
イギリスのクリスマスの伝統、ミンスパイ
こんにちは。Little Readers Clubという屋号で活動しているユウキです。
英語圏で広く実施される「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」という、絵本を使った英語のリーディングの指導法を日本での教育に取り入れるべく活動を行っています。
今回は、リーディングとは全く関係ないのですが、、
イギリスに住んでいた際に、(イギリスの料理は大体日本人には閉口ものが多いのですが)、唯一と言っていいほど好きだったミンスパイを紹介をします。
ミンスパイは、パイ生地にMince meat(ミンチ肉)と呼ばれる、ドライフルーツをスパイスと洋酒で味付けしたフィリングが詰まった小さなお菓子で、イギリス人にとってはまさにクリスマスの味。
クリスマスシーズンが近づくと、ロンドンの街中はミンスパイやクリスマスに因んだお菓子で溢れかえります。
本当は英国王室御用達の紅茶などGroceriesを作っているFortnum & Masonの一口サイズミンスパイが好きなのですが、日本ではどうやら手に入らないようで、、
オンラインでレシピを見つけて、作ってみることにしました!
私のような初心者にも決して難しくなく、おいしくできました。
娘が「ミンスパイを我が家のクリスマスの伝統にしたい」と言っているので(大人味なので、一口しか食べなかったですが、、)、来年以降も作れるように、以下にレシピを備忘を兼ねて記載します。

ミンスパイの歴史
ミンスパイの起源は13世紀に遡ります。十字軍が中東から持ち帰ったレシピがもとになったと言われています。
十字軍が中東から持ち帰ったパイ料理がその始まりだと言われています。当初は「マトンパイ」や「クリスマスパイ」と呼ばれ、肉やフルーツ、スパイスを使った大きな楕円形のパイだったそうです。
これらの材料には、聖書の東方三博士がイエスに贈った贈り物を表すというキリスト教的な象徴性がありました。また楕円型はイエスが生まれた際に用いられた飼い葉桶を模しており、パイ表面にはしばしば幼子のイエスの描写が施されていたそうです。
伝統的なレシピは13種類の材料(ドライフルーツ(レーズン、カラント、プルーン等)、スパイス(シナモン、ナツメグ、クローブなど)、柑橘類(オレンジとレモンの皮と果汁)、アルコール(ブランデー)、肉(元々は羊肉を使用し、イエス降誕の際の羊飼いを表していた)、脂(動物の脂肪)、バター、卵黄)を使用し、イエスと12人の弟子を表すと言われています。
また、ミンスパイは、クリスマスイブから12日間(1月6日まで)、毎日1個ずつ食べると、次の12か月を幸運に恵まれて過ごせるとされています。
1月6日が正式なクリスマスシーズンの終了(公現節と言われ、キリスト教において、東方の三博士がイエスの神性を世界に顕現した日と言われています)ですので、この日に食べ終わることを逆算してイブから1つずつ食べるのが良いということです。
この12個のミンスパイを食べる習慣は、イギリスの伝統として今でも続いており、多くの人々に親しまれています(F&Mのパイも12個入り)。
尚、現在オンラインでレシピが多く見つかりますが、本格的な作り方はやはり今でもお肉(牛肉や牛脂)を使うようです。

作り方
材料(上部の直径が5cmのミニマフィン型48個分)
ミンスミート(フィリング)
※富澤商店さんのレシピを参考に、自己流にしています。
※ミンスミート、以下の分量で作るとちょっと余ります。余りはバニラアイスにかけたり、パウンドケーキにしてもいいと思います。
りんご 1個
レモン 1/2個分の果汁
カレンズ 120g
レーズン 100g
サルタナ 100g
オレンジピール 120g
富澤のミックスナッツ(←本当のミンスパイレシピに入れないのですが、私にはドライフルーツのみは味が濃すぎるので、一部のドライフルーツをナッツに変えています) 120g
砂糖 100g(←保存性が落ちるかもしれませんが、甘さを控えるならもっと少なくしてもいいと思います)
シナモンパウダー 小さじ1
富澤のミックススパイス 小さじ1
無塩バター 100g
ブランデー 100ml
パイ生地
※英国大使館のレシピを参考に、自己流にしています。
※以下の分量を3回に分けて作りました。
無塩バター 300g
薄力粉 525g
強力粉 150g(←私が強力粉のザクザク感が好きなので薄力粉を一部代替したもので、本来は全量薄力粉(全部で675g)です)
卵黄 3個分
冷水 大さじ12
砂糖 45g
仕上げ用
卵黄を牛乳でちょっと伸ばしたもの(つや出し用)
粉砂糖 適量(←私は粉砂糖が苦手なので振りませんでしたが、あると見栄えが良くなり、可愛いです)
手順
以下の手順の通りです。
48個焼いたのは、お世話になった4家族に12個ずつ差し上げたいからだったのですが、作りながら「これ、12個は(味的に)重いわ」となったので、結局4個~6個ずつをご近所も併せて6家族に進呈。
本当はイブから食べるのが伝統なのですが、学校の行事でお会いする日にお渡ししたかったので、伝統よりもお礼の気持ちを優先しました。
余りは、日持ちするお菓子なのでちょっとずつ頂こうかなと思っていましたが、夜に夫がワイン飲みながらパクパク食べて、気が付いたらなくなっていました。
最後に、、
ミンスパイはイギリスのクリスマス文化というか、レシピから食べ方から形まで、これでもかというくらいキリスト教文化がちりばめられた伝統菓子です。
日本でクリスマスというと、特に子どもたちには『サンタさんからプレゼントをもらえる日』『ケーキやごちそうを食べる日』『学校が冬休みに入るタイミング』という楽しさ目白押しのイベントですが、本来的にはキリスト教の祝日です。
私はキリスト教の信者ではありませんが、英語や英語圏に携わっていると、キリスト教は切っても切り離せないもの。
ミンスパイは味付け的には大人向けのお菓子ですが、ミンスパイではなくとも、クリスマスというイベントやキリスト教の意味について、子どもたちと一緒に考える何らかのきっかけを持ちたいものです。