若かった頃の自分を思い出す 「サリンジャーと過ごした日々」
少し前に封切りになった映画
「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」、
ご覧になりましたか?
ストーリーだけでなく、描かれる人物や雰囲気、風景などがとても素敵で、久々に「映画を見て原作を読む」
ということをしてみました。
原作は映画の主人公でもあるジョアンナ・ラコフの
「サリンジャーと過ごした日々」。
大学を出て間もない、作家志望のジョアンナが出版エージェンシーで働き始め、初めての仕事に悪戦苦闘。
「ライ麦畑でつかまえて」などで有名なサリンジャー宛のファンレターに雛形通りの返事を出す仕事を続けるうちに彼女の胸に芽生える思いがあり・・・
という彼女の経験をまさに「映画のように」描いています。
映画も本もどちらもよかったのですが、
「やはり、映画と原作はそれぞれ別の作品なんだな」と感じました。
たとえば、映画に出てくる魅力的なダニエルという人物は、本にも出てきますが、実際にはジョアンナは一度も彼にあったことがありません。
また、ジョアンナのNYでの恋人は彼女のことを「ブーバ」と呼ぶのですが、それには彼なりの理由があったことも本で知りました。
もちろん、原作と映画が違っていてもいいのです。
あの映画の輝きは、若かった頃の自分のことも少し思い出させてくれました。
経験もないし、金銭的にも余裕はないけど、夢はある。
向こう見ずで、考えが及ばないところもあるけれど、ひたむきに取り組むこともできる。
人に傷つけられてがっかりすることもあるけれど、若さゆえの配慮の足りなさや図々しさで知らずに人を傷つけたり、迷惑をかけることもある。
今から考えると、他愛のないことにもショックを受けたり、自信をなくすこともあったり。
でも、若いからこそ、今ならできないような思い切った決断や行動ができることもある。
そして、周りを羨ましく思ったり、自分が劣等感を感じることもあるけれど、
「自分が本当にしたいこと」
を忘れずに続けていれば、きっといつか、夢は叶うのです。
もしかしたら、最初に思い描いていたこととは、少し形が違うかもしれない。
時間がかかるかもしれない。
でも、それでも、諦めずに続けていれば、きっといつか、夢は現実になる。
わたし自身、社会に出てから予想だにしていなかったこともいろいろありましたが、回り道をしても、自分がしたかった仕事を今できていることがとても嬉しいし、ありがたい。
そんな風に思うと同時に、サリンジャーの作品がどのように人に影響を与えてきたかということ作家と読者の間の出版エージェンシーの役割など様々に「面白いなあ」と思いつつ、この映画を楽しみました。
原作本を読むと、さらに深くジョアンナの心情や映画には描かれていなかったあれこれを知ることができ、こちらも非常に楽しく拝読。
様々なことで心が揺れるときだからこそ、映画や本の世界に浸ることも良いかもしれませんね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。