温めるか。
手元には冷やすものなんてないし、温かさのあるようなものもない。
もう自室から一歩も出たくなかった。

そう思っていたら、蒸気でホットアイマスクの存在を思い出した。
部屋に置いてあるそれは、袋を開けるだけで温かくなる。
本来の使い方とは少し違う気がしたけれど、これ以上の策はないくらい名案に思えた。

封を開けてすぐに温まったそれを目に優しくのせて、それでもまた涙でアイマスクを濡らしながら、気が付いたら眠りにつけていた。

翌朝、やっぱり気持ちはすっきりしない。
だけどもうすっかり冷めてしまったアイマスクは、思った通りの役割を果たしてくれた。
多少の腫れぼったさは残ったものの、それも起きて数時間で引いていった。
なんとかごまかせる程度の腫れで納めることができ、あたかも前日に泣いてなんていないように振舞えた。

大人だから、泣かないと過ごせない夜もある。
それは大人になりきれていないからかもしれないけれど、一人で過ごす夜くらい、泣くことを許してもらいたい。
触れられたくないそれを隠すために、私を守るものはたくさんある。

お読みいただきありがとうございます! サポートいただきました分はnoteを続けるエネルギーに変換していきます。