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Authense 男性育休ストーリー

今回はAuthenseで初めて2か月の男性育休を取得した弁護士の「育休ストーリー」をインタビュー形式でお届けしたいと思います。
比較的若い社員が多いAuthense。今まで長期の育休を取った男性はいませんでした。「ベンチャー企業は育休とりづらいのではないか?」「育休中苦労したことは?」「育休中はどうやって過ごしていたの?」など疑問を聞いていきたいと思います。

今回インタビューに応じてくれたのは、こちらの男性弁護士野村さんです!

野村 佳祐/Keisuke Nomura

第二東京弁護士会所属。一橋大学法学部卒業、一橋大学法科大学院修了。
約2年半にわたり上場企業の法務部門に常駐。現在は、常駐経験を活かしながら、「些細な疑問では弁護士に相談しづらい」というイメージを払拭し、いつでも気軽に質問できる距離感を心がけており、課題解決に向けて常にスピーディに対応している。

育休を取得しようと思ったのはいつ頃ですか?

待望の第一子ということもあって、妻とは、里帰り出産ではなく、新生児の時期から二人で育児したいと話していました。出産が近づいて来た頃、「育休どうする?」と自然に話が出ました。
また、妻のご友人の旦那さんが育休を取られていて(その方も職場で初の取得者だったようです)、その話を聞いていたのも気持ちを押すきっかけになりました。

育休取得の申し出はいつ頃したのですか?

正直なところ、打診するのはかなりためらいがありました。事務所から反対があるのではないかと懸念していたのです。
でも、実際に育休を取得するとなると、最低3か月は引継ぎを含めて必要だと思っていたので、予定日の約3か月前の2月下旬頃、思い切って上長に相談しました。
育休の申し出をした後すぐ、上長が人事に相談してくれ、人事から細かいヒアリングがありました。懸念していた反発や抵抗は一切なく、びっくりするくらい前向きに捉えてくれました。
人事の方が「育休を取得するために、どうしたらいいか?」について具体的に相談に乗ってくださり、各所との調整も引き受けていただけました。
実は「育休を取得したい」と思っていたものの、実際いつから取得するのがいいのか?など、分からないことが沢山ありました。
最初は、予定日の1~2週間前から育休を取ろうかと考えていたのですが、人事の方から「奥さんが一番大変になるのは、出産後、家に戻ってきてからじゃないか?そこからの取得がいいのではないか?」とアドバイスを頂きました。家に帰って妻にその話をしたところ「その方がいい!」とのことだったので、最終的に「退院予定日から2か月」になるように育休を取得することに決めました。

育休開始までの引継ぎはどのように進めたのですか?

育休の申し出をしてからの3か月間は、単発で終わる案件は適宜対応しつつ、顧問先など随時対応が必要なクライアントは、引継ぎの弁護士を立てて、1か月程度は打合せ等に同席していただくなどして、徐々に引き継いでいきました。
Authenseは平常時から、弁護士2名体制で対応するなど、誰が休んでも良いようにチームで対応する業務フローが出来上がっていたので、大きな混乱はありませんでした。引継ぎで負担がかかるチームのメンバーもみな快く受け入れてくれました。
1つとても気がかりだったのが、自分だからと信頼してご依頼いただいているクライアント様(個人についているクライアント様)でした。
ただ、そういったクライアント様も「おめでとうございます!もちろんしっかり育児に専念なさってください!」と快諾してくださりました。

2か月の育休期間はどのように過ごしていましたか?

今までの生活が一変しました。
退院して二人で家に帰ってきてから最初の数日が特に大変で辛かったです。二人とも育児は初めてだったから、何をどうしていいのか分からない。出産前からパパママ教室でおむつの替え方を学んだり、入院中は看護師さんや助産師さんから色々と教えていただいてはいましたが、すべてが教えてもらった通りには進まず、どうしたらいいのか分かりませんでした。
おむつ替え一つにしても、パパママ教室で練習したのは人形だけど、実際の赤ちゃんは動いて全然上手く替えられないとか…

一番挫けたのは、生後3週間目ごろのある日の出来事です。夜10時過ぎくらいの時間帯に赤ちゃんが泣きだし、何をしても泣き止んでくれず1時間近く泣き続けたことがありました。当時の自分としては必死に手を尽くしたものの、一向に泣き止んでくれず途方に暮れました。パパの抱っこで、のけぞって泣かれたりすると心が挫けましたし、抱っこもまともに出来ないで親としてどうなのか、などとも考え込んでしまいました。
育児は育児書等に書いてある通りに進まないし、正解がないのが本当に大変だと実感しました。

ただ、そんな中、仕事の方は、育休中ほとんど連絡が来るようなことはありませんでした。実際、パソコンを開くこともほとんどなく(復職した時にはパソコンを打つのが怪しかったくらいです笑)、2か月間は家事と育児に没頭させていただくことができました。

家事育児の役割分担はどのようにしていたのですか?

最初の数日は、夜中の授乳も二人でやっていました。ただ、2~3時間おきに起きて授乳しておむつを替えて、寝かしつけをすると、ほとんど寝れないことに気づきました。このまま二人でやっていたら共倒れになると思い、方向転換をしました。
それからは、夜中の授乳は妻にお願いし、昼間の家事と育児(授乳以外)は自分が担当することにしました。夜は自分が寝かせてもらっている分、昼間は妻が授乳以外の時間にできるだけ休めるようにする作戦でした。
産院の先生から、出産するお母さんは足腰が砕けるような痛みを伴って産んでいると聞いていて、実際、妻もとても辛そうだったから、日中は、出来る限りのことは自分がしようと思っていました。
家事は、子どもが生まれる前からやっていました。主に休日ですが、料理をしたり、洗濯、掃除をしたり。ただ、休日だけやるのと毎日やるのでは大変さが全然違いましたね。実際、しんどくて出来ない日もありました。そういう時は妻が、(妻自身もしんどい中)助けてくれたりして、二人で何とか乗り越えました。

苦労したことはありますか?

最初の頃、休むタイミングが分からなくて苦労しました。
仕事をしていた頃は、毎日忙しかったけれど、仕事が終われば自由で、週末の休みは好きなことも出来ました。ただ、育児をしていると昼夜の区別もなく、だんだん曜日の感覚もなくなってきて、ずっと休まずやり続けなければならない感覚になっていくんですね。終わりがない状態が辛かったです。
1か月半くらい経ってくると、徐々に生活のリズムが分かってきて、隙間でちょっと休もうとかできるようになってきました。
そういう意味でも育休は最低でも2か月はとらないと、1~2週間では、ほとんど何もできないで終わってしまうと思います。出来れば首がすわる3~4か月くらいまで取れるのが本当は理想ではないかと思います。

育休を通して学んだことはありますか?

大変だったけど、とても幸せな2か月間でした。
苦労話が多くなりがちですが、その苦労と同等かそれ以上に、幸福感・喜びも大きかったです。やっと寝かしつけた後の寝顔や、笑いかけてくれたような表情、あれこれやってふと見せてくれる嬉しそうな様子、母乳・ミルクを一生懸命に飲んでくれる姿。こうした様子を見ると、それまでの疲れが吹き飛ぶような思いでした。
ただ、その幸福感や喜びも、二人でやっていたから、感じる心の余裕を持てたのかなとも感じているところです。育児は、実際に体験してみないとその大変さはなかなか分からないと思います。二人がかりでも心身ともにこれだけ苦労したのに、妻一人に背負わせるのは大変すぎるし、背負わせてはいけないと思いました。
この2か月間育児をしたおかげで、少しだけ子どもの対応の仕方が分かってきました。泣き止まないのは「眠いからかな」とか「ウンチがでなくて辛いからかな」とか、ある程度は検討がつくようになり、余裕をもって対応できるようになりました。もし、育休を取っていなかったら、泣き止まない子どもを前にうろたえて、「分からないから」と妻に任せてしまっていたかもしれません。

復職後の役割分担はどのように決めたのですか?

復職後の役割分担は、育休1か月半が経ったくらいから妻と相談して決めました。
仕事が始まってしまうと、平日はほとんど妻にお願いするしかなくなりますが、出来る限りのことは担当しようと決めました。
朝ご飯は自分が作り、昼ご飯は近所で調達し、夜ご飯は妻が作る。おむつ替えと授乳後のげっぷは出来る時は自分がする。平日にやりきれないことは、休日の自分に投げる。こんな感じです。平日はどうしても仕事が夜まであるので、妻に頼らざるを得ません。ただ、幸いなことに、在宅勤務をさせてもらっているので、仕事の合間にちょっとしたことはできます。少し余裕があるタイミングでは、ぐずって泣いている時の抱っこを交代(運が良ければ寝かし付けまで)するようにしています。

最後に

仕事を長期に休むことは難しいと思うかもしれませんが、自分しかできない仕事はないと思います。もちろん、自分でないと難しい仕事というのも中には当然あると思いますが、出産については何か月も前から分かっているので、適切な長さの引継ぎ期間をとるなどすれば、自分でないと「難しい」仕事はあっても、決して、自分でないと「できない」ものではないと感じています。
でも、育児は自分しかできないことだと思います。子どもにとって代わりとなる父親も、妻にとって代わりとなる夫も、他にはいません。
男性の育休なんて無理だと言わずに、諦めずに、ぜひ、会社の側と働いている方の側の双方が協力しながら、「どうやったら実現できるか」、出来る理由を探してほしいです。
属人化していた仕事が、こういった機会にノウハウ共有を通じてチームで対応できるようになるメリットもありました。
その人がいなくても仕事が回り、戻ってきた時には前以上に仕事が良く回る、組織としてバージョンアップできるような仕組みを作るチャンスだと思います。
まだ男性の育休は遠い存在と思う向きも根強くあるかと思いますが、取りたいと願う方の側も、会社の側も、ぜひとも前向きに考えられるようになったら良いなと願っています。

インタビューをして私が感じたこと

私は3人の子供がいますが、男性が育児休暇を取るということは、当時は全く現実的な話ではありませんでした。一人目の出産の時は、自分自身の育休すら取得することができない時代でした。
子育ては、産後だけではなく、何年も長期的に続くことです。たった数か月の育休で、一体何が変わるのだろうか?と思っていたのですが、野村さんの話を聞いて、この数か月が将来の夫婦の間の「認識の差」を埋めるのだと気が付きました。
正解がない子育ての大変さや難しさ、終わりがない家事の辛さなど、実際に体験することで、夫婦で同じ認識をもって、将来にわたって一緒に子育てをしていくことができます。認識の差が埋まらないままに、先に進んでしまうとその差は時を経るごとに大きくなって、埋められない溝になってしまうこともあります。
男性の育児休暇は、夫婦の「認識の差」を埋めるためにとても重要な休暇なのではないでしょうか。

また、Authenseは「遠くへいくならみんなで行こう」の精神を大切にしています。この精神は、仕事だけじゃなく、こういった人生の出来事もみんなで乗り越えながら、一緒に遠くへ行こうという意味がこもっているのだと感じました。
出産は人生の大きな出来事。こんな時に全力で協力できる組織でありたいですし、そうあるべきだと思いました。

(お願い)
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Authense 社会保険労務士法人
代表 社会保険労務士 桐生由紀


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