「1/fゆらぎ」のすごさを伝えたくて理屈までなんとなくわかることを目指した記事
「聴くだけで・見るだけでリラックスできる」という、いわゆるヒーリングというジャンルが注目されていて、その一つである「焚火」。私は寝る前に、この4Kの鮮明な焚火動画を見ていた。すると…気づいたら朝になっていた。寝落ちしたのである。
焚火の動画がこれだけのリラックス効果があるのは何かあるに違いないと調べたところ、「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」と出てきた。これがすごいことなのだが、それを伝えるには波の物理現象に触れる必要があり難しい。だが、あえて今の私の理解で理論まで踏み込み、そのすごさを伝えることにした。
生体のリズムにも関係する1/fゆらぎ
wikipediaの解説を見てみると、簡潔なのだがこれをいきなり理解するのは難しい。
1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)とは、パワー(スペクトル密度)が周波数 f に反比例するゆらぎのこと。ただし f は 0 より大きい、有限な範囲をとるものとする。
ただ、神経細胞が発する電気信号の感覚が1/fゆらぎと同等というのは興味深い内容だ。
生物に与える効果については、 生体のニューロン(神経細胞)が 生体信号として電気パルス(電気信号)を発射しており、細胞の発射間隔を調べたら、 その間隔が1/fゆらぎをしていることが発見されている。そのことから、 生体のリズムは基本的には1/fゆらぎをしていると分かり、 この1/fゆらぎは 快適性と関係があることが判明している。
この生体のリズムともいえる1/fの揺らぎと同調するものは、生体では心地がいいと感じるという。聴覚であれば音の周波数の分布であるし、音に限らず例えば視覚であれば色の波長の分布が1/fになってれば人間には心地いいということになる。
焚火の1/fゆらぎの「ゆらぎ」
ゆらぎとは変動なのだが、その変動の仕方が1/fということである。その1/fについては次でまとめるが、焚火の色に注目すると、不規則に常に変動している。焚火は1瞬でも全く同じ色に見えるタイミングはないことから、こういった不規則な揺らぎ方が1/fのゆらぎを生み出していると言えそうだ。
試しにyoutubeの焚火のワンシーンを2枚抜粋した。赤枠は2枚の写真でほぼ同じ場所を示しているが、焚火が燃えているうちは赤枠内が全く同じ色に見えることはまずない。
焚火の1/fゆらぎの1/f
いよいよここが本質の部分なのだが、まず色の周波数fについて。
光の中でも目に見える色のある光:可視光線。可視光線の色は波長によって分かれていることはご存じの方もいるだろう。光は電磁波の1種だから、この光の周波数は波の式で表すこともできる。
周波数fは1秒間に波が何回あるかということだが、それは波の長さである波長λと光が1秒間に進む速さcを用いて次式で表される。
c = f × λ
この数式によれば、赤色のような波長の長い波は周波数が低く、青色のような波長が短い波は周波数が高いということである。
焚火の色をよく見てみると、赤色や橙色などの周波数が低い色が強い光を放っていて、緑や青色の光はたまに見られるほど弱い光の量である。
これを通常なら光量を測定して周波数ごとのパワー分布を書けばよいのだが、今回は説明用にラフなグラフになることをご了承いただきたい。
焚火動画の全シーンで得られた色とそのパワーの分布をグラフにすると、次のような1/fの傾きで、高い周波数になるほどパワーが減少していく分布になるはずである。
この色の分布が1/fを持つ焚火は、癒し効果があるということになる。
音も同じで、低い音程の音が大きく高い音程の音は小さく、そして一定ではない不規則な音の発し方をしていると、1/fゆらぎの音となる可能性があって、その音は人体にはリラックスの効果を与えるのである。
自然界のものが1/fゆらぎを持っているすごさ
1/fゆらぎを持つと言われている波の音、小鳥のさえずり、木々から漏れる光など、自然界の多くのものが生体のリズムと偶然一致したものを持っているというのが不思議で興味深い。
また歌手においても、もって生まれたものか訓練で培われたのかは歌手次第だと思うが、宇多田ヒカルや花澤香菜などの声も1/fの分布を持つという。癒しの声の持ち主とはなんとも羨ましい限りである。
そして自然界に限らず、電車の音も1/fゆらぎという研究があり、1/fを人工物にも適用できないかと研究が進んでいたり、落ち着く陶器の形状が実は1/fゆらぎの分布を持っていたとか。
日ごろなんとなく癒される・落ち着くと感じていたこと関することが、1/fゆらぎのアプローチで解明・応用されようとしている。実は1/fゆらぎを取り込んだ癒しの人工物も結構身近になっているのかもしれない。
1/fゆらぎというものがあるらしいという話のサイトはよく見かけたのだが、それは一体どういうことなのか私には満足できなかった。このまとめでなんとなくでも「1/fゆらぎ」の理屈が伝わったなら嬉しい限りである。
※理解不足の点があればご指摘くださると、私の勉強にもなります。