日本でもっと “カスタマーサクセス” を盛り上げよう!! Japan Customer Success Community(JCSC) #5イベントのまとめ
今回、2018年11月26日に開催された、JCSCさん主催の「日本でもっと “カスタマーサクセス” を盛り上げよう!! Japan Customer Success Community(JCSC) #5 」に参加しました。
イベント内容「HiCustomerを使わなくてもできる!? カスタマーサクセスのサクセス方法~カスタマーサクセスという役割は、どうすればより機能するか?~」をイベント参加レポートとしてまとめました。
主催団体のJCSCとは?
JCSCは、Japan Customer Success Communityの頭文字をとったものです。
[団体概要]
JCSCは、日本ではまだまだ普及・浸透していない「カスタマーサクセス ※1.」について情報交換、議論をし、カスタマーサクセスという概念を日本に浸透、活性化させることを目的とした、日本でカスタマーサクセスに挑戦する人たちのコミュニティです。
※1.カスタマーサクセスとは、顧客を成功するために自社の提供サービス価値を最大に引き出せるように支援する。結果として、チャーンの防止やアップセルにつなげることにコミットする役割。
【登壇者】
HiCustomer株式会社
高橋 歩
新卒で入社したソフトバンク・テクノロジーでWeb分析事業の立ち上げ後、楽天にて分析データを使った意思決定やWebサイトの改善活動を先導。Kaizen Platformではその知見を多くの企業に広めた。これまでの事業運営の中でカスタマーサクセスの重要性を痛感し、自身もカスタマーサクセスに携わりながら、複数のスタートアップの支援も行っている。現在はHiCustomer第1号社員として、カスタマーサクセスマネージャーの方々と日々伴走中。
【パネリスト】
株式会社ビズリーチ
HRMOS採用管理事業部カスタマーサクセス部 部長
鈴木 雄太
ベルフェイス株式会社
カスタマーサクセス事業部 エキスパートチーム 上席コンサルタント
小林 昭宏
【モデレーター】
ベルフェイス株式会社
カスタマーサクセス企画室 室長
小林 泰己
はじめに
今回の登壇テーマは、「HiCustomerを使わなくてもできる!? カスタマーサクセスのサクセス方法~カスタマーサクセスという役割は、どうすればより機能するか?~」であり、お話は、「5つの逆説からカスタマーサクセスを読み解いていく」という流れになっています。
目次
1.チーム目標:ヘルススコアを活用しよう
2.顧客分析:ゴールで分類しよう
3.顧客探し:顧客に正しく伝えて導こう
4.活動方針:プロアクティブではなくリアクティブを目指そう
5.ヘルススコア:アクションから逆算しよう
6.Q&A
7.明日から実践してみたいこと
1.チーム目標:ヘルススコアを活用しよう
写真)ヘルススコア
カスタマーサクセスのミッションをアンケート調査すると、上位が解約率、継続率となるが、解約率を指標とすることへの問題点としては、日々追いかける目標指標として、取り扱いしづらい点にある。
そこで、KGI(解約率・継続率)の手前にあるKPI(ヘルススコア)を設定し、測定することが重要です。
ヘルススコアの指標として活用される3点はこちら
①プロセス指標
②関係性指標
③成果指標
2.顧客分析:ゴールで分類しよう
写真)ゴールを考えるときの軸(プロセスカード)
青本(カスタマーサクセス)で見かけるハイタッチ・ロータッチ・テックタッチだが、顧客の価値(規模)とサポート手段が混在すること多いのでどちらを指しているのか認識を合わせることに注意する。
そこで、タッチモデルを検討するときに重要になるのが「カスタマーのゴールで分類」してみること。
3.顧客探し:顧客に正しく伝えて導こう
そもそも正しい顧客にサービスを提供することが重要であるとされているが、営業時点では正しい顧客かどうかはわからないことが多い。
そこで重要になるのが、顧客にゴール正しく伝えて伴走すること。そのためには、顧客との3つの認識のギャップをなくすこと。
写真)3つのギャップ
具体的には、正しい顧客に販売することよりも「顧客に価値を正しく伝える」努力をすることが重要です。カスタマーが価値だと感じていないことに対しては、「伝え方の改善を試み、価値に共感していただく」状態を目指し、サービス提供側が価値だと気づいていないことに対しては、「サービス領域を新たに広げる」ことができる。
写真)強みと価値を顧客に正しく伝える
4.活動方針:プロアクティブではなくリアクティブを目指そう
写真)プロアクティブな活動の課題
青本では、カスタマーサクセスはプロアクティブなサポートとされているが、顧客の課題を先回りして考えることは①時間的な制約(先回りにはゴールがない。全てを先回りすることは不可能)、②CS担当者に依存(担当者の知識や経験に頼らざるを得ない)の2点から難しい。
そこで、適切なタイミングで適切な改善アクションを促すためのヘルススコアがあれば、先回りしなくてもアクションが取れるようになる。
※カスタマーから見れば、どちらもプロアクティブです。
ここでのポイントは、ヘルススコアが変化した時にCS担当者がリアクティブに対応できるヘルススコアを作ること。
5.ヘルススコア:アクションから逆算しよう
まず、何のためにヘルススコアを用意するのかを考えることが重要。
最初からヘルススコアを作ろうしてしまいがちだが、まずはサクセスロードマップをベースに考えることが重要。仮説をもとに顧客のゴールから逆算してアクションを設定すること。
[サクセスロードマップ作成手順]
①ゴールを明確に
②ステージに分ける
③どんな時にどんなアクションをするか考えよう
④インジケーター(給油ランプのメモリの役割)
6.Q&A(質疑応答)
ここからは、パネリストの株式会社ビズリーチの鈴木さん、ベルフェイス株式会社の小林さんを含めて質疑応答のお時間です。
サクッと以下にまとめ。
Q)データ分析から始めないことの1つの手段としてサクセスロードマップの活用があるということですが、サクセスロードマップのスタンダードなフォーマットや作成手順などあれば教えてほしいです。
A)1番のポイントは、チームで合意すること。顧客のゴールを明確にすることが最優先でロードマップを作成し、継続率やアップセルすることにしないこと。
Q)ヘルススコアの集計は最低でもどのくらいの頻度で更新していけばいいですか?
A)HRMOS 鈴木
どのくらいの頻度でアクションするかによるが3ヶ月にしている。全ての施策を継続率に効いているかを採用するか、採用しないかを決めているので3ヶ月くらいの期間が必要。
A)ベルフェイス 小林
スプレッドシート管理なので、CS担当者の負担がかなり多い。2週間に1度のペースでデータ更新しているが、現在は、解約率に大きく影響している項目だけ追っている。
Q)手厚くサポートすればするほど、些細なことに不満が募り、解約に結びつくことがあるのですが、困ってます、、、お客様との空気を読みながらのさじ加減も、属人化してます。。。。
A)HRMOS 鈴木
リソースにより異なると思うが、最初はどこまでもサポートしていた。リソースがあればサポートしてもいいとは思うが、結局のところお客様がサービスを使いこなせることが重要なので、作業代行することはしない方が良いのでは。
Q)ヘルススコアのKPIの具体例を教えてください。
A)
①プロセス指標:ログイン、トレーニング完了率、DAU、機能利用率
②顧客関係性指標:顧客とのコミュニケーション数、自社イベントに参加、導入事例掲載の有無、ユーザー会に参加(落ちているやる気をもう一度エンジンをかける仕組み)、アンケート回答
③成果指標:様々なROI
A)HRMOS 鈴木
本質的なKPI(ヘルススコア)を取れるようになるために何ヶ月かかるのかが重要。例えば、契約更新が1年の場合は、解約率と相関性が高いヘルススコアを出すためには1年かかるので注意。プロダクトによって異なるが、CSメンバーの直感と定量的なものを掛け合わせていくことがポイント。
Q)解約理由をどのように聞いているのか?気をつけていることはありますか?
A)HRMOS 鈴木
担当CSが契約更新をする際に、ヒアリングシートを元に気になったポイントを深掘りして聞いている。
A)ベルフェイス 小林
CS側から聞くと契約更新を促進されているのではないかと思うので本質的な理由を聞けない。プロダクト開発メンバーから機能的の問題なのか、サポートの問題なのかを切り分けてもらうようにしている。
7.明日から実践してみたいこと
1点目:サクセスロードマップを作りたい
最初からヘルススコアを作ろうとせず、登壇でもあった手順でサクセスロードマップを作っていきたい。
[ポイント]
①ゴールを明確にする
②ステージに分ける
③どんな時にどんなアクションをするか考えよう
どんな指標が(ヘルススコア)が変化したらプロアクティブに対応するか?期間は?
④監視・計測:インジケーター(給油ランプのメモリの役割)
※今回、JCSCで初の補講があるようです。ぜひ、登壇者のHiCustomer株式会社高橋さんとサクセスロードマップを作成してみたいと申し込みさせていただきました。(熱望)
2点目:解約理由を深掘り、解約後も顧客との関係性を切らさない
解約理由を今まで以上に切り分け、深く聞く。解約後も顧客との関係性を切らさない、きっかけとなれるようにする。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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