英語の発音が悪かったら読み聞かせをしてはいけない?を凌駕する 絵本読み聞かせのメリット
こんにちは。Little Readers Clubという屋号で活動しているユウキです。
今日は、保護者の方や保育士 / 幼稚園教諭の方から、「発音が下手でも英語絵本の読み聞かせをしていいんですか?」「変な発音が移ってほしくなくて、、」とよくコメントを頂くので、この点についてお話しします。
結論から言うと、まったくそんなことはありません!むしろ、それを上回るメリットがあるので、どんどんチャレンジしてほしいです。以下のその理由を記載していきます。
外国語に触れることで、第三者の視点を獲得する
幼い頃から外国語に触れることは、第三者の視点を理解する力を育むうえで大切です。
以下の①と関連しますが、バイリンガルは「心の理論:他人は、自分とは違う考えを持っていると認識すること」の発達が早いのだそうです。
自動車を見て、「日本語だと自動車だけど、英語だとCarだよね」と分かることは、違う言語では違う呼ばれ方をするということー 話には違う視点や論点があるかもしれないことを肌感覚で認識するということです。
(参考 https://www.shidai-tai.or.jp/topics_detail8/id=1117 )
前の投稿でリーディングとメタ認知能力の関係について記載しましたが、二言語以上が分かる子どもは、以下の認知能力が高いという研究結果が発表されています。
① 注意力と切り替え能力: バイリンガルは、言語を切り替える際に注意を集中させる能力が高いため、タスクの切り替えがスムーズ。
このため、バイリンガルはモノリンガルよりも複数の情報を同時に処理することが得意(※言語とはただのラベリングにすぎないと認識し、本質を理解して処理する能力が高い)。
→大量の情報にさらされる超情報化社会&パラレルキャリアが通常になる今後、実は英語自体よりも、この情報処理能力やマルチタスキング能力の方が重要なのではないかとすら感じます。
②実行機能: バイリンガルは、不要な情報を無視したりする能力(抑制制御)が優れている。
とはいえ、幼少期から英語に取り組みすぎることに対する懸念は、あると言えばあるので、これは別記事にしたいと思います。
でも、発音が下手だと...
よく聞く心配が、「親 / 先生の下手な発音が子どもに移ってしまうのではないか?」ということです。確かに、その懸念はその通りです。日本に住んでいれば日本語発音に引きずられるのは、避けられないことです。
イギリスのオンライン教育出版社Twinklの講師が言っていたのを聞いたことがありますが、英語はもはやイギリスやアメリカだけでの言語に留まらない。様々なローカライゼーションがあっていいと。
イギリス人やアメリカ人の発音を目指す必要はないと、私も思います(憧れはありますが、、)。
逆に、親や先生が発音を心配するあまり、その心配が子どもに伝わって「きれいな発音ではないと、英語で話してはいけないんだ」と子どもが発話を躊躇してしまう可能性があります。私はこちらのほうがよっぽど問題だ思っています。
そもそも日本の子どもたちは、みんなの前で自分の意見を発表するということに不慣れな場合が多いですから(いまだに見ていてそう感じます、、)、英語の発音がさらにハードルと化してしまうと、英語のアウトプットを大きく減らしてしまいます。
保護者が英語が苦手でも、堂々と発音すれば子どもが「これでいいんだ!」と思えます。
子どもが英語学習を継続する中で、発音は自然と矯正されていきますので、心配は無用です。
我が家は、娘(7歳)がイギリス育ちの英語ネイティブで、私たち親は私の母語が日本語、夫の母語がスペイン語で、どちらも非ネイティブです。
娘はイギリスで教育を受けたため発音は問題なさそうで、何ならたまに私の発音を指導してきますが、私たち親の誤った言い方(熟語など)は移ってしまっている気がします。
夫はスペイン語の語法に引きずられているので、日本語の癖やらスペイン語の癖が混ざってしまって、なおさらです。
しかし、年齢とともに自然と間違っているとわかってくれると思っているので、あまり心配していません。
フォニックスは大切!
こだわりすぎないで、と過去に投稿していますが、最低限のフォニックス(発音とつづりの関係)は学んでおいた方がいいです。
英語を何となく学んでいる子どもたちの中には、「英語っぽい発音」にこだわり、変な発音になってしまう子がいます。単語に存在していないRが入ってしまうなど(例:"mom"を"morm"と聞こえるような発音としてしまったり)。
これでネイティブスピーカーに伝わらないことはないですが、明らかな誤りですので、直せるなら直したいところ。
フォニックスは発音矯正のためだけのものではないですが、発音が良くなる(というか、正確な発音が分かる)というメリットがあります。
親子の絆を深める読み聞かせ
私がいちばん重要だと思っているのが、親子で絵本を読む時間を持つこと。子どもはもちろんですが、親御さんや先生にとっても、心をより豊かにする時間を得られます。
これを英語でやれば、英語や多文化に触れられて、認知能力も鍛えられて、親子の絆も深まる。一石三鳥です!
こちらの花園大学の研究紀要では、英語ではないのですが、父親の絵本の読み聞かせ効果に関する観点が書かれてあって興味深い。
上記の研究紀要によると、父親の読み聞かせ効果は以下の通り。
絵本の読み聞かせというとママというイメージですが、父親とか祖父・祖母など、ママとは違う視点での絵本の読み聞かせも情緒的な効果がありそうです。
① 絵本の選び方の違い: ママたちはほんわか可愛い絵本を選びがちだが、父親は残酷、ワイルド、尾籠(汚らしかったり失礼にあたるようなもののこと)なテーマのモノを選んだりする。
子どもにこういうものは良くないという意見もあるが、子どもたちは絵本と分かったうえで楽しむことができる。
② 父親向きの絵本がある:怖い話も父親がするから安心して怖がれる。物語を語るには、語り手は物語の世界観をイメージしなければならない。だからこそ、父親が語ったものとして子どもの心に定着する。
→我が家の場合、怖い話ではないですが、父親の方が読むのがうまいな、と思うことがあります。
Shel Siverstein氏のThe Missing Piece。不朽の名作で大人にも響くものがありますので、是非一度英語版で手に取って頂きたい本です。
しかし、読むのが難しい本です(私にとっては)。夫のほうが、この主人公(?)の歌の部分などは私よりもよっぽど豪快に読んでくれますので、子どもの反応がまるで違います。
③ 絵本により一生繋がれる感情の回路ができる:(これは親側への効果で、父方に限った話ではないですが)子どもが大人になり、ずいぶん会っていない時でも、 電話で話をするだけで何となく感情の共有ができる。声を聴いただけで何を楽しんでいるか、驚いているのかが分かる。もしかすると、子どもの頃から絵本でつながってきた回線のようなものができているのではないか。
などなど。
まとめると、、
またいつもの癖で長い記事になってしまいました。
まとめると、「英語絵本の読み聞かせには「英語発音下手💦」を補ってあまりあるメリットがあるので、ぜひ読んであげてほしい」ということです。
(二行で済みました、、)
発音に自信がなければ、YouTubeで「Read Aloud」などと検索してみてください。たくさんの読み聞かせ動画が見つかります。それを参考に練習してみるのもいいかもしれません。