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Catの発音・・・難しいワケ
明けましておめでとうございます。Little Readers Clubという屋号で活動しているユウキです。
英語圏で広く実施される「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」という、絵本を使った英語のリーディングの指導法を日本での教育に取り入れるべく活動を行っています。
あっという間に2024年が終わってしまいました。
昨年は英語のリーディング指導の活動を通じて本当にたくさんの方と知り合い、とても勉強になった年でした。
2025年も皆様にとり良い年になりますように。そして、本年も皆様とのご縁がつづきますように。。✨
本日は、お正月は全く関係ないのですが、かねてより記事にしたいなと思っていた「Cat」の発音について、です。
フォニックスを習っていると、「c、a、t」の音を、無理やりカタカナにすると「ク、ア、ツ」というように習うと思いますが、これを続けてCatと発音する際に、カットではなく小さいヤが差し込まれて「キャット」と発音しているように聞こえる(※アメリカ英語の場合)。
この小さいヤはどこから来たの?と疑問に思う人がいるのではないかな、と思い(私だけかな・・・?)、本日はこの点を記事にしたいと思います。
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「Cat」の発音:Front vowelとBack vowelの理解
英語の発音、特に母音の発音は英語学習者にとって難しいものの一つです。余談ですが、フォニックスの指導も、A、B、C、、とアルファベットの並びではなく、S、T、Pなどの比較的簡単な子音の発音から学んでいきます。
「Cat」の発音を日本語のフォニックスで「ク、ア、ツ」と習うことがありますが、実際に発音すると「キャット」のように聞こえます。この「ヤ」の音がどこから来るのかを理解するには、英語の母音システム、特にFront vowelとBack vowelの概念を知る必要があります。
例えば、「cat」[kæt] と「car」[kɑːr]を比較すると、同じ「a」の文字でも発音が異なります。「cat」のaはFront vowel、「car」のaはBack vowelと呼ばれます。
Front vowel
Front vowel(前舌母音)は、舌が口の前方にある状態で発音される母音です。
「Cat」の「a」音 [æ] はFront vowelに分類されます。この音を発音する際、舌は前に寄り、口は横に開いた状態になります。日本語の「ア」と「エ」の中間のような音になり、アメリカ英語では日本人の耳には「キャ」のように聞こえます。
Front vowelになりやすい場合:
1. 歯茎音(しけいおん、舌を歯茎に付けることで発音する音で、t, d, n,などが代表的)が後に続く場合。例えばCatなど。
2. 唇音(しんおん、唇を用いて発音する音で、p, b, m, どが代表的)が後に続く場合、例えばCapなど。
Back vowel
Back vowel(後舌母音)は、舌が口の後方にある状態で発音されます。「Car」のa(発音記号は[ɑ])は日本語の「ア」に近い音です。また、aにllが続くと(例:all、callなど)後舌母音でも発音が変わり、[ɒː]と「オー」に近い発音となります。
Back vowelになりやすい場合:
aの後にrが続く場合、例えばCar(/kɑːr/)、Bar(/bɑːr/)、Heart(/hɑːrt/)など。
llが続く場合、例えばCall(/kɒːl/)、Ball(/bɒːl/)など。
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イギリス英語とアメリカ英語の違い
「Cat」の発音は、イギリス英語とアメリカ英語で基本的に同じ[kæt]ですが、微妙な違いがあることがあります。
両方の英語で「a」音は[æ]と表記され、日本語の「ア」と「エ」の中間の音になります。ただし、個人や地域によって若干の発音の違いが生じることがあります。
余談ですが、、イギリス英語とアメリカ英語で顕著な違いが見られるのは、「Can」と「Can't」の発音です。イギリス英語では、「Can」は[kæn]または弱形の[kən]と発音されますが、「Can't」は[kɑːnt]と発音され、「カーント」のように聞こえます。「Can't」の「t」音を発音しなかったりするため、否定形だと聞き取るためにはa音を正確に聞き取る必要があります。
私がうっかり間違えたりすると、娘(イギリス英語話者)に『ママ、いまのはCanって言ったの?』と聞き返されたりします・・・。
一方、アメリカ英語では「Can't」の「t」音をはっきりと発音する傾向があり、「Can」との区別がイギリス英語ほど難しくありません。ただし、アメリカ英語でも「Can」の発音は文頭や強調される場合は [kæn] と発音されますが、文中で弱く発音される場合は [kən] のようになるようです。
発音学習はほどほどで、、
過去の記事にも書きましたが、、
英語の発音をマスターすることは、非ネイティブスピーカーにとって非常に難しい課題です。舌の位置や口の開き方など、細かな違いにこだわりすぎると、かえって混乱します。
ある程度の割り切りが必要で、完璧を目指すのではなく、コミュニケーションに支障がない程度を目標にする、というのが良いように思います。
またまた余談ですが、、語学系コミュニケーションサイトのQuoraで、たまたま日本語勉強中のスコットランド人の方の疑問「なぜ日本人はCandyはカンディではなくキャンディと書くのか?」が目に留まりました。
ある回答者が、「日本ではアメリカ英語を参考にするため、Canの音がキャンと聞こえるようだ」と回答し、質問者は得心したようでした。恐らくスコットランド(イギリス英語に近い)ではæをアメリカ英語ほど強調して発音しないので、良く分からなかったのでしょう。
その質問者は続けざまに、「ではなぜCanadaはキャナダと書かないのか?」と質問しておりましたが、「恐らくカタカナとして記載する際に明確な法則がないのでは」という回答が付くにとどまりました。
恐らくこの質問には回答がありません。「キャンディ」と「カナダ」の違いは、それぞれの単語が日本に入ってきた時期や、当時の発音の聞こえ方、さらには表記の慣習などが影響していると考えられます。
言語とは、論理的な規則だけでなく、歴史的な経緯や社会的な慣習によって形成されるものです。カタカナ英語の不規則性も、言語の持つこうした特性の一つの表れなのかなと思います。
発音の地域特性や変化も、その土地のネイティブ言語などの他言語や慣習の違いなど、培われてきたものの影響が多分にあると思われます。
まとめると、、
英語の母音発音は、Front vowelとBack vowelなどの舌の位置の概念を理解することで、より深く理解できます。しかし、完璧な発音を目指すよりも、コミュニケーションに支障がない程度の発音を目指すことが、多くの学習者にとって現実的なアプローチかと思います。
言語学習において重要なのは、細かな規則や例外にとらわれすぎず、実際のコミュニケーションの中で言語を使用し、経験を積むことだと思っています。