小学生とデッドヒート
私は歩くのが速いとよく言われます。
通勤時など、ひとりで歩くときがなかなか速い、と自覚している。
自分のペースで歩くと、通勤時などは何人も抜くことになります。
特に抜かしたいと考えているわけじゃないけれど、そうなっちゃう。
自分のペースで歩きたいのです。
子どもだと特に、普通に歩くと簡単に抜かしてしまうのだけど、ある時ふと気づくことがあります。
私がスタスタと追い抜いた小学生が、ランドセルをゆさゆささせながら走って私を追い抜き、少し先で止まってまた歩き始める。
私が普通に歩いていると、またその小学生を抜かすことになる。
抜かしたところで、また小学生は走って前に出る。
何回かそれが続いたところで感じるのです。
……あれ、私、いつの間にかライバル視されてます?
一度そう思っちゃうと、なぜか私のなかにもほんのりと芽生える負けたくない気持ち。
私が本気出したら、あなたには絶対に負けないのよ。
小学生相手になに考えてんだ、て話なんですが、普通の速度をちょっと速めて早歩きしたりして。
こいつ本気出してるって思われたくないから、すごい涼しい顔しながら早歩きしたりして。
最終的には。
私の早歩きに小学生が諦めて追い抜かなくなるか(そもそも私のひとり相撲だった説もある)
小学生が本気出してずーっと走って私の遥か先まで行くか(私もさすがに走って追いかけない)
小学生が道を曲がって消えていくか
といった結末を迎えます。
小学生とのデッドヒートが終わると、ちょっとした虚しさを感じながら照れくささを覚えます。
子どもと関わる仕事の人間が、こんな小さな競争してどうすんだ。
子どもに限らず、追い抜いた人に走ってまた追い抜かされた場合は
「もともと急いでいた気持ちが、抜かされたことにより煽られて焦ったのかな」なんて考えるように、最近はしています。
自分の小ささとの葛藤。
まだまだ大人としての精神修行は続きます。